お父さんのエッセィ

『季節外れですが、雪かきのこと』(1997/03/30)


『季節外れですが、雪かきのこと』


 3月も終わろうとする今日、旭川でも、道路のアスファルトが顔を出し、春の到来を私たちに実感させてくれています。それでも、午後からは、風が北向きとなり、ぱらついていた雨がみぞれに変わり、三寒四温の大陸的な冬の終わりを惜しむかのような日曜日でした。
ようやく雪かきから開放された私たちの、つい2週間前までの苦労をご披露しましょう。

 北国の人には、違和感のないことですが、旭川では、12月から3月まで露天ではアスファルトを目にすることはありません。幹線でも、10~15cmの厚さの圧雪もしくは氷の上を車が走っているのです。幹線を離れ、住宅街に入ると、公共の除雪には限界があり、道は圧雪でがたがた、また、家々の前には、積もったばかりの新雪が吹きだまっていたりします。

毎日使っている家内の車、朝にはご覧の有り様です。
積雪は、玄関から道路までの歩行スペースも同様であり、ここに『雪かき』の登場となるのです。
『雪かき』は、除雪とか、雪よけなどとも言います。湿っていない旭川の雪は軽いのですが、それでも、家の周囲をきれいに雪かきすると、結構な重労働で、防寒具の中で汗をかき、腰も痛くなります。(冬季の病院のお得意さまは、風邪と腰痛です。)最近では、電動やエンジン式の除雪機も販売されていますが、個人の住宅の除雪には大袈裟すぎ、小回りを考えると、やはり人力ラッセルということになります。
 ここで、雪かきの小道具を紹介しましょう。左側の写真を見て下さい。
 私の手にしている道具は、雪かき用の大型スコップ、プラスティック製の軽量のもので、うちでは代々『じょんば』とよんでいます。むかしは、竹の網で出来ていました。

そして、右側の赤い道具。柄の部分を押して、雪上を滑らせます。これが、ジョンバに比較すると大量に雪を運べる優れ物で、『ママさんダンプ』と呼ばれています。『スノーカート』とか『スノーダンプ』などとも呼ばれています。

 さて、賢明な読者のみなさまは、もうお解りでしょう。ここに提起された問題、、、そう、、『ママさんダンプ』っ!!です。
そこはかとなく甘い響き、、、『ママさんダンプ』、、、いい響きじゃありませんか!!
そして、そこに隠された大命題、『雪かきは、ママさんの仕事っ!!』
レディースディの敵をとったような(既出随筆『苦情のでない男女差別?』参照)、私にとっては恍惚とした響きですが、うちのかみさんは、北海道に嫁に来て以来憤慨しつづけています。
そんなこんなで、我が夫婦の性格として、雪かきは、毎日ではなく、必要に迫られたときのみ、必要と感じた人間が、必要な範囲だけ、行うことになりました。平等感は得られますが、わが家は他の家よりもたくさんの雪に埋まって冬を過ごすのです。
そして、妻は言います『老後は、雪のないところで暮らしましょう』って、、、。
(1997/03/30記す)