今、日本の経済産業省はロシア東部の石油に対し必死の競争奪取を展開し、敗北したので茫然自失状態である。東京の高官によると、本当のところきわめて不愉快だが、これはそれでも途上の不成功であり、というのもアンガルスクから日本市場の出口である太平洋のナホトカにパイプライン建設する件でモスクワの説得を放棄したわけではない。資本も技術力も全てある東京はロシアの天然資源分配に出遅れ、そのきまりの悪い立場に初めてたたされた。さらに“特に近しい”西側企業、エクソンやシェルに負けたのではない、北東アジア最大の競合国北京に負けたのである。昨年12月から東京は輸送能力年間3千万トンである、中国北東部大慶までアンガルスクからパイプライン建設するという、ほぼ合意のできたプロジェクトを放棄するよう提案してモスクワを爆弾攻撃しはじめた。それに代わってナホトカまでパイプライン建設する構想を打ち出した。これによりロシアは中国のみならず、アジア太平洋地域全体の市場へ入口がもてる。その根拠は北京だけに一面的に経済指向することは危険であり、年間5千万トン近いアンガルスクの石油全てを購入する用意があると、東京はほのめかした。モスクワには日本経済産業省エネルギ−担当の責任者が二度も出かけてきた。東京は総額5060億ドルのアンガルスク・ナホトカパイプライン建設費用を有利な国家融資でまかなうことで合意した。さらに最近の交渉では日本側はこうの融資の上限を設定しないと約束した。さらに沿海地方に石油積み出し港や精製工場などの付随プロジェクトにも10億ドル出すと約束した。激しい、しかし短期間のかけひきの後、東京は融資は日本に限らず他の設備、配管購入にも利用することに合意した。致命的な問題はただ一つで、日本はモスクワに融資返済について政府保証を求めた点である。アンガルスク攻防は第一級の国家優先の位置付けとなり、小泉首相はロシア側とのあらゆる交流の場でこの問題を取り上げるよう指示した。首相自らプ−チン大統領の会談の時でもパイプラインの宣伝をした。ロシア極東には日本の代表たちが派遣され、日本案のあらゆる長所を地方知事に説明してまわった。東京の外交筋によると、今年四月のボリス・エリツインの日本招待は結局のところ、まさにこのプロジェクトと直結している。東京は初代大統領が自分の影響を行使してナホトカライン選択の力になると判断していた。これについては前大統領と小泉首相は直接話をしている。パイプラインについて口添えしてくれとボリス・エリツインに頼んだと言われるのは、その最良の日本の友人元首相橋本龍太郎で、彼は今“三菱”グル−プの利益を積極的に擁護している。まさに日本はナホトカライン建設のゼネコンになりたかったのである。「しかし我々はしかるべき人間と交渉しなかったのではないか」とロシア担当の日本外交官は述べた。「たとえば、石油会社“ユコス”社長ミハイル・ホドルコフスキ−と関係がつけられなかったことはミスです。彼こそアンガルスクの石油企業を牛耳り、大慶ル−トの提案者である。それに“ユコス”と“シブネフチ”の合併で彼の実業家として影響力は急激に強まったはずだ」と発言。もちろん、ホドルコフスキ−に対し日本側がどの程度正しく対応したか、はっきり言えないが、日本側は交渉過程でロシアにおいて事実上潜在的な味方全てを失っていったことも明らかである。ナホトカパイプライン建設に全力尽くす必要性には疑問があると、このル−ト最大の支持企業であった「トランスネフチ」さえ言い出した。東京は日本の資金流入にきわめて関心のある極東の知事を中心とした効果的なロビ−グル−プの組織化ができなかった。その結果、429日カシヤノフ首相は原則的には大慶向けにもナホトカ向けにも建設されるが、石油は今のところ以前合意した中国ル−ト分しかないと表明した。ロシア外務次官アレクサンドル・ロシュコフはあるインタビュ−で「この失敗は日本側自身に責任がある」「ロシアはだいぶ以前からシベリア大陸のエネルギ−プロジェクトの参加について検討するよう日本側に提案してきたが、隣国人は大慶ル−トがすでに本格的に検討されてしまったぎりぎりの段階ではっと気がついたのです」と発言。あらゆるレベルの消息筋も、最終交渉の障害物となったのは、石油パイプライン向け日本の融資に対する政府保証をモスクワははっきり望んでいないことであったと述べている。ナホトカ向けパイプライン建設はこれで無期限延期され、試掘調査は終わっているが、まだ操業開始されていないヤク−トまたはイルク−ツク州の産油地の整備に直接かかっている。日本側が産油地、その後パイプラインに当初どれほど投資するつもりかまだ不明である。これはリスクを高めるものであり、プロジェクトを長引かせるものであると、この外交官は語っている。「さらに今回の敗北はシベリア投資に対する民間企業の関心を心理的にそぐ可能性がある」とも発言。だが事実は事実である。おそらくアンガルスクは消費石油の88%近く輸入している不安定な中東の依存度を低下できる唯一のチャンスを日本に与えるものかもしれない。