月曜日、日本外相川口順子のロシア公式訪問は終わった。この訪問唯一のみやげは、その総括の驚くべき陳腐さであった。そこから出てきたものはほとんどない。日本首相小泉純一郎の訪ロ時期の最終合意(2003年1月9日〜11日)、経済問題委員会合同会議の総括覚書、11月東京でテロ問題協議の実施について合意などである。別の見方をすれば、ロシアとの政治経済発展に関し、東京が表明したアプロ−チは明らかに古臭いにおいが漂うものである。
本紙解説員のインタビュ−で日本外務省スポ−クスマンは、平和条約締結問題は二国間の中心的な問題であり、条約は“領土問題”解決を基本に締結することができると再度確認発言をしている。その際、日本は南クリル四島を自国領土を考えている。当然日本側の解釈では平和条約の締結は四島に日本の主権確立を前提としている。東京はこのことをかれこれ50年間も主張している。だがさしたる成果もない。
橋本龍太郎元首相、その後継首相小渕恵三、森嘉朗など五年間の時代、ロシアに対する日本の立場にあった力強さは徐々に消え去り、やがて完全に葬り去られた。東京にはロシアとの政治関係で決定的な突破口を作り出す用意はなかった。それとなく言われていることだが、2001年プ−チン大統領とのイルク−ツク会談で森嘉朗首相には四島問題について議論する上で“政治的制約”があったらしい。それでもない袖はふれない。両国間に空洞が生まれた。今日露日交流の水準は“先進八カ国”中、最も低い水準である。
現在日本の外交官は、日本は全て最初から始める意向であると表明している。つまり、50年間もの長い道のりを再び歩むということだろうか。モスクワは“領土問題”の存在は認めているし、平和条約の作業継続の用意もあるが、この訪問を総括しロシア外相イゴル・イワノフは、この問題に関する双方の立場は相変わらず正反対のままであると再度認めている。
さらに不可解に思えるのは、露日経済関係に関する日本外相の見解である。日本の政府関係者によると、プ−チン大統領との会談で日本外相川口順子は、ロシアとの関係を軌道に乗せる上で平和条約の存在しないことが日本経済界の障害となっていると述べた。東京はすでに1997年にどうやら政治と経済を直接結びつけることは止めたらしいが、当然ことながら、この発言は政治と経済を直接結びつけたものである。だが問題はこうしたところにはない。
ソ連時代でも現在でも、日本はメリットのある分野ではロシアときわめてうまく協力してきた。南ヤク−トの粘結炭の開発、極東木材の採取・加工、サハリン大陸棚石油ガス産地の開発など大規模政府間プロジェクト、こうしたもの全て双方の利益のため実現されたか、あるいは実行継続されているものである。
今日本の経済界が困惑しているのは、平和条約が存在しないことよりむしろ、ロシアに対する投資条件では競争力は高くはないが、いざという時に泣きつくことができたであろうソ連共産党が存在しないことである。
一方モスクワは、匿名条件のクレムリンのエキスパ−トによると、東京にそれほど関心はない。ロシアは今日、日本の融資に左右されない。二国間貿易高は最低であり、日本の投資活動は取るに足らないものである。ヨ−ロッパ諸国とロシアの経済関係が最早かげりなく発展していると言えないまでも、無論のことこの分野では日本に代わるものは存在する。とはいえ、政治分野と同じことである。
十月末メキシコでAPEC非公式会議の中でプ−チン大統領と小泉首相の会談があるはずである。そこで戦後歴代日本の首相の中で最も月並みでない首相が何を提案するだろうか。
アンドレイ・イリヤシェンコ 10月15日