実質的な国の支配者を父にもつ神倉ミタマは、法律により殺されることになってしまった恋人の那智を救うために逃避行をはじめる……。と、このへんてこりんなセンスはいったい(^^;。キャラというキャラがみんな個性的で壊れていて、むちゃくちゃ尖がっている内容は、とことん人を選ぶよな。……私は選ばれませんでしたorz。
や、キャラのやりとり自体は楽しめるし、設定も許容範囲なのだけど、このノリが一冊続くと、正直、食傷気味。それに、これだけ個性的な内容なのに、ストーリーが弱いのも読んでてツライと思う。那智を助けるという大きなストーリーは作らずに、連作短編的に纏めていただければ、私でも、もうちょっと楽しめたと思うんだけどなぁ。残念。
[ 不堕落なルイシュ ]
うひぃ〜、鼓太郎と祈梨のいちゃ甘ぶりに、ごろごろごろ〜〜〜〜〜〜。二人っきりの閉鎖空間でのバカップルぶりが素晴らしいっ!! とことんやれ、こんちくしょう!!
それにしても、いくらストーリーは誰も期待していないと言ったって、次回最終巻の終盤展開でこのおざなり具合はあまりに酷い。ラスボス格のユリアンの扱いがゴミ同然なのはいったい(^^;。や、いかにもこの作品らしいといえばそうなんだけど(笑)。
[ 初恋マジカルブリッツ ]
いい年したおっさんが恋にうじうじ悩むのを見て何がおもしろいんだっ!! や、恋愛モノというのは、年頃の女の子が悩むからこそ華になるんだと思う。自衛隊の恋愛をテーマにした6篇の短編集だけど、そういうわけで面白かったのは、「国防レンアイ」と「有望な彼女」辺りかしらん。……アレ?(^^;。
と、『空の中』や『海の底』のスピンアウトも含む恋愛短編集。望かわいいよ望。……いや、有川浩の嘘のつき方には違和感を覚えるので、恋愛以外の描写が多い「クジラの彼」や「ロールアウト」は、どうにもいまいちな感覚が大きかったのだけど、それ以外の短編は、なかなか面白い面白い。やぱし、仲がいいのに恋愛関係から遠くなってしまった二人の「国防レンアイ」と『海の底』の夏木と望のその後を描いた「有望な彼女」がいいねぇ。
それにしても、さすが大人向けライトノベルを標榜する有川浩らしいというか、登場人物の年齢が高いだけで、恋愛の中身は、ほとんどライトノベルなのんな。いや、20代を中心とした恋愛小説というと、ふつー、もっとドロドロとして爛れていることが多いと思うのだけど、どれも結婚を前提とした純粋なモノとして描かれているのが興味深く、そして、この恋愛は、読んでて私には、非常に心地いい。
[ クジラの彼 ]
1巻が西暦2800年、2巻が現在、そして今度は、西暦2310年だとぅ。いや、単巻としてみてもスペースオペラとしてきちんと面白く、そして、1巻、2巻との繋がりににやにやしつつ楽しめるという、いやぁ、読んでてホント、楽しい楽しいっ!!
