ろうの状態変化を手早く


☆基本はビーカーですが・・・・

◎ 「状態変化では,体積は変化するが,質量は変化しない」ということをろうを使った実験で確かめます。基本はビーカーにロウを入れて実験します。これは教科書にものっていますが,実際にやると大変時間がかかります。ろうはすぐに融けますが,なかなか固まらないからです。

◎ ビーカーに入れるろうの量を減らすと,速く固まりますが,体積が変化する(ろう表面のへこみ)がはっきりわかりません。

◎ 小さい金属の容器があるといいのですが,安く上げることが難しくなります。ドリンク剤のフタは,中のパッキンに使われている樹脂が融け,あふれやすく質量が変わりやすいので意外に使いにくいのです。

ドリンク剤のフタを使ったろうの状態変化(作るのが難しく失敗しやすい)

 

◎ そこで,アルミの入れ物を使ってこの実験を行いました。

  ・アルミカップだけでは,剛性が弱いことと,ろうがこぼれたときに受け止められないので,金属皿を使います。

 

  アルミカップ(9個100円),金属皿(ステンレス製,6個100円)

 ☆最近は金属皿が100円ショップで手に入らなくなってきましたので、アルミカップ+ビーカーの組み合わせで測定しています。

bi-ka-no_rou.jpgアルミカップに入れたろうを50mlのビーカーに入れ、ビーカーごと加熱します。

bi-ka-in_rou_on_hakari.jpgビーカーごとはかります。シャーレをおいてあるのは、ビーカーの熱が電子てんびんに伝わりにくくするためです。(上皿てんびんではこのようなことは必要ありません。)

この方法では、ビーカーが熱を伝わりにくくし、ゆっくり温まります。

アルミカップからあふれることも少ないようです。

◎液体になって、すぐに加熱をやめればアルミカップからあふれません。(体積の膨張であふれるのではなく、アルミカップを伝わって裏に回り込むのです。)

 

☆利点

・10分で固まり,へこみができます。(50分の授業でも大丈夫)

・1セットあたり10円〜30円くらいでできます。(安い)

・固まったろうを取り出して,手で触ることができます。(体積の収縮を肌で感じます)

 

☆材料

 ・アルミカップ (チョコレートなどを自作するときにつかうアルミ箔でできたもの)

 ・金属ざら(またはビーカー) (プラモデルのカラーをぬる時に使う小さなお皿)

 ・ろう (普通のろうで十分です。)

 

☆作り方

・実験をやる前に用意をしておいたほうがよいと思います。

・大きなビーカーにろうそくのろうを入れて加熱し,融かしておきます。

・アルミカップと金属皿を用意します。

 金属皿の上に,アルミカップをのせます。

 

・融かしたろうを流し込み室温で冷やします。

・ろうを入れすぎるとあふれやすくなりますので、8分目までにします。

  まん中がへこんでいるのがわかります。

 

☆実際に使ってみました。

・1回目と2回目は異なる試料を使っています。

 

◎ガスバーナー

・ガスバーナーを使えば,3分程度で液体になりますが,蒸発してしまい,質量が変りやすくなります。

・弱火でやれば大丈夫ですが・・・・。

状態 固体 固体→液体 液体→固体
金属皿込みの質量(1回め) 6.1g 6.1g → 6.0g 6.0g → 6.0g
金属皿込みの質量(2回め) 6.5g 6.5g→6.5g 6.5g→6.5g
時間 0分 3分 10分

 

◎アルコールランプ

・アルコールランプの方がろうの蒸発を防げるので質量は変化しにくいようです。(ただし時間がかかります)

状態 固体 固体→液体 液体→固体
金属皿込みの質量(1回め) 5.9g 5.9g → 5.9g 5.9g → 5.9g
金属皿込みの質量(2回め) 5.7g 5.7g→5.7g 5.7g→5.7g
時間 0分 5分 10分

 

・熱した後の様子(失敗例)

 

一度加熱すると,液体になってからさらに体積が膨張し,金属皿にこぼれることがあります。

→ アルミカップからあふれるくらい,液体になったときには体積が膨張するわけです。

アルミカップの半分までしかろうを入れなくても,アルミの表面を伝って外にもれます。

金属皿のおかげで,質量が変わらないことはしっかり確認できます。

・ろうが液体になった瞬間に加熱をやめることができれば試料を再利用できます。

 

・実験が終わったあと,アルミカップを手で破いてろうを取り出すと,ろうがへこんでいるのが指でさらによくわかります。

 

 

☆参考までに,他の器での実験

◎時間は,表面にくぼみが確認できるまでの時間

 

◎基本のビーカー

  50mlのビーカーに25mlの液体のろうを入れて固めました。

ビーカーから取り出したろう(まん中と右)

時間:液体→固体 20分

 

右の写真のまん中(ゆっくり冷えたもの)は,表面がつるつるになっており,くぼみがわかりやすい。

表面がざらざらになったものも指で少しこするとつるつるになり,へこんでいることがわかりやすくなります。

50mlのビーカーに50mlのろうを入れるとかなりきれいにくぼみができますが,くぼみができるまでに40分くらいかかります。

 

 

◎プリンカップ

液体から10分後(少しへこんでいます)

液体から30分後(かなりへこみました)

 

◎個別鍋料理の燃料カップ

液体から10分後(へこみがわかりません)

液体から30分後(きれいにへこみました)

 

◎パンダのカップ(テフロン加工)

裏面

液体から30分後(直径が大きいせいか,あまりくぼみがわかりません。)

パンダの形はしっかり取れました。

 

◎かき氷のシロップをかけるひしゃく

液体から20分後(ふかいくぼみができています)

へこみは抜群に確認できます。はやり直径の小さいもののほうがへこみがはっきりするようです。

ただしステンレスなので,なかなか冷えません。

 

      ◎その他の容器を使ってわかったこと

        材質やろうの量の問題で,20分位かかり1単位時間の中で終わらせる実験としては難しい。

        反面,体積変化を後日確認するのであれば,アルミカップよりもしっかり体積変化が確認できる。

 

☆その他

・容器によっていろいろなへこみができますが,直径が小さく深いものが良いようです。(試験管が良いかもしれませんが,質量がはかりにくいです。)

・ビーカーは透明で耐熱性もあり良いのですが,なかなか固まりません。(50分の授業では大変かも)

・ドリンク剤のフタのパッキンをとったものもためしたことがありますが,底までろうが回り込み,質量が変りやすいので困ります。

・上記の器は高いものでも1つ100円ですが,12班分揃えると1200円となります。アルミカップの良さは価格の安さと固まる速さです。

・演示実験では,500mlのビーカーで固めたものや,パンダの形の器もおもしろいと思います。

 

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