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★" Star Watching   −180mm 望遠鏡−

 

TAKAHASHI mewlon-180B


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タカハシ ミューロン180B, 1990年A,B型発売-2007年生産終了、2016年C型発売 (made in Japan)
口径:180mm, 合成焦点距離 2160mm, ドール・カーカム式, 重量:6.0kg
メーカーのウェブサイト: タカハシ Webサイト

オリオン大星雲やアンドロメダ大銀河は意外と視直径が大きく、それぞれ満月の約2倍、6倍もの大きさがある。 このように大きな天体は低倍率の双眼鏡でも楽しむことが出来るし、むしろ個人的には望遠鏡より双眼鏡の方が適しているとさえ思っている。 しかし、惑星の視直径は、最も大きな木星でも満月の約45分の1しかない。 このように小さな天体をじっくり見るには、やはり高倍率が出せる望遠鏡が適している。 いま現在、以下の構成の望遠鏡で惑星や月面、それに二重星を楽しんでいる。
  • 鏡筒はタカハシのドール・カーカム式反射望遠鏡、ミューロン180B (高反射コートへ再メッキ済)
  • 架台は同じくタカハシ(スターベース扱い)の経緯台、TG-LA(ma)をベースに改造したT型経緯台
上の写真は、塩ビシートで自作したフードを装着したところ。内側にはフェルトを張ってあるのでスムーズに伸縮させられるし、持ち運ぶ際の鏡筒の保護にもなる。

タカハシのミューロンは凹楕円面の主鏡と凸球面の副鏡から成るドール・カーカム式のカセグレン望遠鏡で、月や惑星などの眼視観測を考慮して設計されたとのこと。 口径180mmはミューロンシリーズの中では最小口径のモデルになる。 気に入っているところは、反射鏡2枚のシンプルな構成であること、理論上は軸上でほぼ無収差であること、そして何より開放鏡筒であることだ。

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大分前に、口径200mmのシュミット・カセグレン式の望遠鏡を使っていたこともあるが、筒先に補正板がある閉鎖鏡筒だったので、望遠鏡が外気温に馴染むまでの温度順応に大変な時間が掛かった。 温度順応さえ上手く行けば素晴らしい惑星像を見せてくれるのだが、その頃は惑星を見るのにも近所の空き地に望遠鏡を持ち出さなければならない状況で、温度順応に時間を掛けるのは困難だった。 遠征で持ち出したりもしたが、一晩中温度順応しなかったこともあり、実際に素晴らしい惑星像が拝めたのはホンの数回だけだった。 その点、ミューロンは開放鏡筒であり(右写真)、夏場なら30分もあれば温度順応が完了するのでとても使いやすい。 また、口径180mmは日本ではとてもバランスの良い口径だと思っている。 これ以上の口径になると温度順応が大変だし、そもそも日本はジェット気流の下にあるので、これ以上の口径の解像度を活かせる日はそう多くはない。 口径180mmモデルは2007年に生産終了になってしまい本当に残念だと思っていたが、嬉しいことに9年の年月を経た2016年、ミューロン180Cとして装いを新たに再販となった。

ミューロン180Cは、ファインダーが180Aと同じ6x30で、主鏡・副鏡ともに従来のSiO2モノコートから高反射コートへと変更になった。 180Bでも、再メッキに出せば180Cと同じ高反射コートになるとのことなので、2017年に再メッキに出した。 ちなみに再メッキの金額は、180Bを中古で入手して再メッキするくらいなら、180Cを新品で買った方が良いだろうという額だった。 高反射コートにしたら、気のせいかも知れないが、木星面の模様の色 (大赤斑の赤味や縞模様の茶色) が濃くなった。 以前から、ミューロンは惑星の模様が薄いと言われており、大きい中央遮蔽が原因かと思っていたが、実は反射コーティングが原因だったのではないかという気がしている。 高反射コートは耐久性も高いらしいので、これであとは鏡面清掃に出すだけで末永く使うことができそうだ。 ちなみに、この機材は自分で光軸調整をしてはいない。 運搬しても光軸が全く狂わないので、自分で調整する必要がないのだ。 鏡筒を強くぶつけたりでもしない限り光軸は狂わないと思われる。 良く出来た鏡筒だ。 数年毎に鏡面清掃をメーカーにお願いし、メーカー調整のままで使っている。

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望遠鏡でも両目で見たいということで、 Baader Planetariumの双眼装置、Mark V (国際光器扱い) を装着して使っている (右写真上)。 双眼視に嵌りだした頃、guest bookでこの双眼装置が極めて優秀であることを教えていただき購入した。 実際、その性能は恐るべきもので、高倍率にしても双眼装置で像が著しく劣化するということはない。 個人差もあるだろうが、むしろ双眼視による認識力の向上の方が勝ってしまう。 月のプラトークレーターの内部には微小なクレーターが幾つかあるのだが、双眼装置を使う前までは4つまで認識できたことが無かった。 ところが、双眼装置を使い出してからは、4つは当たり前のように見えてしまう。 木星も面白いように細かい模様が見えるようになった。 どうやら、双眼装置を使うと気流による像の乱れ(時間的揺らぎ)を脳内補正しやすくなるらしく、単眼視ではディフラクションリングが良く見えない日でも双眼視だと見えてくる。 一つの像を分割していて左右とも全く同じ映像なのに不思議なものだ。 今はもっぱら双眼装置で使っているが、Baader PlanetariumのT-2パーツを使い、ワンタッチで単眼でも使えるようにしてある (右写真下)。

