☆ 「電流と電圧の違い」の資料 ☆

 

☆電流と電圧,一字違いで大違い

  電流 電圧
電気を水に例えると・・・ 流れる水の量 流れる水の高さ
電気を車の流れに例えると・・・ 通る車の台数 通る車の速さ
本来の意味 電気の流れる量そのもの 電流を流そうとする働き
単位 A(アンペア) V(ボルト)
回路の中ではかる地点 1点で測る 2点で測る
計測器のつなぎ方 回路を切ってつなぐ
(回路に割り込むかたち)
(直列につなぐ)
回路を切らないでつなぐ
(回路にそえるかたち)
(並列につなぐ)

 

 

 「電流」は,流れる量そのものなのでわかりやすいのですが,「電圧」の理解はたいへんです。

参考書などでは,「水流モデル」がよく使われます。やはり,電気のように,なかなか目に見えないものは,

「例え話」を使うと,理解が少し進むことがあります。

 本来,電気は,電子の動きによるものですから,一番近い例えは,上から2段目の「車」かも知れません。

電子を車に例えると,
 
 ・電流 : 単位時間に測定場所を通過する「車の台数」 

        ( 電子で言えば電子の個数 )
        ( 1A = 約6×1018個の電子が1秒間に通過する電流)


 ・電圧 : 電子の位置エネルギー(ポテンシャル)→位置エネルギーから得られる「車の速度」

        ( 電子は電圧がかかっている場所(電場)で加速される )

 

☆単1乾電池と単3乾電池は電圧が同じなのに値段がちがう 

 電圧の問題は,日常生活に及びます。本来,電池の電圧は,両極に使われている材料の種類によって決まります。
ですから,構造が同じ単1乾電池も単3乾電池も電圧は1.5Vです。しかし,同じ電圧の乾電池でも,値段や用途が違います。

 電気が「電圧だけで語れる」のなら,電池はよりコンパクトな単3や単4,単5が便利で,単1乾電池など売れるはずがありません。

 しかし,単1乾電池も需要はたくさんあります。実は,単1乾電池と単3乾電池の違いは,流せる「電流」にあります。

 単1は単3より,一度に出せる電流が大きいわけです。

 たくさんの電流が必要なもの(例えばラジコンカーなど)は単3より単1のほうが良い走りをします。
 懐中電灯で単1乾電池を使うものが多いのは,単1が一番長持ちするからです。(体積的にも一番大きい電池が一番長持ちします。)

 

 

 

☆100 Vで感電死,10000 Vで肩こり治療

 

 家庭用コンセントは100 Vです。このコンセントの電気による死亡事故は多数あります。

 しかし,「電子針」などと呼ばれている肩こり治療に使われる電圧は,圧電素子によるものであり,約10000 Vくらいです。

 (電子ライターやガスコンロに使われる火花も同様,圧電素子による火花です。)

 電圧が100倍も違うのに,100分の1小さいのコンセントの方が危険なのはなぜでしょうか。

 これは,圧電素子からでる火花は,電圧は高いのですが,流れる電流は大変小さいからなのです。

 一方,圧電素子の電流は[μA] レベルです。

 

 人間が感電死するのは,50 mA流れたときと言われます。

 電圧が高く,体内に電流が流れても,電流値が低くければ,事故にならずにすむことがあります。

 

 人間のからだの電気抵抗は,約10万 Ω(右手の先から左手の先)としますと,
 オームの法則から,致死電圧 = 10万 Ω × 50 mA = 5000 Vということになります。

 (ただし,50 mA流すことができる電源の場合)


 しかし,水仕事をしたり,汗をかいた状態など,抵抗値が小さい場合は,5000V以下でも危険な場合がたくさんあります。

 コンセントは,100 Vですが,使い方によってはたいへん危険なものなのです。

 電圧と電流の正しい理解が日常生活のいろいろな場面で必要になってきます。

 

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