火山岩と深成岩の違いを再現する実験mizu_0_1_ml_light.jpg


☆火山の学習では数少ない実験です

 火山で作られた岩石(火成岩)として、中学校では火山岩と深成岩を扱います。(高校では、半深成岩も扱います)
この2つは、地下にあるマグマの冷え方によってできます。

急に冷えると火山岩(斑状組織),

ゆっくり冷えると深成岩(等粒状組織)

ができます。

これを実験室でマグマの代わりに結晶ができる物質を溶かして冷え方の違いによる結晶を見る実験があります。

 この実験は教科書などで,「サリチル酸フェニル」を使う方法が紹介されていますが,実験が終わってからの後始末を考えると大変です。サリチル酸フェニルは,親油性の薬品なので,水洗いでは落ちません。

 そこで,素材として,水道水を金魚の水として使用する時に使う

「ハイポ」(Na2S2O3 (チオ硫酸ナトリウム)

を使うとこれが解決できます。

 1 すぐとける・・・・融点が48℃なので,「マグマの模型」が試験管などですぐにできます。

 2 水洗い・・・・・・水にとけるので後始末が簡単です。しかも金魚の水に入れるくらいであり人体への害も少ないです。

 3 安い・・・・・・・・1kgで500円〜1000円と,ペットセンターなどの熱帯魚コーナーに行けばすぐ手に入ります。

 最近は甘味料の 「エリスリトール」 C4H10O4  も素材として使えます。後半に紹介しています。

☆マグマの模型を作る

  1. 18mmの試験管の半分まで,ハイポを入れ、ゆっくり加熱します。

  2. すぐにとけて,試験管の4分の1くらいの液体になります。(このとき焦がしてはダメ)

  3. ガラスのシャーレを2つ用意します。

  4. 一つは,氷水をはったお皿の上におきます。もう一つは,ぬるま湯(40℃程度)をはったお皿の上におきます。

  5. それぞれのシャーレにハイポが融解した液体(マグマの模型)を流し込みます。

  6. 氷水の方(急激に冷やした火山岩の模型 斑状組織)は5分で細かい結晶が出てきます。

  7. お湯の方(ゆっくり冷やした深成岩の模型 等粒状組織)は30分以内できれいな模様ができます。

  8. スケッチをする。

 

☆結果の写真

左:ゆっくりひやしたもの(深成岩の模型)    右:急に冷やしたもの(火山岩の模型)    

 

 

☆実験途中の写真

ゆっくり冷やしたもの(深成岩のモデル)

急に冷やしたもの(火山岩のモデル)


10分後
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5分後
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20分後
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15分後
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30分後
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☆うまくいかない場合の対策

 

 ハイポだけを融解させて液体にしたものを固めた場合、結晶が1つになってしまう場合があります。(結晶核が少なかった場合)

 そこで、18mm試験管に1/4ハイポをいれ、水道水を2滴(0.2mL 程度)加えます。

 ガスバーナーで加熱し、すべて液体にしたものを使うとゆっくり冷やしたときにより、等粒状組織に近い模様になります。

 

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    ゆっくり冷やしたシャーレ                   光にかざしたもの

結晶が何カ所かで成長し、せめぎ合っている様子がわかります。より等粒状組織に近い模型ができました。

水を入れすぎると固まるのが遅くなります。また、針状の結晶が多くなります。

 

☆ガラス棒でかき混ぜて急に冷やした場合

 

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   ガラス棒でかき混ぜたシャーレ           光にかざしたもの

 

火山岩は衝撃も加わって固まりますから、ちょうどその再現になります。

ゆっくり冷やしたものとの違いがはっきり観察できます。

 

☆水を入れすぎた場合

 

mizu_iresugi.jpgハイポの質量の10%の水を入れた場合

 

模様に変化が出てきます。入れすぎると等粒状組織の感じがなくなっていきます。

また、固まるのに時間がかかります。

入れる水はごく少量がよいことがわかります。

(ただし、入れる水の分量によって結晶の形が激変するのでこれを観察するのもおもしろいでしょう)

 

 

☆エリスリトール(甘味料)で行う(ハイポ以外の素材)

 三菱化学フーズ梶ihttp://www.mfc.co.jp/)などで扱われている、

エリスリトール(甘味料)もこの実験に適した材料です。
18mmの試験管に入れ、ハイポと同様に行います。

エリスリトールの融点は120℃くらいですので、溶かす時間もハイポとさほど変わりません。

ハイポとの違いは、等粒状組織の模型が短時間でできるところです。

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ゆっくり冷やしたもの(固まるまでに3分です)     ガラス棒で少しかき混ぜ急に冷やしたもの

 

◎条件によっての違い

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シャーレにゴミがついているとこのようになります。

固まるときに、結晶核がいくつもあることがわかり、そこから放射状に固まります。

 

もっとゆっくり冷やすと、模様がひとつになります。

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シャーレを金網に乗せて100℃にした場合

 

 エリスリトールでこの実験を行う場合は、シャーレをきれいに洗浄しておくことが大事です。

水道水がシャーレに残っている場合も、結晶が細かく成りすぎて、観察に適しません。

 

☆その他

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