富士見ファンタジアらしい短編集。つまり、本編がシリアスなのに対して、こちらの短編集は軽いノリのギャグ。まー、ギャグの内容については、好み的に、微妙かなー。あと、お約束的に中身らしい中身もないので、正直、いまいちとしか言いようがない予感(^^;。もちっと、笑いがツボにはまれば良かったんだけどなぁ。
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既刊の感想 → BLACK BLOOD BROTHERS
瞳子との問題を引きずりながら、生徒会選挙へ。まあ、話の中心は、瞳子との話というより、親離れ子離れというか、姉離れ妹離れ。……とりあえず、「あの女」に爆笑。内容的には、いつも通りじりじりとしていて、にんとも。選挙はもうちょっと盛り上がるかと思ったのだけど、まあ、見せ場は次巻へ、ということなのかしらん?
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既刊の感想 → マリア様がみてる
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あずみん、
adramineさん、
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医学・生物学を題材にした、せつなく物悲しい気分にさせる短編集。作者が医者ということもあって、科学的な説明や、病院&病気の描写には、非常に説得力があります。そして、この淡々として物悲しい雰囲気が、なんとも言えず味があるのよ。
そゆわけで、それぞれの短編について↓。
希望ホヤ
娘が小児癌で余命1年と告知された弁護士が、諦め切れずに自ら病気を調べ始める。はじめは単に、がんばるお父さんの話かと思ったら、オチがなんともせつなくてGood。
冬至草
絶滅したと思われる植物の押し葉が発見され、その遺伝子解析を依頼される。しかし、なぜか人間由来のDNA配列しか見つからず、さらに、放射能に汚染されていることが明らかになる。栽培シーンの気持ち悪さが印象的で、後味の微妙な悪さがにんとも。
月の……
手のひらに自分にしか見えない月が浮かび上がるようになる。周囲の人間や医者に相談するが……。オチも微妙で正直いまいち。
デ・ムーア事件
「火の玉が見える」と訴えていた患者が自殺する。司法解剖の結果、末期癌に侵されていたことが明らかとなり、さらに、同様の症例を示す患者が発見される。や、病気の原因がなんとも見事。
目をとじるまでの短かい間
最善を尽くせず妻を癌で失った医者が、寂れた田舎の診療所を継ぐことになる。寂れた診療所での患者や娘との心の交流、といった趣の内容なのだけど、幼い娘があざとすぎるよな。や、こういう内容だと、ふつー、もうちょっとベタに「いい話」にするのがセオリーだと思うのだけど、物悲しい雰囲気に終始するのが、特徴的で面白い。
アブサルティに関する評伝
誰もいない休日の実験室で、同僚が実験結果を捏造している事実を知ってしまう。論文捏造と研究者の倫理について語った内容なのだけど、作者の言わんとすることが、私にはあまり共感できる部分が少なく、正直いまいちでした。
うわぁ〜、これは素晴らしい。あとがきにあるように、ファンタジーのような学園生活。いや、ファンタジーではあるのだけど、少なくとも一昔前の進学校的な雰囲気がとても良く出ていて、それなりに歳を重ねた、進学校なりで高校時代を過ごした人には、ホントたまらない作品だと思います。
親友に引き込まれる形で生徒会執行部にかかわるようになったひろみ。生徒会執行部のメンバとともに、合唱祭や、体育祭、文化祭を過ごしていく……。作者の実体験を元にしたというだけあって、地に足の着いた非常にリアリティを感じさせる雰囲気が、とにかく秀逸。しかも、この雰囲気は、おそらく現役の学生さんよりも、かつて学生だった人に、心地よさを感じさせるタイプのリアリティになってるのよね。とくに、恋愛にかかわらない男女の微妙な心理を描いてる部分は、ほんとに素晴らしい。各キャラクターも、ある種の身近さを感じさせて、江藤クンなんかは、ほんといいキャラだよなぁ。
