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さらなる技術の向上のために
その一はじめに、この中級編では、基礎的な技能であるスケーティング、ストップ、ダッシュ、シュート、パスなどはとりあえず習得できており、それらの確実性と試合での応用を習得しようとするプレーヤーのために、練習方法とその目的、ポイントを解説する。 1.ハンドリングパックを確実にキープすることは、その時点からパス、シュート、そしてディフェンダーをかわす動作を起こすために絶対必要なことである。ハンドリングを確実にできればそれからの動作を周囲の状況を捉えながら行え、その後の動作の成功に結びつく。今回の練習目的は、以上のことをふまえパックとスティックそして自分とを一体化することである。
まず、パックを持ちながらリンクを周回しよう。コーナーでのカッティングを必ず行い、普段のスケーティングと同じスピードで周回する。時折スティックからパックがはずれるだろうが初めは気にしないでも良い。パックがはずれたと分かることが重要である。パックがはずれた場合、スピードを落としてはならない。はずれたと分かった瞬間、パックが視野からはずれる前にスティックでパックの軌道を修正する。これが後にはドリブルに発展していく。 必ず守るべきことは、パックに視点の中心を置きっ放しにしないこと。常に周囲を見ていることが最良であるが、できない場合はスピリットビジョンを用いても良い。しかし、必ず視線を上げることを意識していること。 さて、パックと少しは友達になれただろうか、友達は自分から離れることはない。必ず離れる原因はこちらにある。しかし、いつもくっついてばかりだと味気ない。時には放してやらないと。でも、戻ってこないと寂しいので軌道を付けてやろう。基本姿勢のままパックを横方向に30cm程からドリブルする。スティックをパックの上を通すこと。こうすれば自ずからパックの移動方向とスティックの移動方向が一致する。スティックからパックが離れる時、スティックをパックから引き抜くような感じで行う。これでパックに回転がかかり、パックの姿勢が安定する。常にヘッドアップすること忘れないこと。パートナーがいれば、話をしながらやるのが良いだろう。 パックとスティックとが離れながらも一体に思えるようになったなら、移動の距離を少しずつ離し、グリップエンド側の手では片手となり体全体でドリブルする広さまで行う。これが違和感なく行えるようになったなら、今度はドリブルのスピードを速くしていく。スピードが上がるにつれ、肩や腕に力が入りがちになってしまうので、力が入らないようにリラックスする。歌でも口ずさもう。歌のリズムにドリブルが合ってきたらしめたもの、それに合わせて移動距離、スピードを変えていこう。 次は、縦方向のドリブルである。ブレード側で行う。要領は横方向と同じであり、移動距離、スピードを徐々に増していく。そして斜め方向、8の字、そしてランダムにできるようにする。 今までにやったことの組み合わせである。何度も言うようだがヘッドアップすること。周りで滑っている人やリンクサイドにいる人を観察するつもりでやってみよう。時にはダッシュやコーナー以外でもカッティングを織り混ぜて行えるようにする。 ストップした時点でパックは既に次のダッシュ方向と軌道方向が同じでなければならない。それには、ストップに入る態勢でパックはスティックに被せられており、ストップする少し前でスティックから放たれている。 今回は、項目数は少ないが確実な習得には時間を要する。1日で会得するのは無理であろう。練習で自分の番が来るまでの待ち時間はドリブルの練習に最適である。周囲の状況に目を配り、ドリブルに頭が集中しないよう様な環境下にあるからである。ドリブルは体に覚え込ませるようにしていこう。 ドリブルをする目的は何か。それは、いついかなる時でも次の動作に入りやすくするためである。つまりは、パス、シュートなどをそれを行おうとした瞬間にそれができるようになるのである。次回は、そのひとつのパスと敵にそれをさせないためのチェックを取り上げる予定である。 その二2.パスどんなにダッシュが速いといえども、パスの速さに勝つことはできない。ゆえに、足を使ってディフェンダーを抜くよりもパスを使ってディフェンダーを抜くことの方がより有効である。しかし、パスを出すことは自分からパックが離れることであるから、敵にパックがわたる危険性は高くなる。ディフェンディングゾーンから持ち上がり、シュートを決めるまで、キープできるに越したことはないが、これは非常に困難である。要は、適時、適所でパスを出すことである。今回の練習目的は、適時、適所でパスが出せるように、パスを出せる体勢を素早く作るようにすることと、適時、適所を学ぶことである。
