家族で米国を旅した。
娘は2才なので気の向いたときしか歩かない。
そして、とんでもないときに排泄する。
参ったのは、ある飛行機の中でのことだった。
娘は排泄すると、おぼえたての言葉を発する、、
『うんちでた。うんちでた。ウンチ出た。』
まわりに日本語を解する乗客がいないのが幸いだが、
おむつを換えるまで、執拗に叫び続けるのだ。。。
阿鼻叫喚の世界というやつだ。
前の稿で、アメリカ人は子供を大切にすると書いたが、
彼らにはもっと大切な物があった。
それは、金だった。
日本国内の飛行機では2歳児は親の膝の上なら無料だが
国際便などは、1席分の居場所を買わなくてはならない。
家族4人のボンビー旅行だから、当然エコノミーだ。
ところが、大抵はエコノミーシートの前にはビジネスシートなどがあるわけで、、、
ウンチの話とどう結びつくかと言いますと、、、
妻が、泣き叫ぶウンチ女を抱いてトイレの列に並んだと思って下さい。
子供は執拗に泣いています。。。
そこで、ビジネスクラスへのサービスが始まったのです。。。
乗務員が言います。
『サービスの邪魔だから席に戻れ』と。
日本語は解らなくても、泣いてる子供の要求は明白のはずです。
でも、乗務員の要求は泣く子よりも頑固でした。。。
そう、アメリカ人の道徳律にはお金というフィルターがあるのです。
トイレの沙汰も金次第というわけです。
アメリカの飛行機の中です。彼らの価値観に文句は言えませんが、
旅費をけちった我々には非情な現実です。
ドル札を叩きつけて、『トイレ使用料はいくらか?』と言ってやろうかと思いましたが、
私の価値観では金満は下品なので、やめときました。でも
必要な場面では金を惜しんではならないというのが、私の得た教訓でした。
トイレの顛末ですが、、、
その後なんとかトイレにたどり着きました。
そのとき、乱気流が始まり、別の乗務員が『席に戻れと』私に忠告しました。
(怪我をして訴えられてはかなわないと言うことなのでしょう。)
彼は先の事情を知らない様子でしたが、
もう、妻はおこってむくれています。
ここで追い返されては、妻に示しがつきませんし、娘が惨めです。
わたしは、その乗務員をにらみ返し、
危険は自分の責任で対処すると宣言し、トイレにこもったのでした。
すごい乱気流でした。
トイレの床に座り込んで自分の体を支え、娘を便器に固定し、、、
残りの排泄をさせ、服を取り替え、、、
父親は子供の排泄の世話やおむつ洗いを通して、本当の父親になるのだそうです。。。
(1999/11/28記す) |