西暦2310年太陽系内に生活圏を広げた人類。強襲砲艦エスレルの艦長アダムスは、宇宙海賊の掃討に心血を注いでいた……。という感じで、1巻の500年前、2巻から300年後を舞台にしたロマン溢れる海賊退治っ!! いやぁ、おもしろいおもしろい。でも、アダムスは男の娘ではなく素直に女の子にして欲しかった。や、宇宙戦闘は楽しいのだけど、恋愛要素が少ないのが、個人的には残念無念。
それにしても、1巻2巻と読んで、1巻と2巻の世界を交互に描くような構成なのかしらん? と予想してたのだけど、このシリーズ、1000年に渡る歴史でも描くつもりか、すげぇ。1巻の固有名詞ががんがん出てきたり、2巻のその後を伺わせる話があったり、シリーズものとしてもにやにや楽しい作りで面白いんだけど、……1巻の続きはいつ読めるんだ?(^^;。
[ 天冥の標 ]
全裸。や、全裸は印象的なのだけど、全体的にはやや微妙だよなぁん。前半のヴィークルレースは熱かっただけに、ヴィークルレースを中心に描いてくれればよかったのに……。
先天性の精神疾患とドラッグが蔓延する近未来。ドラッグの力で自身の肉体を乗り物のように駆る違法レース「ヴィークルレース」に興じる少年少女の物語……。という感じで、精神的に壊れたキャラクターと閉塞感溢れるパンクでロックな近未来設定が魅力的な作品なんだけど、そういうエッヂな見た目とは裏腹に、「大人に理解されずに否定され、生きる目的に悩む少年少女たち」という、ありきたりでベタな物語になっちまったのが残念無念。そういうテーマなら、ヴィークルレースのSF的な設定なくても描けるんじゃね? それに、主人公たちの悩みにもどうにも共感できなかったしなー。まあ、表紙からして、ヴィークルレースの仲間たちではなくヒロインの歌姫だったり、もともと主軸はヴィークルエンドじゃなかったんだ、という話なのかもしれないけど、こー、はじめのレースシーンは面白かったのに、物語が進めば進むほどツマラなくなった感に、なおさらガッカリ。てか、出雲ミクニを出さずに、「&」のメンバだけで物語を回したほうが良かったんじゃね?
[ ヴィークルエンド ]
17ページの恭子の挿絵に絶望したっ!! そして、151ページの挿絵さいこぉぉぉぉぉぉっっっ!! やぱし、テッサ、すばらしいぃぃぃぃぃぃっっっ!!
そゆわけで、二ヶ月連続刊行される最終巻の上巻。全てが下巻に向けて収束していくような内容なので、物語についての感想を書きにくいのだけど、あぁ、やっぱ、俺、テッサ好きだわ。おそらく作中、宗介に次いで成長したのがテッサだと思うのだけど、それでもなお魅せるときは魅せるドジっ娘ぶりがたまらないっ!! いや、失恋や苦難を超えて成長した大人な部分とのギャップに、むしろ、魅力は倍増っ!! そして、あの万感の想いが詰まった「よろしくです」の破壊力っ!! くうぅぅぅ〜、これに泣かずになにに泣くっ!! ああぁ、素晴らしい素晴らしい、テッサテッサ、あうあうあうぅ〜。次回、テッサのラストバトルに刮目せよっ!!!
[ フルメタル・パニック! ]
とりあえず、深見梨加さんに謝れっ!! や、これは、ひど…、いや、凄い。各地の感想から、魔法少女をネタにした単なるイロモノ作品かと思ったのだけど、非常に重く悪趣味なネタだけでなくて、一本筋の通った出来の良い作品。素晴らしい。
「ウォッチメンを魔法少女でやりました」とのことだけど、『ウォッチメン』は未読。魔法少女禁止法が制定されて10年。他の魔法少女たちが引退した中、おしゃれ天使スウィ〜ト☆べりー(24歳)は世界で最後の魔法少女だ……。という感じで、某美少女戦士や某愛天使や某魔法騎士辺りを悪趣味にネタにした作品。とにかくひでぇ。まあ、某美少女戦士は、わりと元ネタを残しているけど、某愛天使はあまり残ってないよね。SOSの人は某ナースエンジェルというより、某サミーの方かしらん。まあ、元ネタは元ネタとして美味しいところだけ都合よく使っているだけという印象で、そこは残念。どうせネタにするなら、「元のキャラを名前だけ変えてそのまま使ってます」というレベルで描いてくれれば、もっと面白かったと思うのだけど……。
にやにやと元ネタを思い浮かべて楽しめるだけでなく、ストーリーもきちんと面白いのが素晴らしい。いや、ストーリーは、『ウォッチメン』そのままということらしいので、ここら辺は、『ウォッチメン』を読んでると印象違うのかしらん? ……どちらにしろ、どう見ても一発ネタの作品にしか見えないのに、続きがあるっぽいんだよなぁん。どうなるんだろ?
[ アンチ・マジカル ]