お父さんのエッセィ

『星空と女子大生と焼き肉と』(1997/09/05)


『星空と女子大生と焼き肉と』


 妻の姪が夏休みを利用して北海道を訪ねてくれた。
先にも書いたように、女子大生の北海道観光のネタには事欠かないわが家だが、今回はそんな中である晩美瑛におじゃました。美瑛と言えばパッチワークの丘が有名だが、またぞろその話しを虫干ししようというわけではない(もちろん丘も観光したそうですが)。

 観光丘陵を山一つ北にそれた谷、沢の村の体験農家(BURAハウス)を訪ねたのだ。時折ごやっかいになる農家で、妻のお気に入りスポットだ。妻が職場の同僚に連れられていったのが知己をえたきっかけだった。手作りと素朴さがウリのすべてで、古い建物を改造し客のために用意していてくれている。電灯と古ぼけたステレオが似つかわしくないぐらいの静けさだ。豚と鶏と畑と山と--それら命の恵みを少しだけ切り取って、それを大切にいつくしむすべをHost夫婦は教えてくれる。春には畑と萌える花、夏には虫と繁る山、秋には収穫と手作りリース、冬には雪としばれと暖かい薪ストーブで迎えてくれ、ソーセージ作りや自給焼き肉や、いつでもそこにあるがままの風景で私たちをもてなしてくれる。

 今回のお目当ては、自家製野菜と豚肉の焼き肉と、秋の夜長の天の川見物だ。
自給のため食材の種類が限られるが、たとえば豚肉は新鮮そのもので、普通の肉を拒絶する私も絶賛のビタミンの固まりだ。炭火の上で豪快に焼いてBURAハウス特製のたれにからめれば食はすすみ、ビール缶で炊く特製まぜごはんも美味。持参のビールを口に運ぶのを忘れる有り様だ。
 腹が満ちたら、次は星空ツアーとしゃれこもう。ツアーといっても、トラクターの荷台に揺られて街灯も少ない農道をまわって、その間ただ満天の星空を見上げるといったものだ。
久しぶりに首が痛くなるほど見上げた天の川、その濃淡の微妙な味わいは都市の中にいては絶対にお目にかかれないものだ。その壮大なスペクタクルに圧倒され皆寡黙だったが、それはまさに That`s the milky way. 星座に詳しくなくても『オッケー』。運が良ければ30分ほどのツアーで2、3個の流れ星にもお目にかかれる。(ただ、冬はとてつもなく寒いので、重装備で覚悟を決めてのぞむべし)

 天高く馬こゆる秋。くだんの女子大生はことほど左様に北海道の自然と食を満喫して★★Kg太ってのご帰還となった。
 私も、
 観光地めぐりやドライブではなく、ゆったりとしたoff timeの過ごし方を妻やHostから教えられた。
(下世話な女子大生話を期待していた方、残念でした!!!)
(1997/09/05記す)