昨日閣議でカシヤノフ首相が民営化結果の見直しはないだろうと表明したが、これは投資家を説得できるものではなかった。さらに市場の反応はロシア経済展望関し楽観主義の破綻を物語っている。木曜日国内外の証券市場投資家は急いでロシア証券離れを始めた。この結果ロシア経済は一日にして60億ドル以上失った。原因は石油会社「ユコス」をめぐる事態である。同社の資産は7月初め320億ドルあったが、昨日一日で235億ドルまで低下した。

 

アナトリ・カプリン(投資グル−プ「アトン」のアナリスト)

「政治的要因が投資家サイドからの市場修正の見通しを加速させた。ロシア企業株式への需要は今日ない。市場の資金量は急激に縮小した。これは局所的なものだが、必ずロシアの証券指数の動向に影響するものである。RTS(ロシア取引システム)指数は低下すると見ていたが、「ユコス」社事件と閣僚などの相反する声明は投資家の株式離れをさらに煽るものであった。市場の資産は100億ドルから200億ドル減少した。この下落の中で「ユコス」社の割合はほぼ半分である。同社の株式は今日まで最も魅力的な株式の一つであった。二週間でその額が320億ドルから235億ドルまで下落すると予想した人はほとんどいなかった。

 

アレクサンドル・バラノフ(投資グル−プ「ロシア証券」副社長)

7月初め頃、ロシアの証券市場は長期成長トレンドの高い水準に達した。そして多くの投資家は若干の修正があると見ていた。それにはきっかけだけが必要だった。だがそれは無理せずともむこうからやってきた。しかし石油企業「ユコス」社の事件は市場参加者をパニックに陥らせた。この二週間でロシア市場はその資産の20%を失った。これはほぼ200億ドルである。これほどの下落は1997年秋でも、有名の八月金融危機の前19985月にもなかった。

 この二週間通して市場では恐れずあえて言うと、一連のロシア株式からパニック的な離れが見られる。これは「ユコス」社株式だけではない。「ガスプロム」社、「モスエネルゴ」社、「シブネフチ」社、「ルクオイル」社などの株式も下落した。最も関心をひくのが、固定金利国債の信頼性が見直されたことである。ユ−ロ債は10%も下落した。ル−ブル債は7%安くなった。そしてこうした中、最も損失が大きかったのは「ガスプロム」社、「統一電力システム」社、「対外貿易銀行」、「アルロス」であった。

 

 その結果証券市場で最大の損失を蒙ったのは、低利益で最も償還期間の長い、より信頼できる証券と考え、それを好むいわゆる「保守的」投資家であった。第一にこれは年金基金であり、保険会社、銀行であった。

 このことによるロシア経済の成長展望とその投資魅力について触れると、ここで予測をたてるのはどうしてもきわめて難しい。格付け会社「Standard&Poor's」と「Moody's」はロシアの投資格付けは今年変更されることはないとすでに表明した。さらに来年大統領戦後もそうなることには彼らは懐疑的である。したがって今、この出来事が世界的再評価であるのか、それとも事実上の高株価の修正なのか、見極める必要がある。投資家は、民営化結果の見直しはない、そうした大統領の公の表明を待っている。政府閣僚などのこうした表明は残念ながら、最早証券市場を説得させるものではない。ちなみにプ−チン大統領が2000年にこうした表明をしたことを想起したい。その声明は成長へのきわめて大きなインパクトになった。

 

                                訳:飯塚俊明

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