まず、2mほど離れてスケーティングをしながら、フォアサイドのパスを行う。パスをレシーブしたなら、素早くパスを出せる体勢を作り、パスを出す。気を付ける点は、レシーバーは必ずスティックをパスをもらいたい位置に置いて、パスをもらいたいときに声を出すこと、パーサーはパスを出す前にその位置を確認し、声が出たときにパスをすることである。パスの強さは、相手が取りやすい最大の強さで出す。強ければ強い程良いと言うことではない。 次いで、レシーバーはダッシュし、パスを受けたならスピードを落としダッシュしているレシーバーにパスを出す。この時、パスはスティックに行くに越したことはないが、ずれることがままにしてあるだろう。レシバーはこれをスピードを殺さずにキープの基本位置にワンステップで戻せるようにする。スケートのエッジを用いれるようになれば、足元へのパスのレシーブも苦にならないだろう。 バックサイドも同様に行い、慣れてきたならば、レシーバーは斜め、横など任意の方向に動き、それに対応したパスを出せるようにする。 2人とも、フェンスからスティック1本分位を開けて離れ、リターンパスと同様にパスをする。2人の間には人がいるだろうから、その人達の背方を通るパスを出す。あるいは、その人がパーサーの近くであったなら、スティックと足の間や足と足の間を通すことも試してみよう。全くの他人だったならこれは避けた方がいいかもしれないが、やってみてパックがあたってしまったら謝ればよい。 2人はランダムにリンク内を動き、レシバーはパスをもらいたいときにダッシュしながら声を出しパスをもらうようにする。フェンスを使ったパス、縦パスなども含め、周りにいる人をディフェンダーに見立てて行ってみよう。 ディフェンダーが近くにいないとき、ディフェンダーがスティックをのばしてもパスの軌道に届かないとき、ディフェンダーが自分の後ろにいるときがパスが通りやすく、自分がスピードにのっているときがパスが最も有効になる。これらの条件が整う位置にレシーバーは動かなくてはならない。 そして、パスを出すのは、ディフェンダーが近くにおり、そのスティックがパスに軌道に届かないとき、もしくはパスに反応できないときがより有効となる。忘れてはならないのがレシーバーがいるときである。 パスが通り、有効となるときは一瞬であることが多い。その瞬間を逃さないために、前回の講義を元にいつでもパスが出せる体勢を整えておくことが必要である。パスを出す前に必ず周囲の状況を把握し、レシーバーの動きを予測しておかなければならない。また、マークがついていない味方がいるとしても、止まっていたり、パスをレシーブする意志のないプレーヤーはレシーバーではない。レシバーがいないときは自分でキープし、声をかけるなどして、パックを奪われる前にレシーバを作らなくてはならない。無理な体勢からのパスや、レシーバーがいないときのパスは重大なピンチを招くことが多いので気を付けること。 パスにはまだまだ解説することがあるが、またの機会にするとして、次回は今までの講義で取り上げたことを敵にさせないためのチェックとマークを取り上げる予定である。 その三前回までの講義は、主に攻撃に対するものであったが、今回の講義は敵にそうさせないための防御について述べていく。 3.チェックまず、チェックの目的は、敵の攻撃のリズムを崩すことにある。パックを奪い攻撃につなげることが最善であることは言うまでもない。 チェックを仕掛けるにあたり、まずしなければならないことは、敵の動きを予測することである。最も、チェックが決まりやすいのは、敵がパックをもらった瞬間、ドリブルで下を向いた瞬間など、次の動作を行おうとするときや周囲の状況から目を離したときである。この時は、パックに対して直線的に向かってもかわされることは少ない。スティックのブレードをパックに、体を敵の体に当たるようにする。このスティックと体の向きはチェックに於いていかなる時も有効となる。 また、チェックをする場合心理的な圧迫が功を奏することがままとしてある。必ず止められるという自信が体に余裕を持たせ、体を大きく見せ、敵に焦りを生じさせる。こうなればしめたもので、敵は動作に躊躇し反応時間が遅くなる。そこをねらってスティックを出せば、カットができるはずである。 チェックには大きく分けると、フォアチェックとバックチェックの二つがある。フォアチェックは敵に自分から向かって行ってチェックをするものでアタッキングゾーンで多用される。バックチェックは向かってくる敵に対するチェックで、ニュートラルゾーンで多用される。ポークチェックはこれに含まれる。これらに共通することは、敵を外側、つまりフェンス近くに追いやることである。 以上のことを念頭に置いて次のポイントをチェックができる練習で確認してもらいたい。
4.マーク敵をマークすることにより、レシーバーを作らないことが目的である。マークをする場合の居るべき位置は、パッサーとレシーバーの間だのレシーバーに近い位置である。近いといってもレシーバーに接触しそうな位置は避けるべきである。なぜなら、レシーバーはたった一歩のダッシュでマーカーをかわせてしまうからである。攻撃の立場からすると、レシーバーはわざとマーカーに近づき、いざという時に、マーカーをはずしレシーブする方法があるほどである。 また、マークをしていても、パックから目を離さないことを忘れてはならない。では、どの様にしてマークするべき敵の位置を知るのか。視野に敵を入れておくことが一つ、そして敵の動きを予測することである。敵の動きを予測することを難しく考えてはならない。自分が敵の立場であったならどう動くかを考えればいいのである。しかし、攻撃の動きが分かっていなければこれはできないことになる。これは、ここで言及することは避けるが、経験が多くを占めることは間違いない。防御をしながら、攻撃の動きを学ぶことが出来る事を知っていてもらいたい。 確実にマークが出来ていれば、いい加減なパスでない限りパスが来ることはまずない。しかし、プレッシャーをかけられたレシーバーは、このようなパスをしてしまうことがままとしてある。この時はしめたもので、落ちついてインターセプトし、攻撃に反転する。マークについていた敵がパックを奪いに来るであろうから、その場からパックをキープして離れるか、パックを遠ざけるかしなければならない。 次回の講義内容は未定である。
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