そいえば、主人公のひろみは、『これは王国のかぎ』のひろみと同一人物ということらしいのだけど、『これは王国のかぎ』はどんな話でしたっけ。<をい。うーん、読んだの 7年前 だからなぁ(汗;。
次回、最終巻ですとぉーーーーっ!! フェリオ一行は、敵国ラトロア入り。いよいよ怒涛のクライマックスへ、といった内容。や、敵には敵の想いがある、というのは、この作品らしくはあるけれど、予想される落としどころとしては、ちょっと綺麗すぎる予感も。ただまあ、何はともあれ、次巻次第。非常に楽しみです。
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既刊の感想 → 空ノ鐘の響く惑星で
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葉月さん、
adramineさん、
deltazuluさん、
INNさん、
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最高傑作級。『ご愁傷さま二ノ宮くん』の鈴木大輔が、まさか、こんな青春小説を出してくるとはっ!! 恋愛モノではなく、ましてや萌え系でもない、非常に真っ当で質の高い青春ストーリーです。
家出した天野空は、避難先として廃倉庫に向かう。しかし、誰もいないと思っていた廃倉庫には先客がいた。そこで譲れない理由が出来てしまった空は、奴を追い出そうと攻防戦を開始する……。や、正直はじめは、ボーイ・ミーツ・ガールな内容かと思ったのだけど、恋愛要素は期待しないほうが吉。というよりも、文章といい、展開といい、青春モノとして非常に綺麗に組み立てられているので、素直に正面から真っ当な青春ストーリーとして味わうべき作品だと思う。コミカルな攻防戦の中に織り込まれた、この状況に到った二人の気持ちの描き方が、非常に秀逸。さらに、ラストへと運ぶ展開が非常に綺麗に形作られていて素晴らしい。や、もう、あのラストのせつなくほろ苦いことっ!! ほんと、綺麗で出来の良い青春ストーリーでした。
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deltazuluさん、
ふなさん、
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愛咲優詩さん、
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えっと、パンツ丸出しでエロ展開満載なら、たとえ内容が酷くても、売れるという判断ですか? いや、キャラも設定も、ストーリー展開も、あまりに完成度が低すぎて、出版するレベルに到達してるとは、到底思えない。電撃文庫でここまで酷いのは、ちょっと珍しいなぁ。
トイレで個室のドアを開けると、クラスメートの女の子がスカートをたくし上げている最中だった。思わぬかたちで、クラスメートの弱みを手に入れたマコトは、彼女にアレコレ恥ずかしい命令を……。キャラやストーリーラインがぶれまくりで、非常にちぐはぐ。まだまだ、アイデアを並べただけのレベルで、これを完成形の小説と呼ぶには、あまりに酷いと思う。せっかくエロゲっぽいテイストのラブコメで、きちんと作り込めばラブラブでエロエロな素晴らしい作品になっただろうに、こんな作りかけのレベルで出版してしまうとは。
とにかく、もったいないとしか言いようがありません。
最高傑作級。戦後10年、未だ復興途上で不安定な街を舞台に、さまざまな勢力の社会的政治的な思惑を描きつつ、きちんと心温まる感動的な内容に仕立てあるところが、とにかく素晴らしい。読後感も非常に心地よく、Good、Good。
