ダニエル電池を手軽に 

☆ダニエル電池は準備が大変?


 化学電池の実験と言えば、ボルタ電池が有名です。

 歴史的にもボルタ電池が早くから使われていました。
 現在、私たちの身のまわりでは、ボルタ電池を改良した電池が使われています。
 電池の歴史を見ていくと、先人たちの発想を学ぶことができます。
 その一つに、ボルタ電池の改良があります。

 ボルタ電池は電極に気泡がつくなどして起電力がすぐに低下する問題があります。
 そこで、ジョン・フレデリック・ダニエル(1790~1845)は1836年にボルタ電池を改良した電池を発明しました。
 学校でも、ボルタ電池とともに授業で扱われるようになりました。

 しかし、セロハンチューブや素焼きの容器など、2つの電解液を分ける必要があり、実際に実験をすると、いろいろと手間がかかります。

 ここでは、ダニエル電池を「サンドイッチ型」にして、手軽に実験できる工夫を紹介します。

☆実験装置


  ・電極は表面の汚れや酸化膜を紙やすり(耐水ペーパーが良い)などで取り除いておくと良いでしょう。
  ・セロハンは100円ショップのものでも十分です。
  ・従来、ビーカーなどに入れていたZnSO4とCuSO4の2つの水溶液は、クッキングペーパーにしみこませて使います。
  ・この方法は、CuSO4とCuSO4の廃液が少なくてすむ利点があります。

  下の断面図のように電極・クッキングペーパー・セロハンを重ねて、サンドイッチのようにします。

  ・CuSO4の濃度は2 mol/L (24 wt%)
  ・ZnSO4の濃度は0.5 mol/L (7 wt%) で行いました。(あくまで濃度は目安です)
  ・電極の大きさは約 1 cm×5 cm です。(電極が大きい方が電流値は上がります)


  sandwitch_danmen.gif


  ・電極、クッキングペーパー、セロハンを密着させるために、洗濯ばさみを使用します。

    実際にセットした様子


☆負荷をつなげた場合


・電子オルゴールやソーラーモーターは十分に回ります。

solar_motor_connect.jpg
ソーラーモーターに接続したときの、電池の両端電圧は0.75 V でした。

e_melody_connect.jpg
電子オルゴールに接続したときの、電池の両端電圧は0.96 V でした。

☆実験後の様子


   ・Cu電極には銅が析出し、Zn電極にはZnが溶け出します。なぜ銅が析出したのかを考察するところがポイントかもしれません

Cu_pole_after.jpg
Cu電極とCuSO4 をしみこませたクッキングペーパー


Zn_pole_after.jpg
Zn電極とZnSO4 をしみこませたクッキングペーパー


☆その他


・セロハンの中には、高価なものがありますが、100円ショップなどで販売されている安価な物で十分です。
・色付きのセロハンの場合、クッキングペーパーに「色移り」することがあります。
・電極の面積は大きいと長持ちしますが、写真のように1cm×5cm程度でも十分です。
・洗濯ばさみはなくても起電力は発生しますが、接触不良が起こりやすくなります。


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