エピローグ
9月、日本が台風に襲われ続けているちょうどその時期
私はスペインにいた。
(台風の詳細は帰国するまで知らなかったが、各地で被災があったとのこと。
関係各位にお見舞い申し上げます。)
さて、私の廻った先々はほとんど快晴で、
これで、CNNがクリントンの不倫報道を垂れ流さなければ
完璧に気持ちのリフレッシュされる、すばらしい旅であったろう。。。
それはさておき、、、
この旅の発端は、春のうららかな日まで遡ります。
毎日ちんたらちんたら研究を続けている私に
ある日、指導先輩の命令が下った。
『おまえも国際学会の発表を経験しろ』、、、?
僕の知らないまま、学会参加申し込みは完了し、
僕の知らないまま、学会発表は受諾され、
僕の知らないまま、旅行日程は決まっていった。
くだんの先輩は屈強な男ではないが、
学問的にはエネルギッシュで、
国際学会にも慣れているらしい。
彼は英語のみならずドイツ語にも堪能で
そのせいか、ヒトラーに似ていると、私は思っている。
それで今後本文中では彼をH先輩(本当の頭文字はSですが、、)
ということにしましょう。
さて、研究というものは、なかなかの水物で、
予想された結果の出ないときは寂しいものである。
今回も旅行前には実験の結果をまとめて、
H先輩に銃殺されないような、
すばらしい発表が出来るものとたかをくくっていた私だったが、
予期に反し、発表する予定の結果は得られなかった。
学会出席は決まってしまっているのに、いいデータが出ない、、、。。。
(北朝鮮なんか、食料はなくてもテポドンをとばす時代に、
私ときたら戦いに行くのに、武器がないのといっしょだった。
敵前逃亡しようか??)
内心慌てた私だった。どっちにしろ、きっと銃殺だ。
が、H先輩は偉かった。
ここきて初めて学会の参加申込用紙に目を通した私だったが、
発表の要旨はH先輩がこれまでに手がけてきた研究の
いいデータを中心に記入紹介されていた。
おまけに、H先輩に相談してみると
すでに発表原稿の半分ぐらいまで英語で出来上がっていた。
神様のような人だ。
H先輩のHはヒトラーのHではなくてヒーローのHだったのかしら??
H先輩に戦争をやらせたら、本物のヒトラーより用意周到に戦うかもしれない。
私は舌を巻いて、ドイツ製のミサイル?じゃなかったルフトハンザで、
スペイン戦線に旅立った。
というわけで、H先輩におんぶに抱っこ状態で珍道中は始まった。
そこで、命題です。
『わたしのテポドンは軌道上に何を打ち上げたのか???』
この場合、将軍を讃える歌は聞こえてきはしませんが、、、。
つづく
(1998/10/12記す) |