牛乳パックではがきづくり(紙すきワク自作)
☆リサイクルブームで牛乳パックは引っ張りダコ
◎ 牛乳パックを使ってはがきづくりを行うのは、多くの学校・社会教育施設で行われています。いままで、ゴミだった牛乳パックも、リサイクル実験の貴重な材料になっています。
◎ 紙すきワクは、市販品が流行っていますが、経費などの関係で自作しなければならない場合もあると思います。なかなか自作する方法がノッている文献がないので、今回は、自作 する方法を報告します。
◎ この実験は有名ですが、実際にやってみると色々大変なことがあります。今回は12班が同時にできるように工夫しました。
☆材料
・牛乳パック (厚さがあるものが良いです。学校給食の牛乳パックは大量に手に入りますが、厚さのうすいものが多く 、使いにくいです)
・せんたくのり (これを入れないと紙が破れやすくなります。)
・水 (水道水で十分でしょう)
☆道具
・円型水槽か大きなバケツ(牛乳パックを漬け込んだり、紙すきを行ったりするときに必要)
・ミキサー(ジューサーでもフードプロセッサーでもOK。きちんと洗えば、他でも使えます!)
・ぞうきん2枚
・紙すきワク(自作してみませんか?)市販品は1セット1000円弱
☆紙すきワクの作り方
・安い角材と真ちゅう釘(錆び防止のため)、1m200円程度の網戸のアミを使います(材料費だけで1セットあたり200円以下ですみます)
・角材は14mm角の物を用いました。写真で長い部品が148mm、短い方(釘が貫通している方)が130mmです。
→ わく2枚で1セットです。
(このワクを用いて、102mm×148mmのはがきができます
・網戸のアミを180mm×210mm程度に2枚切ります。(1枚は乾かす時に使います。後述)
そのままではアミ がほどけてきますので、バーナーの赤い炎で端を溶かすと、ほどけにくくなります。
・紙すきワクのセットの方法
→木ワク2枚で網をはさむ形で使います。
左右にはみ出る網を巻きこんで写真のように持ちます。これでワクは完成です。
☆紙すきの方法
☆パルプ液の準備
・牛乳パックを水で洗い3日くらい水につけておきます。(水ではなく洗剤につけるという文献も見かけます。確かに牛乳パックの表面フィルムははがれやすくなりますが、ゆすぎ(洗剤を洗い流す作業)がとても大変です)
・牛乳パックの表面のフィルムを裏と表と両方はがします。(この作業を洗濯機にかけると自動的にはがれるという報告もあります。ただし洗濯機がパルプだらけになります)
・フィルムをはがした牛乳パックを手で小さくちぎり、水と一緒にミキサーにかけます。(水500mlに1リットルの牛乳パック半分が目安です。このときに水が少なくても後でうすめられます)
・円型水槽にうつして、せんたくのりを30ml程度加えます。(パルプ液の各分量は試行錯誤で改良して下さい)
円型水槽にパルプ液を入れました。
・ここまでの作業が大変ですが、ミキサーにかけた牛乳パックの水分をしぼって乾燥させておくと保存できます。使うときに水で溶かしてミキサーにかければこのパルプ液をすぐ準備できます。
・パルプ液に紙のかたまりが残りますが家庭用ミキサーでは限界かもしれません。和紙づくりの「トロロアオイ」にあたる身近な分散剤(例えばオクラのネバネバ)があればよいのですが、本実験ではパルプ液が 大量に必要であったので用意しませんでした。参考文献(3))
☆紙すき(すいくい上げ法)
・紙すきワクをセット(先述)して、水槽に入れます。
ワクを立てていれるとパルプが集めやすくなります。
・アミの上にパルプが5mmほど「積もる」ように紙すきワクを手で前後に動かします。
なかなか均一になりませんので練習が必要です。
・均一になったら紙すきワクごと外に出し、ぞうきんの上におきます。
パルプの重さで網が下に下がっていますが大丈夫です。
・木ワクをはずし、上からもう一枚、紙すきワクで使う網をのせます。
・2枚のぞうきんで水分を良くとります。
→ →
(このときアイロンで乾かすと速いです。しかしアイロンをたくさん用意できない場合はこの方法が有効です)
・窓にはって乾かします
ガラスに貼った面が平らになり字を書きやすくなります。
部屋に換気扇をかけておくと速く乾燥します。
・乾燥したら、窓から、はがして完成です。
☆その他
・このページに限らず、「牛乳パックで紙づくり」の先行研究は沢山あります。その中で、自分の作業環境に合う条件をさがすのが大変です。
・「牛乳パック」にこだわるのは、牛乳パックの原料が高級な良いパルプだからだそうです。
・牛乳パックを水につける前に短冊状にしておくと作業が楽になります。(参考文献(1)より)
・せんたくのりを入れると紙の強度が上がりますが、ガラスに張りつけて乾かすときに取れにくくなり大変です。
・バケツの代わりにバットなどの四角いトレーなどを考えましたが、深さが十分にないとこぼれてしまいます。
・はがきが50円切手でおくれるのは、縦14~23.5cm、横9~12cm、厚さ1mmまでです。
・郵便番号を書く四角や切手をはるスペースのハンコがあるそうですが、今回はその部分を手書きをしました。
☆参考文献
(1) 理科の広場(http://www.aichi-c.ed.jp/contents/rika/syotou/syo3/kamisuki/gyuunyuu.htm)
(2) 日本ミルクコミュニティ株式会社(http://www.megmilk.com/pack/postcard.html)
(3) 杉原先生の理科教室(http://web.kyoto-inet.or.jp/people/sugicom/kazuo/neta/bake20.html)