中和反応で本当に塩ができているのか


☆本当はじっくりやりたい実験
 酸とアルカリという、性質が互いに対峙するものを混ぜるとどうなるか?
「+と-で0でしょう」という予想が出てきそうです。
しかし、予想通りの結果(中性になる)に加えて
この実験が劇的なのは、全く別の発想のもの(塩)ができているところにあります。
 
多くの場合は、中性になった液体から水を蒸発させて溶質を取り出すのに
バーナーなどの火を使って短時間で結果を導き出そうとすることが多いようです。
 
ただ、残った白い粉を「粉」以上の考察を行うには難しいものがあります。
(もちろん、舌で確かめることはできません)
 
また、スライドガラスにのせてた液体を火で加熱すると、スライドガラスが割れることが多いようです。
アルミホイルなどの上で加熱すると白い粉の析出が肉眼で見えづらくはっきりしません。
 

☆やはりゆっくりやろう
そこで、思い切って2時間扱いでやります。
スライドガラスに1滴のせた後、1日冷暗所で保存します。
ゆっくり水を蒸発させ、溶質の大きな結晶を作ります。
 
得られた溶質の結晶の形から、溶質の正体を同定します。
 
 

☆顕微鏡での観察
以下のプレパラートは、
0.1mol/l の塩酸と
0.1mol/l の水酸化ナトリウムを中和させたものです。
指示薬はBTB液を使っています。
 

1日冷暗所(気温10℃)で放置し、水分を蒸発させたもの(100倍)
 

別のプレパラート(200倍)
 

結晶が点在しているもの(100倍)
 
この場合なら、「食塩」の結晶であることが、資料集などの写真から考察することができます。
ちょうど、ミョウバンの再結晶の学習の後ですので、スムーズです。
 

☆その他
顕微鏡の視野が緑がかっているのは、BTBの色です。
ほとんどのプレパラートできれいな結晶がみられますが、
上記写真のように、一部、正方形の結晶の周囲に雪の結晶に似た形が形成されるものや

このように、棒状の結晶が多くみられるものがありました。
不純物やpHの違いが影響しているのかもしれません。
考えられる物質としては、NaOHやNaOHが空気中のCO2と反応してできたNa2CO3の結晶です。  

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