水の電気分解を安全に  


☆水の電気分解は水酸化ナトリウムが危険

 水の電気分解は、水が酸素と水素からできていることを確認する大変重要な実験です。
しかしながら、純粋な水はほとんど電気を通しませんし、
水道水であっても電気分解がスムーズにできるほどの導電性はありません。

そこで、電気分解で出てくる物質(水の電気分解では、酸素と水素)の「じゃま」をしない範囲で
水に導電性を持たせる物質を溶かします。
ほとんどの教科書には、

水酸化ナトリウム水溶液を使うように

書かれています。

水酸化ナトリウム水溶液はタンパク質を溶かす性質があり、皮膚につくと少しずつ浸透する場合があり大変危険です。
(さわるとぬるぬるする感じは、皮膚の表面が少しとけたために感じます)

そこで、安全性を高めるため

ゴム手袋と安全めがね

を実験行う全員が装着すると良さそうです。

しかし、
ゴム手袋は破けやすい物が多く、
安全めがねを外して目をこする 場合もあります。

そこで、

水酸化ナトリウム以外を使って

水の導電性をあげる工夫をします。


☆結論は、炭酸ナトリウム

 いろいろ試した結果、水酸化ナトリウム以外の物質として、

炭酸ナトリウム(Na2CO3)

が一番実験がスムーズにいきます。

NaCO3_souchi_480.jpg

炭酸ナトリウムは試薬で購入してもよいのですが、
100円ショップなどでも扱っており、
「セスキ炭酸ソーダ」の名前で売られており、
上の写真の例は、150 gで105円の商品です。

上の写真の電解装置を使用して、次の条件で実験しました。

電解液:炭酸ナトリウム水溶液 10 %w/t
電極:ステンレスねじ
電源電圧:15 V

結果としては、水素が4 mL集まるのに約5分でした。


☆炭酸ナトリウム以外の電解質

(a)カリミョウバン (KAl(SO4)2・12H2O)
 20 ℃付近の飽和水溶液では、濃度足りないようで、水素4 mL集めるのに約10分かかりました。

(b)硫酸ナトリウム (Na2SO4)
 溶解度も高く、20 ℃で20 %w/tの水溶液も用意できます。
 しかし電極が腐食しやすく、ステンレス電極の場合、電気分解後に水溶液が茶色になってしまいます。

(c)炭酸水素ナトリウム(重曹 NaHCO3
 溶解度が低く、炭酸ナトリウムよりも時間がかかります。


☆その他(電圧について)

・乾いた素手で感電しない範囲の電源電圧で実験を行うと、電源電圧は30 Vくらいが限界です。
・電源電圧が2倍(15 V → 30 V)になると約半分の時間で気体が集まります。
・直流30V出せる電源装置が少ないのが現状ですが、もし、高電圧を出せる直流電源装置があれば、水溶液を薄くすることができ、安全で経済的です。

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