〜 朝日新聞 1986年3月26日 朝刊 24面(テレビ欄) コラム「舞台うら」より 〜


   若者向けアニメ

 幼児から小学生向けが主流のテレビアニメを、高校生から大学生向けに年齢層を上げたらどうなるだろう。今夜から始まるフジテレビのアニメ漫画「めぞん一刻」(夜7・30)は、一つの実験でもある。
 マンガ文化、と言う言葉まで生まれ、若者向けのコミック誌があふれる。なのに、テレビアニメはなぜか低年齢向け。それも年々ドラマ性のあるものが強く要求されてきており、「大学生も含むアニメファンたちは、今のテレビアニメに満足していない」と、スタッフたちは分析する。
 「めぞん一刻」は、こうした現状にこたえようというねらいで、アパートの美人管理人と、そこに住む大学生の、もどかしくて、甘く切ない、心のすれ違いをテーマにしたラブ・ストーリーに仕立てている。原作は高橋留美子。
 「アニメが低年齢向けなのは、放送時間が早いせいもある。この時間帯に、若者向けを放送して結果はどう出るか」。スタッフたちの関心は高い。