オオカナダモのヨウ素デンプン反応
☆光合成しているはずなのに、青紫色にならない
「光に十分に当て、酸素と思われる泡が出ている」
「そのオオカナダモを脱色してヨウ素液をかけて顕微鏡で見ても、褐色の世界が広がるだけ。」
実は、なかなか青紫色の葉緑体は見えません。
アオミドロなどの植物プランクトンで実験する方法がありますが、
やはり葉の形をした物でも確かめたいものです。
そこで、いろいろ対策を考えてみることにしました。
☆オオカナダモの準備
◎光合成に必要な二酸化炭素を用意します
- 1%の炭酸水素ナトリウム水溶液を用意します。(水道水500mLに炭酸水素ナトリウム5g)
- オオカナダモは、ペットショップで購入しました。(野生の物でも大丈夫でしょう)
- ペットボトルにオオカナダモと1%炭酸水素ナトリウム水溶液を入れてふたをします。
(炭酸水素ナトリウムを水に溶かすことによって、水中のCO32- が多くなります。)- 密封することで、二酸化炭素が逃げずオオカナダモに吸収されやすくなります。
オオカナダモをセットした様子
◎光を当てます
◎葉を脱色・処理します
脱色・ヨウ素液で処理したオオカナダモの葉
(肉眼でも葉の先端と外側が青紫色になっていることがわかります)
☆顕微鏡観察の様子
◎LED光源の場合
一部は緑色の葉緑体が残っています。
ほとんどの葉緑体が青紫に染まっています。
◎蛍光灯照射の場合
葉の先端の様子(100倍)(左:しぼりを閉じた状態 右:しぼりをあけた状態)
(先端は光合成が盛んな様子です)
400倍で観察(葉緑体でデンプンが作られていることがわかります)
◎観察の注意
(左:葉緑体が観察できなかった例 右:葉緑体が観察できた例)
同じプレパラートの同じ位置ですが、ピントを合わせる深さで観察できないことがあります。
深さとしては、浅いところと深いところの中間が良好です。(オオカナダモは細胞が2層以上になっている)この観察はピントの合わせる「深さ」で観察できるできないが分かれます。
☆まとめ
光合成をするときに必要な二酸化炭素を多くする(炭酸水素ナトリウム水溶液を使用する) 水温が上がらないように光を当てる(直射日光より蛍光灯 赤色LEDと青色LEDの光も注目されています) 葉の中でも先端や周辺の細胞で光合成が盛んである 高倍率のピントを合わせる深さがポイント
☆その後のオオカナダモ
炭酸水素ナトリウム水溶液に4日つけたオオカナダモをヨウ素液で染めました。
(脱色せずそのままの葉に市販のヨウ素液を2倍に薄めた物を使用)
参考:水道水を入れたペットボトルに4日間つけたオオカナダモ
(脱色せずそのままの葉に市販のヨウ素液を2倍に薄めた物を使用)
真ん中の一部が青紫色になっているだけで、観察に適しません。
☆脱色については、色を抜くというより、エタノールや熱湯による処理で
オオカナダモの細胞壁が柔らかくなることが重要なのかもしれません。
細胞壁が柔らかくなることでヨウ素液が中にしみこみやすくなります。
炭酸水素ナトリウム水溶液で柔らかくなった葉の葉緑体は脱色なしで青紫色になっています。
☆炭酸水を使う方法
◎炭酸水素ナトリウム水溶液以外にも、市販の炭酸水(糖分のない炭酸のみのもの)でも試してみました。
光照射や、熱湯につける方法、ヨウ素液の濃度は炭酸水素ナトリウム水溶液の実験と同じ条件にしました。
光照射6時間後
左から1%炭酸水素ナトリウム水溶液、水道水、炭酸水を半分に薄めたもの、炭酸水素のまま です。一番左の炭酸水のオオカナダモは白くなってきています。オオカナダモは酸性の環境には適さないようです。(参考文献3)
炭酸水そのままの場合(原形質分離しています)
炭酸水を水道水で半分に薄めた場合(少し原形質分離しています)
☆その他
ヨウ素液は、4倍に薄めた方が良いという報告もありますが、本実験では、4倍では青紫色にならず、2倍に薄めた物が一番良い結果になる場合もありましたが、
ヨウ素液は8倍程度に薄めた物から試し、染まらない場合は濃い物にしていく方がよいようです。
ヨウ素液で染める前
ヨウ素液(市販を6倍希釈)で染色
☆参考文献
1) 光合成と葉緑体について調べよう(リンク切れ)
http://www.edu.pref.kagoshima.jp/kari/rika/tyuugaku2/kyouzai/01page/page13.htm2) OKWave オオカナダモの光合成の実験
http://okwave.jp/qa888016.html(リンク切れ)
3) 水草水槽.com オオカナダモの育て方
http://mizukusasuisou.com/hinshu24