戦後10年経つも、未だ軍部の支配が続く。そんな情勢下で、軍から追われながらも、今日もレコリスは街の人たちを想いながら海賊放送を続ける……。いやぁ、可愛い女の子の軍との追いかけっこというキャッチーなノリなわりに、戦争の悲惨さや不安定な社会情勢まで、わりときちんと描かれてるのが、とにかく素晴らしい。だからこそ、街の人の優しさやレコリスの可愛さが際立つのよなぁ。や、きちんとした背景の上で魅力的なキャラクタが活躍するわけだから、もうほんと、素晴らしいのよ〜。
ただ、惜しむらくは、子供向けを意識したような、わかりやすさを主体にしたような作りが散見されるところだな。いや、こういう題材を扱うのであれば、もっと緻密でリアリティのある描写のほうがあっていると思うのだけどなー。
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t-snowさん、
JV44さん、
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永山さん
オチがさいこー。いやぁ、非常にさわやかで気持ちのいい読後感です。……それにしても、はじめはタイトルから想像付くとおりな、人形フェチで純朴な少年と計算高い演劇少女との恋愛モノかと思ったのだけど、ああいう仕掛けを組み込むとは、さすがミステリ作家というかなんというか。思わず、読み直したよ(^^;。
タイトルの通り、人形に恋をするというバレエ『コッペリア』を準えた作品。子供のころから人形にばかり執着していた大学生の了と、パトロンと打算的な付き合いをする小さな劇団の看板女優の聖の二人を中心に、さらに、聖のパトロンの創也と、偏屈な人形師まゆらを加えた恋愛物語。ストーリーやその構成が非常に巧いのだけど、なにより、さわやかな読後感が素晴らしい。いや、途中まではわりと人の暗黒面を描くような嫌な感じの内容で、女の人、怖いよー、怖すぎだー、という感じなのだけど、そこから、ああいうラストに持ってくるのは、ほんと綺麗でいいよなぁ。
ヒロインであるチェチリア・ガッレラーニは、森博嗣作品の萌絵互換なキャラなのだけど、いまいち活躍の場が少なくて、がっかり。や、わりときちんとミステリっぽい内容で、それはそれなりにおもしろいのだけど、私的には、もちっとキャラが立ってる方が好きなんだけどなぁ〜。
イタリア北部の城館で殺人事件が発生。人の手の入り込む余地のない、神の御技としか思えない謎の殺され方に、天才、レオナルド・ダ・ヴィンチが挑むっ!! といった内容。レオナルド・ダ・ヴィンチが探偵役ということで、イロモノな作品かと思ったのだけど、わりときちんとしたミステリで、思ったよりもずっとおもしろかったです。少なくとも、最近のコミカル基調な三雲岳斗の作品と比べれば。……ただ逆に言えば、ダ・ヴィンチが探偵役というキャッチーな着想のわりには、わりとフツーな枠に収まってる感がして、その点は残念。まあ、キャラの扱いを中心に、もちっと尖がっていてもいいと思ったり。
ミステリ作家でサーベルタイガーなお嬢様が事件を解き明かす、覆面作家シリーズの2冊目。や、恋愛描写は、もちっと強調してくれてもいいと思うんですが(^^;。……ミステリといえば日常系、さらに出来れば、LOVEが好みなのだけど、この2冊目では、扱うネタが殺人事件やらなんやらで、さらに、ストーリー的にも謎解きな要素が強くなった印象で、つまり、好みの線から遠くなってしまってしまったので、正直、がっかり。せっかく、歌って踊れる編集者、静美奈子も新キャラに加えたんだから、もっとキャラを前面に出してもいいと思うんだけどなぁ。
参考:
既刊の感想 → 覆面作家シリーズ
うわぁ、やっぱ凄いよ、凄すぎるよっ!! や、この4巻は、あまあまラブラブを主体に、ちょっといい話を織り交ぜた内容&キャラたちの日常で、ほんと素晴らしい。エロエロさいこーーーっっっ!!
