お父さんのエッセィ

『南部蒼天20』(2004/05/17)


『交通』


留学書記に書いていた交通のについての徒然です。

アーカンソーの街は、造りがでかく、平らです。
土地がたくさんありますから、高層ビルは、ごく一部の場所をのぞいて
特に田舎には、必要ありません。

お店は、きょうび、郊外型の巨大店舗が流行っていまして、
店舗はdepotという倉庫のような平屋の巨大体育館が中心です。
(商品の量や販売単位もvery much,so manyです。)
だだっ広くて、二三件回れば買い物で充分運動になります(東洋人には、、)。

住宅も庭は広く、
アーカンソーでは、普通の住宅街は、木々に埋もれていて、
夏には、住宅街はただの緑の山に見えます。
州都のど真ん中でも、庭にリスが出ます。普通のことです。

よく知りませんが、一般家庭では農薬は、きっと最小限しか使わないのでしょう。
リスも、鳥も、蛙も、蚊も、ゴキブリもみんな元気です。

自動車メーカーの国ですから、ご存知のように公共交通機関はあまり発達していません。
で、道路は、、、
車線が雪国のように幅広でないのが欠点ですが、
もう、そこここに立体交差や右折専用バイパスがあり、
必然的にゆったりと土地を使っています。

というわけで、田舎?では車が必須です。
アパートで隣家を訪ねる以外は、近所つきあいも当然、車。
スープの冷めない距離といえども
歩いてスープを運んだ日には、夏のアーカンソーでは
途中で蒸発してしまうことになるでしょう。

日常生活の行動範囲を考えれば
高速道路も完備していないとお話にならないわけです。
(東京なら普通のことかもしれませんが、、、)
こちらの基準で言えば、
故郷旭川でも、町中に高速道路の5本位も通っていないと
不釣り合いと言うことになります。

さて、わが夫婦は
留学前に、国際免許は取得していましたが、
州によって、有効性や有効期間に違いがあるという噂でしたので、
こちらで運転免許を取得しました。
(パスポート以外の写真付きのIDが欲しかったという側面もあります。)

私は入国後1週間目にペーパーテストを受けたのですが、
ここの交通規則には、とても興味深いモノがありました。

たとえば、、、

1:右折車は禁止されていない場所では、赤信号でも右折できる。
日本でいう左折が赤信号でも出来るわけで、
他のレーンをまたがずに曲がる場合、
横から来る直進車の妨げにならなければ、
信号に関わらず、曲がって良いというモノ。
合理的です。
で、
右折でだまって停車していると、後続車におこられます。
ただ、州によって法律は一定ではありませんし、危険行為があると、お巡りさんにおこられます。
ちょっと、まごつきます。

2:一時停止の『4-way』なるシステム。
平たく言うと、全方向一時停止は先着順で、同時なら、自分より右方向の車優先というシステム。
必ず止まるというところが、潔いルール。
それから、忘れていけないのは、この場合もlady first。
もちろんエレベーターも、ドアもlady first。。。
ドアは男性が開けて、女性を通します。
ついでに視界の中に、接近者がいたらドアを開けたままで待ってあげます。
これ常識。といいますか、紳士の条件らしいです。
私も、ようやく、身に付いてきました。

3:ビール一缶、1時間したら運転OK。
アルコール代謝は、体質や体格で絶対一定しないはずですが、
交通教本には、ナンと、飲める目安が書いてあります。
ビール一缶、ワイン一杯、など、約1時間で運転OKとのこと。
教本に目安が書いてあるところが自動車の国らしいじゃないですか。

もちろん、呼気アルコール濃度テストはありますし、
それを拒否できません。
それで、ある一定以上のアルコール濃度だと逮捕されます。
要するに、危なくない範囲、自分の責任で運転ということでしょう。

ちなみに、
運転手から手の届く範囲に口の開いたアルコール飲料があると、
即逮捕という法律もあります。

以下、規則ではありませんが、、

4:実技試験には自分の車を持っていく。
免許を保持している親や知り合いが付きそって試験場に来るということで、
建前上は、本人が運転してくるということではありません。
しかし、
試験内容は、その場でお巡りさんを乗せて、
10分ほど運転してみせるというモノなので、
運転できる必要があります。
自動車学校は一般には存在しませんので(よく探すと学生用のスクールが一軒だけありました)、
みんな自習しているらしいです。
ちなみに、あまり汚い車だと、落第するという噂です。

5:新車を買うとナンバーはあとから来る。
つまり、ナンバープレートを着けてない車も走ってます。
車購入直後なら許されるらしいです。
ちなみに、テキサスは前後にナンバープレートがありますが、
アーカンソーはプレートは後側一枚のみです。
前のプレートスペースには好きな模様の板を付けることが出来ます。
また、昔、テキサスで使っていた車で、ここでプレートを申請し直すと、
前がテキサスナンバーで、後ろがアーカンソーナンバーになります。

みなさん知っておいでのように、合衆国では
ナンバープレートには各州のキャッチフレーズが書いてあります。
アーカンソーはThe Natural Stateです。
文句に嘘偽りはなく、大した自然なのですが、
人々の気性がnatural(気取らない)というのが本当の意味だそうです。
どっちにしても、他に何か良いキャッチがなかったのでしょうかネ。

さて実際の運転ですが右側通行に慣れれば、
あとはここのスピード感覚についていければOK。
制限速度は日本の4割り増し位でしょうか?さすが自動車大国。
マイル表示は、1.6掛けでキロに換算されますので、
実際に見る数字(マイル)は日本の制限速度より若干小さな数字になります。
日本の数字になれていると、ついつい飛ばしてしまいます。
(単に個人の性格の問題かな、、、)

信号は日本より短時間で変わります。
赤信号で停車しても、地図を読んだり、捜し物をしたりは出来ません。
すぐに信号が変わって、後続車に怒られてしまいます。

蛇足ですが
フリーウェイ用のパトカーはかっこいいです。
思わず写真を撮ってしまいました。
が、
お世話にならないように、ほどほどにがんばりたいものです。
お世話になったときの対処は個別にお教えします??


(2004/05/17記す)