お父さんのエッセィ

『南部蒼天21』(2004/05/18)


『車窓』


留学書記に書いていた車窓からの風景、徒然です。

自動車で観光旅行を考える場合、
たとえば、早朝深夜を利用して移動するにしても、
一回の移動は
500マイル(800km)がせいぜいでしょうか?
500マイルといえば、免許が惜しければ、
どうしたって6時間はかかる。
運転者にも同乗者にも
充分にストレスもオシッコもたまる時間である。

夫婦二人で運転しても、その後
観光地で、即、全力での子連れ観光は結構きつい。

アメリカ大陸の地図を広げると、
そんな500マイルは
アメリカの上下左右の大きさの数分の一にも満たない距離であり
自動車旅行には
時間と忍耐とキャンピングカーが必須だと思い知らされる。

それでも、
我が家は、友人達に会いにドライブ旅行を敢行しています。
たとえば、
ニューオリンズまで600マイル。
ヒューストンまで500マイル。
その後、キーウエストまでとか、メキシコ国境付近までとか、一桁多いドライブを観光していますが、それはまたいつか別の機会に。。

そうそう車窓から、珍しいモノがたくさん見えました。。。。
その�:トルネード。初めての遠出ドライブでした。結構な雨。
走り続けると、結構な風も吹いているようです。木の枝なんかが、舞っています。
雨は激しくなり、10m先が見えません。ハンドルにかじりつくようにして運転を続けたのは、趣味の問題でしょうか。
日本でも、このぐらいの雨に遭ったことがある、なんて考えていましたが、
真っ白な壁に突っ込んでいくような運転が小一時間以上も続くと、さすがにアメリカの天気はすごいなーなどと感心してしまいます。
雨の地帯を過ぎると、路外転落の車多数みえて、アメリカ人の運転は乱暴だな、などと憤慨していましたが、
あとで、ホテルでニュースをみたら、私達はトルネードをかすめて、雷雨の中を運転していたのでした。乱暴なのは運転ではなく、トルネードだったようです。
桑原桑原。

その2:ホームセンター フリーウエイの車窓に、時々、ホームセンタ-という看板が流れていきます。日本では、よく大工道具や日用小物を買いに行ったものでした。
ほぅ、懐かしい、との感慨でその店を眺めると、それは、DIYの店ではない様子です。売っているのは、『家』でした。
大型トレーラーで運搬できるサイズの家を売っているのが、アメリカのホームセンタ-なのでした。

その3:轢かれるモノ 日本では、車に乗っていると、たまに薄っぺらくなったネコをみて、思わず合掌したりしてました。北海道では、たまに鹿や熊と勝負する強者もいますが、
こっちで見負けるのは、都会では、猫よりもリス。猫は屋内で飼われており、リスは野生にたくさんいる、というのが理由でしょう。
フリーウエィで、一番よく見かける動かないものは、破裂したタイヤの破片なのですが、その車がどうなったかは、知る由もありません。
生き物では、アルマジロとアライグマの事故死が目につきます。血まみれのアルマジロは、丸まっていなくて、子豚のようです。
いちど動かないアルマジロの写真を撮りたいと思っていましたが、なかなか、きれいなアルマジロ君には会えません。
また、かれらは、人に害のある病原菌を運んでいることがあるそうで、それを知ってからは、写真を撮る気も萎えてしまいました。
大雨の一般道で、カエルの大集団の大移動に遭遇したことがあります。数キロメートルに渡って道路は横断するカエルで埋め尽くされていました。
カエル大虐殺の時の運転手が、私だったか、妻だったか、、目撃者はいません。
帰路、同じ道は、カンカン照りで快適でした、何となく気になって、車を止めてみたら、行き遅れたカエルが、日干しミイラになっていました。
これは、私のせいではありません。犯罪者は現場に戻る。。。


(2004/05/18記す)