厨二設定のオンパレードっ!! なにが凄いって、それ一つで作品一つ書けるんじゃないか?ってぐらいの豪華な設定が次から次へと、それはもう、惜しみなく投入されてるのよ。逆に、それだけ多くの設定が投入されているので、設定を肉付けするために必要なページがぜんぜん足りてない。結果、リアリティも説得力もない凄い設定がやたら並んでる厨二っぽい作品になってるのんな。ただ、次々投入される設定から生み出される勢いは素晴らしく、誤解を恐れず言えば、今川泰宏監督を彷彿とさせる方向性の作品なのだけど、やっぱり、かなり人を選ぶと思う。
内容は、滅亡寸前のロケィラ皇国に「若き神」を名乗る若者が現れ勝利へと導く、という感じで、基本は異世界ファンタジー。と思ったら、すぐさま SFっぽい設定も投入されたりして、とにかく驚くべき設定の連続が凄すぎる。いや、キャラが魅力的とか、展開が面白いとかではなく、マジに、次々と追加される設定の連続が凄い作品で、これはこれでアリだと思うし面白くはあるんだけど、この勢いでネタを消費して二巻以降は持つんだろうか? いかにも新人らしく勢い重視の作品なんだけど、ネタ切れになったとたんに息切れしそうな、そんな不安が……。
[ 神と奴隷の誕生構文 ]
武力でなく外交交渉メインだと……。いや、この作家さんって、「細かい齟齬はなんのその、強引に勢いで読ませる」タイプだと思うのだけど、細かなやり取りを積み重ねていく交渉ごとがメインというのは、正直、作風と内容があっていない予感が。実際、終盤のバトルは面白かったものの、それまでの展開は微妙……。
というわけで、異世界ファンタジーな本作。1巻は、やたら設定過多で展開の速さが特徴の作品だったけど、この2巻は一転、隣国アヌビシアの説明に大きなページを割くように、ある意味でわりと普通に。でも、鎖国をしているアヌビシアと外交努力で同盟を求めていくという展開は、やっぱり、作風にあっているとは思えなかったり。あと、ヒロインたちとのアレコレも、どうにも浮いてるようにしか見えないんだよなぁ。設定で魅せていく作品なら、萌え要素は必ずしも必要ないと思うのだけど。
まあ、この作者の作風を考えると、どうせなら、熱い格闘メインの小説にしてくれればいいのに(^^;。特にこの2巻は、最強の神殺しルダとの闘いが光ってた印象。ていうか、[漫画]『修羅の門』の龍造寺徹心すぎる(笑)。クルァシンが強敵との闘いを重ねていくことで祖武神の技を極めてく……、そんな展開を期待していますっ!!
[ 神と奴隷の誕生構文 ]
うおう、ロミ品川っ!! ロミ品川っ!! ……って、第一話はそこそこ面白かったのだけど、話が進むにつれて絶望的につまらなくなっていく件。や、このZシリーズ第三弾は、タイトルどおり戦隊モノをネタにした内容。民間の研究所から大学の准教授に転職したロミ品川が、大学の教職員組合的な性質の研究環境改善委員会のメンバーになるところからはじまる話なんだけど、「退屈な委員会系の会議に出席してると、確かに、よくこういうクダラナイこと考えるよなー」というそんな低レベルの話で、正直、出版を思いとどまってしかるべき下らなさだと思う。過去のZシリーズは凄く面白かっただけに、とにかくガッカリ。
[ Zシリーズ ]
なっ、なんだってぇぇぇぇぇっっっ!! や、そういう兆候はあったとはいえ、驚きの急展開。いよいよデレ期に突入しつつある桐乃の変化をはじめとして、京介、モテ過ぎだろっ!! ……そして、真奈実の出番の少なさに絶望したっ!!