双眼装置で合焦させるには、通常よりずっと後方で焦点を結ばせる必要がある。 その点、ミューロンのピント調整は主鏡移動方式で、バックフォーカスが比較的長くとれるので都合が良い。 しかし、焦点を大きく引き出した状態で調べてみると、長目の主鏡バッフルで主鏡がけられている。 これでは口径がもったいないので、ミューロン後部の71mm P=1オスを42mm P=0.75オス(Tネジ)に変換する薄いアダプターとロックリングを Precise Partsで作り、ダイアゴナルを直結・固定して使っている。 また当初は、双眼装置と一緒に販売されていたミラーダイアゴナルを使っていたが、同社製のプリズムダイアゴナルも極めて精度が高いとのことで、今はプリズムで使っている。 プリズムの方がミラーより光路消費が少ないので、これと薄いアダプターのお陰で、双眼装置と1.7倍の補正レンズでも口径がほぼフルに活かせるようになったし、1.25倍の補正レンズでも合焦するようになった。

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購入当初はP2-Z赤道儀に載せて使っていたが (というよりP2-Z赤道儀に載る最大口径の鏡筒ということでミューロン180を選んだ)、赤道儀は重いし双眼装置で使うとなると鏡筒の回転が面倒だ。 高倍率で使うために微動は欲しかったので、片持ちアームのTG-L経緯台を購入した。 ところが微振動が発生してしまい、高倍率での観望の妨げになる。 三脚の下に振動吸収パッドを置いたり色々と試してみたが、長い片持ちアームで発生する微振動はどうしようもなかった。 どうにかならないかと考えていると、タカハシの微動付ガイドマウントTGM-2の写真が目に留まった。 これはTG-L経緯台と同じ微動ユニットを使い、もっと短いアームでガイドマウントにしたものだ。 そのままではミューロン180を搭載できないが、短いアームを上手く使えば、簡単にTG-L経緯台を微動付きT型経緯台に改造できそうだ。 早速、短いアームである「TGM-2接合部品」を購入し、20x50x60のアルミプレートを介し反対向きに水平微動ユニットにボルトで接続してみた (右写真上)。 ミューロン180なら天頂方向にも向けることができる (右写真下)。 これで微振動は皆無となり、300倍を超える高倍率でも快適に観望できるようになった。 最近は大型でしっかりした経緯台も発売されているが、この改造T型経緯台でも必要十分な性能があるしコンパクトなので気に入っている。 ただ、双眼装置を付けたミューロン180を搭載すると、どうしても微動ハンドルが反対側になってしまうのが多少不便だ。 また、自分で使う分には手動微動がレトロな感じで気に入っているが、他の人に惑星を高倍率で見せてあげる時などは、やはり自動追尾が欲しくなる。

脚は、以前は上部写真のように、Berlebachの2段木製三脚 UNI 4Cを個人輸入して使っていた。 82mm対空双眼鏡ハイランダーの純正三脚がBerlebach製なのだが、その作りの良さと頑丈さからBerlebachがすっかり気に入ってしまったのだ。 ハイランダー用の純正三脚は大きすぎるので手放してしまったが、TG-L経緯台用に小型のものを購入した。 脚の開閉角度は4段階で可変、格納長60cm、全伸高84cm、重量5.3kgの小型の三脚だが、耐荷重は60kgもある。 現在はベランダに常設していあるピラー脚に改造TG-L経緯台を装着したままにしてあるので、主にそこに鏡筒を載せて使っている。

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アイピースは今のところ

  • TeleVue Plossl 32mm … 倍率:115倍 見掛:50度
  • TeleVue Panoptic 24mm … 倍率:153倍 見掛:68度
  • Nikon NAV-SW 17.5mm … 倍率:210倍 見掛:72度
  • TeleVue Nagler T6 13mm … 倍率:282倍 見掛:82度
  • TeleVue Radian 8mm … 倍率:459倍 見掛:60度

  • Kasai HC-Or 18mm … 倍率:204倍 見掛:42度
  • Baader Genuine Or 12.5mm … 倍率:294倍 見掛:40度
  • Fujiyama HD-Or 9mm … 倍率:408倍 見掛:42度
  • (Kasai HC-Or 5mm … 倍率:734倍 見掛:42度)
を使っている (倍率は1.7Xのリレーレンズ装着時のもの)。 全て双眼装置用に2個づつ揃え、これらと双眼装置を Pelican の1400ケースと1120ケースに入れている (右写真)。 使用頻度が最も高いのは Nagler T6 13mmと Genuine Or 12.5mm だ。

もともと移動して使うことを前提にした月・惑星専用機材だったので、とてもコンパクトになっている。 今となっては自宅のベランダでしか使わないので、もう少し大型の機材でも構わないのだが、 私の場合は月・惑星をじっくり見る頻度が少ないし、コンパクトながらもシーイングの良い時には満足感が得られる像を見せてくれるので、まだまだ大切に使おうと思っている。

追記を整理統合 (2018/08)


http://www2e.biglobe.ne.jp/~isizaka/nstar/
by Satoshi ISHIZAKA