<キルギス>

今回はキルギスの代表的三山にご案内します。
皆様がお持ちの世界地図に、この三山は載ってるでしょうか。

まず、最初のハンテングリ山は
天山山脈中央部東寄りの
キルギスとカザフスタン両共和国の国境に
マッターホルンに似た姿でそびえ立っています。
中国国境へは東約10kmの位置にあります。
天山山脈は東西に何列もの山脈が走っているため、
山脈の中央部は、長期間、地図上の空白部だったようです。
天山山脈第二の高峰ハンテングリ山(6995m、改測標高 7010m)が
初めて地図に記入されたのは1857年、初登頂は1931年のことです。
ハンテングリとは精霊の王と言う意味で、
次のポベーダ山が発見されるまで、
天山山脈の最高峰として崇められて来ました。
この付近には天山山脈最大の、 長さ60kmを超える、
イヌイリチェク氷河があります。

次のポベーダ山は天山山脈の最高峰で、
キルギスの東端、中国との国境にあります。
第2次世界大戦中の1943年、
ソ連の陸地測量隊によって測量の結果、
意外と高峰(7439m)であることが判明し、
折から戦局が好転し始めていたため、
ポベーダ(勝利)山と命名されました。
その後、ウイグル語でトムール(鉄)山と呼ばれていたことが判り、
中国ではこの名を用いています。

最後のレーニン山(7134m)は、
世界の屋根と呼ばれるパミールの北部、
キルギス南端、タジキスタンとの国境にあります。


ハンテングリ山(7010m)


ポベーダ山(7439m)


レーニン山(7134m)


キルギス東部国境付近、航空地図(ONCF-6)100万分の1により作成

さて、少し時間のある方はお手元の世界地図を広げて欲しいのです。
北緯42度、東経80度付近に
天山山脈第一、第二の高峰、
ハンテングリ山とポベーダ山が記載されているでしょうか。
どちらも記載されていないのは問題外として、
旧標高 6995mのハンテングリ山のみの地図は結構多いですね。
しかも、山の位置が東側に中国国境まで移動していませんか。

何と、権威ある文部科学省国立天文台編、
2002年版理科年表(丸善)の地学8ページ、
世界のおもな高山の表では、
ハンテングリ山の所在が中国となっているのです。
毎年更新されている年表がこのありさまで良いのでしょうか。
最近発行された世界地図も、この付近は実にさまざまで、
真面目に編集されていると思えません。
一体どれが正しいのか、少し不安になって来ました。

今、私がぜひ欲しい世界地図は、その国の公用語で書かれた地図なのです。
英文字やかたかな表示の地名では、切手の文字が読めません。
現状は、地図上の標高の数値を見て、何語か判りませんが、
これは多分、レーニンと読むのではないかと推察するだけです。
でも、標高が改測されていると、悩みます。

切手で学ぶ世界の地理でした。

<参考文献>
航空地図(ONCF-6)、世界の山やま(古今書院1995)、
世界大百科事典(日立デジタル平凡社1998)

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森住 祥宏
(C) 2002 Yosihiro Morizumi
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