海外単身赴任に出ることになった。ちなみに任地はネパールである。妻は、私よりも忙しい境遇なので、引っ越しの荷物作りは、一人で行っている。医者は技術職なので、極端に言えば、身一つで現地入りすれば仕事は成立する。しかし、荷物というのは言い出せばキリがないぐらいに湧いてくる。
仕事関係の荷物としては、医療器具は現地医務室にあるのだが、いくつかの専門書は心の安心のために手放せない。値段も重量もズッシリである。また、疑問点をネットで調べたり、専門家にメールで質問したりと、今やネット環境は欠かせない。ノートパソコンは6年使った時代物だったので新調した。ネットをするには、プロバイダーへの接続料金はかかるが、たとえばテレビ電話ソフト(無料)を用いれば、日本の家族と通話料無料でテレビ電話ができる(もちろん国内でも使える。単身赴任や離れた親戚との連絡にもおすすめだ)。国際電話に1分100円以上かけたことが語り草の時代である。便利な世の中である。仕事着は、これまでは通勤はTシャツ・ジーンズ、仕事中は白衣や手術着だった。今後はYシャツ・チノパンが基調となるので、新調の背広とともに2-3年持つ分を仕入れた。
生活関係の荷物では、日本の食品や、日本式の生活用具があると便利と考えた。欧米化した生活はどこでも一般的と言えるが、日本的な品は心と生活に平安をもたらす。調味料や台所用品や服などがそうだ。米国の田舎で生活したときは、たまに調達できる日本の食品は、輸送費の関係か、なんでも約2倍の値段であった。今回も輸送コストどうせかかるのだ。この際なので好きな銘柄のソースやらソバツユを段ボールにごっそり入れてみた。そして忘れてならないのが銀シャリだ。現地の電気事情に合わせた海外仕様の炊飯器と、当座をしのぐ無洗米も箱詰めした。さらには常備薬。漢方薬フリークの私である。これも現地調達は困難なので、使用の可能性のある漢方を10種類ほどごっそり仕入れた。風邪などの急性疾患は、漢方薬をタイミングよく使用するのが、うまく治すコツである。漢方は常備すべきものなのだ。そのほか、生活用品の買い出しは、着任後すぐには出来そうもないので、簡単な工具、使い勝手の良い洗剤、防虫剤なども買ってみた。
趣味関係の荷物は、仕事モノと重複するものもあるが、パソコン関係では、中型のプリンターまで荷物にした。音楽はお気に入りのCD100枚以上をパソコンに入れて、荷物の軽量化を図った。一方で、iPADは買いそびれたので、趣味の文庫本は、大人買いして箱に詰めた。ローテクが吉と出るか凶と出るか。さらにネパールと言えばヒマラヤなので、トレッキング用品も一揃い仕入れてみた。また、お気に入りのお猪口も梱包したが、注ぐアルコールは現地調達を旨としたい。
単身赴任の友人や、経験者にアドバイスを求めては、荷物が増えていき、結局、中~大型の段ボールが20箱ほどになった。苦労して詰めた荷物だが、問題は、荷物が紛失せずに届くかどうかであろう。
人間死ぬときはタタミ一畳というが、生きて移動するのは、こうしてみると、物欲との戦いに他ならない。
お釈迦さまはネパールのルンビニ生まれとのこと。あちらで少し修業する必要があるかもしれない。
では、行ってきます。
(2010/06/30記す) |