「放射能源」

日本人はプリモ−リエの“ミニ・チェルノヴイリ”を恐れている。

 プリモルスキ−地方のパヴロフスク湾に繋留する廃棄原潜は強い放射能を出している。こうした記事が日本のマスコミに出た。日本外務省と同国関係機関は現在、あたかも解体を待つロシア原潜少なくとも二隻から危険な放射能漏れが認められているという、パヴロフスク湾の状況についてできる限り情報収集しようとしている。この懸念のきっかとなったのが、「北海道新聞」の記事である。記者はボリショイ・カメニ市にある“ズヴョズダ”工場の経営者の話として記事を書いている。この軍需工場は太平洋艦隊の潜水艦修理と廃物利用を行っている。

 

 この工場の人間が日本人に語ったところによると、二隻の原潜周辺の放射能レベルは「接近禁止」となるレベルである。ある情報によると、この原潜はすっかり錆びつき、半ば浸水状態にあるらしい。この二隻は1965年から1970年までの期間に建造されたもので、耐用期限は経過している。二隻とも以前に事故を起こしている。とりわけ日本人が断言しているように、その一隻は1985年、核燃料装填する際、制御不能連鎖反応を伴う爆発を起こしている。日本側のデ−タによると、当時10名以上が死亡し、約千人が被爆した。

 

 日本側の推測では、この二隻が完全浸水すると、ロシアのプリモ−リエの環境に多大な影響をあたえるだけでなく、日本海全海域に長期間にわたる深刻な問題を引き起こす可能性がある。「北海道新聞」はこれは“極東のミニ・チェルノブイリ”と書いている。さらに隣人は、こうした問題は「ズヴョズダ」工場で解体を待つ他の廃棄原潜にもありうると疑っている。

 

 この問題にたいする日本側の関心は共通の海についての不安ばかりではない。6月末日本外相川口順子がウラジオストック訪問した際、だいぶ以前に二国間で合意した原子炉を搭載した廃棄潜水艦解体再利用の計画がとうとうスタ−トした。日本はまだ90年代初め、この計画に資金援助すると約束したが、それ以来用意した資金は使われないままであった。日本側は金だけが期待されているかのようで、潜水艦がどこにあり、どんな状態にあるのかなど、簡単な情報さえ提供しないと主張している。

 

 現在この問題はどうやら多くの点で、現日本政府がロシアとの対話を活発化したいという意向により進行したようだ。42隻の廃棄潜水艦の解体再利用に日本は約136百万ドル資金援助するつもりだ。わが国専門家は、年間56隻の潜水艦を解体できると約束しているが、こうしたことに詳しい人間は、うまくいっても処理できるのは4隻以下だろうと断言している。

 

 公開性と信頼を示すため、6月末日本の外相川口順子に工場「ズヴョズダ」の視察を許した。ところが日本外務省の職員は廃棄潜水艦に関し、欲しい情報はこれまで通りもっていないと、プライベ−トの話では不満をもらしている。ちなみに123日釈放された軍事新聞「戦闘当番」の記者グリゴリ・パシコは2001年、太平洋艦隊の原子炉と放射能廃棄物の実状に関する情報を日本のマスコミに渡したスパイ罪で4年の有罪を受けていた。

 

 プリモ−リエでは現在でも、パヴロフスク湾の放射能汚染による非常事態に関し、いかなる情報もない。軍は、状況は管理下にあり、いかなる脅威もないと断言している。地方の環境学者も今のところ警報を鳴らしていない。専門家は、この報道記事はロシアの原潜解体計画に政府が資金援助することを世論に対し正当化するためである可能性も否定できないとしている。

 

   ワシリ・ゴロヴニン(イタルタス特派員、“イズヴェスチヤ”紙特別寄稿)、

オレグ・ジュウヌウソフ

訳:飯塚俊明

izuvestia.ru