お父さんのエッセィ

『南部蒼天15』(2003/04/22)


『眼鏡』


前回に続き、眼鏡の話です。
 眼鏡を新調する場合、御存知のように、日本では、直接眼鏡店に出向いて視力検査をしてもらい店員さんと相談しながら眼鏡を作ることが出来ます。一方、米国で、眼鏡を作るには、基本的に処方箋が必要です。なお、新調でない場合は、直接店に出向いて古い眼鏡と同じものを作るように依頼できます。
 というわけで、米国ではこの段階で、処方箋を手に入れるという大仕事が発生するわけです。
 正攻法でいくと、これには大変な時間と労力を要します。すなわち、まず、home doctorに予約を入れ(2-4週待ち)、眼鏡の処方箋が必要なので、眼科医に紹介してくれるように(紹介状or電話連絡)依頼します。もちろん、初診料その他普通に医療費がかかります(これがspet1)。
その後、眼科医に予約を入れ(1-3ヶ月待ち)、step1の依頼情報の転送を手配し、期日にその眼科医を受診し、視力検査を受け、処方箋をもらいます。もちろん、ここでも医療費が発生します(これがstep2)。
そのまま、眼科医で眼鏡を作ってもらうこともできますが、多くの場合、病院で作る眼鏡はださいし、別に格安でもないので、普通の人は処方箋をもって眼鏡店に行くことになります。
そこでようやく、眼鏡店に出向き、眼鏡を作ってもらいます。完成までには0-1週待ち(これがstep3)。
 以上、まともに攻めると、最長4ヶ月。そして、いろいろな項目の医療費もかかります。その点日本では、step3のみですから、短期間に医療費をかけることなく、眼鏡を作れるわけですね。
 このように、米国で眼鏡を作るのはとても大変なのです。規則を作ったら遵守するアメリカ人ですが、一方で不便が嫌いな国民性です。かれらがこの不便に甘んじているとは考えられません。何か方法があるはずです。同僚の米国人に聞きまくりました。
やはり、この3ステップには近道、裏道がありました。

 まず、近道です。
step1 home doctorについてですが、そもそもhome doctorは契約保険会社のリストにある医者の中から、適切な人を捜し、family doctorに指定するところから関係が発生します。ここは、健康なときでも半年に一辺ぐらいは必ず受診して、医師と親しくなる、もしくは、顔見知りになっておきます。この日頃の努力(根回し)があれば、急ぐとき(風邪を引いたので至急薬がほしいとか、至急他の専門医を紹介して欲しいとき)には電話でものを頼めます。この場合は、懇意にしている眼科医を紹介してくれるように頼めばいいわけです。彼の知り合いの眼科医と限定すれば、3ヶ月も待たされることもないはずです。
 次に裏道、すなわちstep1,2をスキップする方法です。
そもそも、眼鏡作成に関わる医療職には三種類あります。
第1は、もちろん、眼科医。検査、診断、処方箋、眼鏡作成まで、すべてを行う資格があります。
第2は、眼鏡フィッター?(シュー・フィッターのようなひと)-正式な日本語訳は知りません。。。この人は、処方箋を受けて、眼鏡を作成しフィットさせてくれます。普通の眼鏡店よりも洗練された眼鏡を作ってくれるのがセールスポイントとのことです。
第3は、視力測定師?。視力検査をして処方箋を作れる(が、MDではない)資格の人。この人は眼鏡店とタイアップして仕事をしている場合がほとんどなので、タイアップしている眼鏡店で、彼の視力検査を受け、処方箋を作ってもらえます。もちろん処方料(医療費)は請求されます。
米国では眼鏡作りに関してはこの三者が競合しているのだそうです。
お分かりのように、この第三の職の人物のいる眼鏡店に直行すれば、話は早いのでした。

実は、前回のエッセー後、息子に眼鏡を新調せねばならなくなり、以上のようなことを調べたわけです。
結果としては、灯台下暗し、私の大好きなウォル・マート(格安スーパー)にこの視力測定師?がいて、短期間・格安に眼鏡を作れるのでした。しかも、子供用眼鏡は、将来の固定客?を確保したい供給企業側の販売戦略で、レンズを学割価格で卸しているのだそうです。今回の経費は、初診料15ドル、処方料48ドル(保険でカバーなので、これは実質無料)、眼鏡代は125ドル、合計140ドルでした。
ものごと、調べて『みる』と、いろいろなことが『見え』てきます。
ウォル・マートの社長、サム・ウォルトンは億万長者だそうですが、実は、リトルロックの隣の町に住んでいる気さくなおじさん?だそうです。スーパーマン(前話参照)もいるスーパー。日本に持って帰りたいぐらい便利な店で、マイブームです。

(2003/04/22記す)