お父さんのエッセィ

『ANAがあったら入ってほしい』(1998/08/21)


『ANAがあったら入ってほしい』


最近、1才の娘を連れての旅行の機会が何度かあった。
何て言うのだろう、概念のくくり方が判然としないが、、、
(以下、関係各位に失礼がありましたら、ご指摘いただければ幸いです。)
乳幼児や老人などの社会的弱者?や
ハンディキャップをもった人へのインフラ整備やサービスの充実は
わが国でも少しづつすすんできている様子である。
そうしたことは、自治体や企業にとって、一つの宣伝項目でもあろう。
そんな中で、
子連れ旅行をして気づいたことがいくつかある。

最近ある国内航空会社が乳幼児連れの旅行者への便宜を
サービスとして全面に打ち出した。
カウンターに宣伝文句が掲げてあったから間違いなかろう。
乳飲み子から航空運賃をとらないのは、
年齢制限の線のひき方に差はあるものの、だいたい何処の会社も行っている。
そんな旅行者にかぶせるサービスだから、
ゼニにはならないが、逆にそれほどのコストもかかるまい。
その会社が社会的に成熟している(紳士的な会社である?)ことを
アピールするねらいだろう。

その某航空会社のカウンターで
家族4人(夫婦と子供二人)チェックインをしたと思ってほしい。
カウンター嬢は手際よく座席確保や荷物の受け付けをおこなってくれた。
座席は料金を払っている3人分のほか
1才児のために空席を一つ組み合わせて
4席分をブロックで確保してくれて、その旨をinfant ticketに鉛筆書きしてくれた。
宣伝どおりに親切だった。
やがて搭乗となった。

ここからわが家の不幸が始まった。
地方空港から羽田への便である。
家族4人を4席におさめた私に、フライトアテンダントがクレームを付けてきた。
1才児分の席はお客が来るから空けておけという。
話が違う!!
カウンターのコンピューターで確認し、空席で便宜を図ってもらったと説明したが
聞き入れられなかった。
空席はほかにもあったが
そのおねえさんは我が娘の1席を奪い返すことに固執した。
ま、タダ席だから強いことも言えず、私は残る3席で席順を組み直した。
結局、その1席は空席のままだったが、席順をさらに入れ替えるもの大変だし
そのおねえさんから、空席使用のオファーがなかったので
空席は空気に座っていただいた。
不親切であった。

つぎに、羽田から旭川へ乗り継いだ。
この日はなんの加減か
乳幼児連れの旅行者への早期改札の配慮がされなかった。
配慮があると思って行列に加わってなかったし、
1才児を抱いたままの行列など願い下げでもあった。
結局、
私は子供を横だきにしたまま、連絡バス内で立乗車せざるを得なかった。
旭川線の駐機場は結構しいたげられていて、遠くにあるので、
バスの乗車時間が長く、成長のいいわが子を抱きつづけるのは結構つらいのだ。
とても不親切である。

どうやら、その航空会社のいう『乳幼児づれ旅行者への便宜』は
カウンターだけの話だったらしい。
到底、社会的に成熟した、気配りのある会社とは言いにくい。
キャッチフレーズだけ、口だけ、というのは
私のだいっ嫌いな路線である。
アス・ホールである。

社会的弱者の不便さはその身になってみないと実感されないのだと
そのとき気づいた。

(1998/08/21記す)