お父さんのエッセィ

『南部蒼天9』(2002/09/09)


『季節』


重陽です。
ここでは菊は見かけません。
私は植物には疎いのですが、、、
季節は何で測るのでしょう。

夏の終わりの日や、秋の始まりの日は、おとぎ話の常套句ですが、
文化的には、学年の始まりとなる、8月の下旬辺りに設定されている節があります。

気候的には、
当地リトルロックは、いまだ最高気温は33-34度という酷暑です。
しかし、やはり
早朝の気温が20度をきったという一点を理由に、
ときは秋ということになるらしいです。

外に出てみますと、
公園ではいまだ、蝉が鳴いていますが、
いっぽう
気の早い街路樹は、落葉を始めています。
夏の間、木の葉の変色とは、夏枯れか、落雷破裂木を意味していましたが、
どうやら、
季節は動いているようです。

昨年9月末日に入国した私は、まだ一年を通しての四季の変化を実感できていません。
この地の本当の秋をまだ体験していないのかも知れませんが、
このパラドックスに満ちた、いわば季節感の矛盾は、
夏時間の終わる10月下旬ぐらいまでは、続いていたような印象もあります。
まあ、南部ということなのでしょう。

卑近な例にもどりましょう。

夏の間、週末ともなると、アパートのプールでは、
独身の住人達が、夜を徹して、男女混合水中球技大会を催していたものですが、
それも、今は昔、夏の間に友好を深めた彼らは、何か室内遊戯を見つけたのか、
とにかく、水から上がり、両生類から、爬虫類ぐらいには進化した様子です。
水面に浮かぶバレーボールだけが喧噪の名残で、
プールは、閑散とし、家族連れのオアシスにもどりました。

学生にとっては、夏の三ヶ月は、学年替わりの休暇期間で、それは勤勉とは別の次元の季節です。
学生気分の抜けない独身の住人達が、
毎週末を、水中ネルトン大会に、文字通り明け暮れていたのも、無理からぬことかも知れません。

つづく学年の始まりには、商売人はBack to schoolと称し、大売り出しを仕掛けます。
スーパーは、ノート・鉛筆等の文房具を買う、学生・生徒で溢れています。
不思議なほどの量の、文房具が売られています。
新入学以外の学年の子達も、文房具新調に余念がないようすです。
きっと彼らは、春先の学年末に、学用品を全て廃棄してしまい、
心置きなく、夏を迎えるのでしょう。

アメリカでは、Back to schoolから感謝祭休暇までが、人間が勤勉でいる時間らしいです。
その後、、ですか、、
非公式ながらが、
感謝祭から、クリスマスの終わりまでは、ホリデーシーズンだそうです。
それが、
伝統的なアメリカ人の季節感ということらしいです。


(2002/09/09記す)
  ちなみに、
私にとっての秋は、
キノコ汁とか、虫の音を聞きながらの温泉や熱燗や月見、、、なんか、なのですが、、
どうにも、、、、
もの言えば くちびる寒し ススキかな
お粗末ッ。