そゆわけで、いちゃいちゃラブラブ、あまあまエロエロな寸止めラブコメの 4巻。今回は、1月、2月、3月のそれぞれで、望、澪、たゆらの各キャラに焦点をあてた連作短編。いやぁ、今までは、<葛の葉>を中心にあまあまラブラブには不要な展開を入れ込むことがあって、そこが不満だったのだけど、この巻は、キャラたちの日常が中心に描かれていて、ほんと素晴らしい。エロエロなイベント満載でいるのに、あくまで寸止めなので、他のエロ系萌え系なライトノベルと比べて、一線を隔しているのも、なかなか。あと、文章も、妙な擬音語というか擬態語というかに磨きがかかってきて、ほんと、素晴らしすぎるぅぅ〜〜。
参考:
既刊の感想 → かのこん
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iris6462さん、
deltazuluさん、
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kanadaiさん、
永山さん、
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とりあえず、幼なじみが眼鏡っ娘です。
MF文庫J第2回ライトノベル新人賞佳作受賞作。外見が少女な家の守り神とその家の少年のハートフルな家族モノ。前半から中盤にかけての神様がいるちょっとした日常を中心に描かれた部分はわりと良いと思うのだけど、後半の変にストーリーを盛り上げようとしてる部分は、書き急いでるようで、あんまし出来が良いようには見えず、がっくり。まあ、全体に、しっかり文章は書けていて地力はあるように思えるので、今後に期待かなー。ただ、ちょっと特徴のない&売りの弱い作風に思えるとこがアレだけど(^^;。
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kanadaiさん、
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iris6462さん、
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おもしろくはあるのだけど、良くも悪くも中身が薄いので、あまり感想として書くことがないな(^^;。今回は、新キャラ投入&《コミュニティ》とのアレコレといった内容。まあ、基本的には、表面的な部分で作者が遊びまくってるような作品なのだけど、平坂読の前作『ホーンテッド!』と比べると、あまり羽目を外してないので、私的にはこちらの方が好みです。逆にいえば、平坂読らしさは、多少減じてる予感もするけれど。
参考:
既刊の感想 → ソラにウサギがのぼるころ
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mizunotoriさん、
愛咲優詩さん
着想が非常におもしろい。しかも、高校生な作者でこのレベルの作品を書きますかっ!! でも、ただでさえ視点変化が難しい内容なのに、細かな部分まで見直しされてない未完成な文章のせいで、ちょっと読みづらいのがなぁ。力量は十分にあるように思えるのに、こんな中途半端な状態で出版さすなよ(^^;。
MF文庫J第2回ライトノベル新人賞佳作受賞作。普通の女子中学生依泉子と世界から外れた存在カイとの恋愛ストーリー。恋愛モノとしては、後半がぐだぐだになってしまうのが残念ではあるけれど、それでも、全般的に見れば、わりと良い感じ。やっぱり、カイの設定が巧くておもしろいよなぁ。それで、新人にしては、わりと書けてる印象なのだけど、あとがきによると高校生らしくて、さらにビックリ。ただ、文章のつながりとかで明らかに変な部分が散見されるのがなー。技量の問題というより、完成度の問題と思えるだけに、もったいないよなー。
参考:
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iris6462さん、
kanadaiさん、
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新型さん、
deltazuluさん、
愛咲優詩さん、
バスタアさん、
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tokorotennさん、
suzumiyuさん、
催姫鴻さん
いまいち物足りないと思ったら、紫や銀子、夕乃との絡みが少ないわけよなっ!! や、真九郎の若者らしいぐだぐだな悩みを描くのは作品の方向性からすれば正しいんだろうけれど、私の好みとは、やっぱり違うんだよなぁん。
紫(7歳)と真九郎(ロリコン)のラブコメ第2段。悪宇商会からスカウトされて悩みまくる真九郎、という話。真九郎の悩みが中心なので、女の子キャラとのやり取りが少なめでガッカリ。まあ、片山憲太郎らしい暗く陰湿な内容(誉め言葉)で、片山憲太郎の作品としては、十分に楽しめましたけど。……それにしても、やっぱり、どうにも『戯言シリーズ』を思い起こさせる作品だよなぁ(笑)。
参考:
既刊の感想 → 紅
感想メモリンク →
ゆーいちさん、
永山さん、
iris6462さん、
新型さん、
adramineさん、
コモリケイさん、
deltazuluさん、
INNさん、
JV44さん、
somaruさん、
トナさん、
催姫鴻さん、
煉さん、
リオンさん、
tokorotennさん、
mizunotoriさん