とある事情で恋人のフリをすることになった桐乃と京介。二人のデートと、その後の桐乃の恋人疑惑が、人間関係の微妙な変化を気づかせる……。という感じで、まるで、実妹ルートの恋愛展開。まさか、『俺妹』で、こんなにラブバトルが展開される日がくるとは、1巻の頃には思ってもなかったよ。もっとやれっ!! ……しかし、こんなに、桐乃と黒猫は輝いているのに、真奈実の出番の少なさが泣ける。そして、瀬菜は完全に攻略対象から除外されてるのんね……。
[ 俺の妹がこんなに可愛いわけがない ]
小町ぃぃぃぃぃぃぃっっっ!! や、なんという惨くて重い展開……。本巻は、いよいよミムラ・S・オールドマン登場、というのがメインエピソードかと思いきや、その後に続く重い展開があまりに衝撃的すぎて、オールドマンの印象が薄すぎる(^^;。まあ、そもそもオールドマンって、病んでるだけで、所詮、雑魚キャラ的な立ち位置だよね(笑)。それよりも、明らかになってきた小町と<永久時間剥奪者>の運命が重すぎて重すぎて、今後、気楽な学園ストーリーとしては楽しめないと思うんだけど、どうすんだ、これ? せっかく、オリンピアやニコとの恋愛展開となるかと思っていたら、これだと小町が強力すぎる。なんてこった……。
[ クロノ×セクス×コンプレックス ]
せっかくの男装&性別詐称を全く生かせてない件について。や、性別詐称に限らず、官能小説家を目指す女の子という設定すらも、エロシーンのための理由としてしか使えてなくて、単純にエロイベントを並べてるだけの物語に成り下がってるんだよなぁ。エロのバリエーションも変化が弱く、物足りないのは否めないなー。
官能小説家を目指す幼なじみのために、体験取材と称して、エッチなことを繰り広げるシリーズの第二段。この二巻では、そんな二人を後押しする妹系少女、ひみこ登場。ということで、第一巻は、出来のいいエロコメとして絶賛したのだけど、この二巻は微妙。どうにも、設定を活かしきれてるとは思えない……。基本的には、真一、月、恵の三角関係が主軸なのだけど、ええっと、月の設定は、生かせてないどころか、月vs恵の構図が描きづらくなっちゃってて、三角関係モノの魅力は半減以下。たぶん、二組のカップルを描いても、ほとんど変わらない程度の恋愛模様しか描けてない。いや、こういう関係なら、恵の好意の向かう先は、せめて、月にすべきなんじぇね? また、エロに関しても、キスすら戸惑う初心な関係なので、正直、バリエーションは似たようなものばかり。せめて、新キャラのひみこが、恋のキューピットという役回りではなく、もうちょっと、エロ方面にムチャ振りしてくれれば良かったんだけどねぇ……。
滅亡する地球からの退避先の一つとして作られた仮想空間“見えざる小人の国”。しかし、データ化された人間が住まうその仮想世界も、緩慢な死を迎えつつあった。そんなある日、重大なシステムダウンが発生し、メインOSのモスと、モスに生み出されたAIのエンデは、システムダウンの原因を探すため、ユーザ領域のサーチを始めることに……。
という感じで、システムダウンした量子コンピュータを、擬人化されたOSとAIが、様々なユーザ領域を見てまわって修復するという話。「もし、プログラムに意識があったら、こんな風にブツクサ言いながら処理してるんだろうな」と思わずにはいられない内容が愉快愉快。そして、単にOSが擬人化してるだけの内容ではなく、人類滅亡という設定と謎を散りばめたストーリーが、ぐいぐい読ませて面白いっ!! 偏屈な人間たちの作った変なユーザ領域での謎解きと、モスとエンデの掛け合いも楽しく、セントラルクエスチョンになっている、雨燕をはじめとするシステム管理者たちの思惑も興味深く、いやぁ、約500ページの二段組という分量にかかわらず、最後まで飽きることなく面白かったー。
[ エンドレス・ガーデン ]
ダメダメ。妹探しが中心になってしまい、ラブコメとして面白味がなくなってしまったのは仕方ないのかもしれないけれど、じゃあ、その妹探しが面白いかと言うと、えっと、ミステリ的な要素も皆無だよね、これ。や、恋愛要素が希薄な中で、将悟が振り回されるだけ。一応、コメディとしては成立してるものの、いろいろと粗も多く、正直、出来は悪い。「恋人候補の中に会ったことのない実妹が一人混ざっている」というシチュエーション自体は素晴らしいのだけど、どうにも、そのシチュエーション以外は、見るべきものがないように思える。……田口一は、エロシーンだけ書いてればいいものを、チグハグな出来で残念極まりないな。
[ この中に1人、妹がいる! ]