zanhansya_TLRE20TP_dark_t.jpg LED光源を使って 光の反射・屈折・全反射を明るい部屋で


☆光の実験は暗幕をしめるかレーザーを使うか・・・

光の実験は豆電球を光源に使うと暗幕を閉めないと観察しにくいです。明るい部屋で行おうとするとレーザーポインタを使う方法がありますが、レーザーは危険(直接目に入ったら大変)で高価(安い物で1000円程度、高い物は3万円以上)です。そこで、

安全(LEDの光なので目に入ってもまぶしい程度)

安価(材料費は200円程度)

な教材を開発しました。名前を「ぴかっとライン」と名付けました。

 

☆材料選び

◎LED(光源)

多くの発光ダイオードは、指向角が20°以上のものが多く、スリットなどを使っても光が広がってしまい観察しにくいのです。

そこで指向角が8°の東芝製LED(TLRE20TP)を使いました。(以前は、TLRH180TPを使っていましたが、廃番になりました。)

上が指向角20°のLED

下が指向角8°のLED


近年、LEDも高輝度のものがたくさん出てきました。
指向角は、15°ですが、50cd(カンデラ)のOS5RKA5111Aも光源として優秀です。
(輝度の単位のcdは、ろうそくの炎の明るさを1cdとしています。)
(TLRE20TPは指向角8°輝度は7cdです。)
下の写真は、上がTLRE20TP、下がOSRKA5111Aです。
白い紙の上でも蛍光灯をつけて何とか光路が見えます。

cyokusen_TLRE_5111_dark.jpg(白い紙の上 蛍光灯を消した部屋)
cyokusen_TLRE_5111.jpg(白い紙の上 蛍光灯をつけた部屋)




従来、LEDは指向角が広いものが多いため、光の実験の光源として、以前はLEDが使用されなかった可能性があります。また、このLEDの色は赤以外に、黄色と橙色が用意されており、凸レンズの屈折などにも利用できます。(指向角が広ければ青もあります)

上から赤、黄、橙のLEDの結果を使いました。

 

◎スリット

一般に、光源のスリットは、縦の切れ込み型が多く使われます。本教具では、LEDの指向性を更に狭くさせるため

熱収縮チューブを用いた円形のスリット

を使いました。黒い素材を使っているため光が乱反射せず直進性を確保しています。

  

◎電池と電池の固定

電池には、コイン型電池CR2016(厚さ1.6mm)を用いました。この電池は+極が磁石につきます。このことを利用して、市販の電池フォルダなしで接続を可能にしました。また、ON・OFFのスイッチには、LEDのリード線の弾性を利用し、指で押したときに点灯するようにしました。


 

◎試作品

試作品の全パーツ

中央がLED(カソードの3分の2を絶縁)
上がスリット、左右が固定用の熱収縮チューブ
LEDの下がマグネットシート
円形の物がコイン型電池(CR2016)

 

  

組み立てた図    透明のカバーをつけた図

  

☆作り方(量産型)

◎材料

all_parts.jpg
試作品を元に一人1実験ができるように簡略化しました。6つのパーツでできています。

LED・・・(指向角8°の東芝製LED(TLRH180P)が便利ですが、現在は廃盤になっており、現在ではTLRE20TP[指向角7°]が入手可能で代用できます。

マグネットシート・・・市販のゴム製マグネットシート(厚さ1mm)を2cmの正方形にカット

スリット・・・黒の熱収縮チューブ(直径6mm) 長さ3cm

絶縁被膜・・・熱収縮チューブ(直径1mm) 長さ1cm

カバー・・・透明熱収縮チューブ(直径15mm) 長さ3cm

電池・・・コイン型電池 CR2016  1個

 

◎作り方

led_zetsuen.jpgLEDの足の短い方(カソード)に絶縁被膜をかぶせます

slit_start.jpgLEDにスリット用の熱収縮チューブをかぶせます。

slit_tocyu.jpg半田ごてで加熱し、LEDと重なる部分から順に収縮させます。

slit_ok.jpg先端まで収縮させます(スリットの直径が約3mmになります)光軸がずれている場合は手で直すことができます。

cyokokutou.jpgマグネットシートの中央に三角刀で溝をつけます。LEDの足の太さ分の深さが必要です。

 

wire_long.jpgLEDの間にコイン電池を挟みます。電池の+極とマグネットシートでLEDの長い足(アノード)を挟みます。そのときにマグネットシートの溝が浅ければ深くしてください。最初につけた絶縁皮膜により、電池のショートを防ぎます。

wire_cut.jpg電池より長いLEDの足は切ります。特にLEDの短い足が電池をショートさせないように気をつけます。

handagote.jpg透明熱収縮チューブをかぶせ、半田ごてをあててLEDと癒着させて固定します。

kansei.jpg完成です。電池を上下につまむ形で持つと点灯します。

 

☆実際に使った様子

◎光の屈折

台形レンズにおける屈折の様子(蛍光灯を点灯させた部屋)

 

台形レンズにおける屈折の様子(暗幕は閉めず、部屋の蛍光灯を消した状態)

 

◎凸レンズの焦点

凸レンズに3色の光を通した様子

洗濯ばさみで点灯した状態を保つ方法もあります。LEDなので、様々な色をそろえることができます。

 

◎光の全反射

台形レンズにおける全反射の様子(蛍光灯を点灯させた部屋)

hanen_zenhansya.jpg

半円レンズにおける全反射の様子(蛍光灯を点灯させた部屋)

 

◎レーザーポインタとの比較


最近では、レーザーポインタを授業で使わない方向になっています。
(教科書によっては、レーザーポインタを使わない旨の記述が見られます。)
そこで、本光源がレーザーポインタの代わりになるか確かめます。


pikatto_vs_lazer.jpg

上:LED光(ぴかっとライン) 下:市販の半導体レーザーポインタ

さすがにレーザーポインタは鮮やかですが、LED光(ぴかっとライン)でも十分レーザーポインタの代用として遜色ないことがわかります。

 

hanen_zenhansya_lazer.jpg

レーザーポインタで半円レンズの全反射

上の写真のLEDの結果と比較しても全反射の様子は両者ともしっかり観察できます。

レーザーポインタの危険度とコストを考えると、LED光(ぴかっとライン)は光の観察において
非常に有効な教材です。一人1実験も可能になってきます。


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