お父さんのエッセィ

『OSCE(客観的臨床能力試験)を茶化す』(1999/10/23)


『OSCE(客観的臨床能力試験)を茶化す』


きょうは、難しい話です。
北海道では旭川医科大学が医学生のインタビュー(問診など、患者との対話)・身体診察など技術の向上への取り組みを始めた。それがOSCE(客観的臨床能力試験)だそうだ。英語ではObjective Structured Clinical Examinationというのだそうな。英語を聞いても、日本語訳を聞いてもなんだかピンとこないが、たとえて言えば、障害物競走、バイアスロン、RPGが近いのだろうか、、、。

受験者(学生)はインタビュー(問診など、患者との対話)・身体診察などの課題が設定された部屋(場所)を廻って、制限時間内に課題をこなし評価を受けるのだ。みなで同じ課題を、ほぼ同じ条件でこなすのだから、従来評価しにくかった診療技術を客観的に把握できるし、フィードバック(反省と向上)も容易など、いろいろなメリットが言われている。
いずれにしても、情報収集能力を向上させ、本で学んだ知識と患者さんの発信する情報を有機的に対応させることは、いいことだし、それを規格化したことは特筆すべき医学教育上の進歩だ。
(私は当事者=教官ではないのでこれ以上詳しくは知りません。以下、不正確な情報がありましたら、判明した時点で訂正させていただきます。)

さて、こういう風に書くと、つぎは一歩退いたはなしです。。。
こうした変化は、4,5年前に病院職員が『接遇』を学んでいたことに比べると、遅すぎるともいえる前進ですが、、、

嘆かわしいのは、インタビュー技術には、人と接し会話する能力がふくまれ、いきおいそれは、マニュアル化して教えられると言うことです。

こうしたことを学ぶことは悪いことではないが、『人と接し会話する能力』というのは二十歳過ぎの大人としては、すでに習得しているべきことでしょう。会話の細かい技術論は私だって学んでいませんし教わりたいぐらいですが、人間対人間の会話における基本的な礼儀とか、人格への敬意といった常識は、表出の仕方は別にしても??体得しているべきものでしょう。百歩譲ってそれがなってない現状をふまえるにしても、これを短時間画一的にレクチャーするとすると、その能力が成長を始める前のseedは、stereo typeなわけで、平たく言えば、マクドナルド的は新米医が造成されるのです。
あなたが、患者として診察室にはいると、どの医者も『いらっしゃいませ、こんにちは。』と話し始めたりする時代が来たりして、、、。
悪いことではありませんが、笑えます。。。

療養型病床群の設定や、介護保険の導入など、医療制度として出来高払い制からの脱却を目指している我が国の現状では、こうした接客技術の向上はまじめにかたられざるを得ない状況です。マクドナルド医の出現と、インフォームドコンセントを要求する社会的・法的要請とを斟酌すると、お客様(患者さん)は、(検査や治療におけるオプションの選択権を病院側にまかせるという)お任せパックコースを選べない時代が迫っているのです。マクドナルド医をみて、あの先生に任せておけば安心などと思う人は少ないかもしれませんが、お客様(患者さん)も賢くならねばならない時代ともいえます。世知辛い世の中ということでしょうか。
悪いことではありませんが、笑えないかもしれませんね。。。


(1999/10/23記す)