4年ぶりの新刊だけど、やっぱり、おもしろいおもしろい。計算された構成と、SF的なネタの数々、もちろん、長門はじめキャラも魅力的で、やっぱり、谷川流は上手いねぇ〜。そして、うわぁ、エピローグが、まるで最終話のラストのようだけど、続き出るんだろうか(^^;。
とりあえず、さっぱり内容を忘れてたので、『分裂』から読み直しましたよ。キョンの中学時代の親友である佐々木登場。新たな宇宙人、未来人、超能力者とともに、SOS団のは別の可能性を示唆。そして、二つに分岐して進行する物語……。そして、それを引き継いだこの『驚愕』は、長門不在の中の宇宙人対決すげー。そして、新キャラのヤスミがなかなか可愛いね。……平行世界ネタは、[TVA]『超時空世紀オーガス』好きの私的に、非常に楽しかったけれど、αとβの二つの世界の差分が思ったよりも大きかったのは違和感。さらに、解決編は、ちょっと強引だった予感。や、なかなか本音を見せないキョンとハルヒの人間ドラマとしては、すげー面白かったですが。てか、キョン、最終巻でもないのに、ここまで心を定めてしまっていいのかっ。そして、ヤスミは、やぱもったいないよなぁん。
[ 涼宮ハルヒシリーズ ]
民衆が虐げられている王国で、やがて反乱へ至る道程を、異なる六人の視点で綴った本作もいよいよ完結。ストーリー展開は全く同じなだけに、登場人物のせつない心情が際立つ、とにかく綺麗な物語でした。
そういうわけで最終巻は二人の王子、アライスとツェドカ視点。なんやかんやでアライス中心の物語なのに、ラストの〆がツェドカなのはどうしてだ?と思ったら、そういうことか。多くの人に支えられて生きてきたアライスと違い、絶望と無力感の中、誰にも理解されない孤独でひたむきな闘いの道を歩んできたツェドカの想いが切なすぎるね。そのラストシーンは、まさに救済を、夜明けを感じさせる綺麗な情景。そして、視点を変えただけでストーリーは同じなのに、読者に提示する情報をコントロールして、最後まで興味を惹きつけつつ読ませる構成は、さすがとしか言いようがない。見事に計算された構成で魅せる綺麗で切ない物語は、ほんと素晴らしかったです。
[ 夢の上 ]
野村美月は、卓球場シリーズと“文学少女”シリーズが素晴らしすぎて忘れてたけど、わりと微妙な作風の持ち主だったんだっけorz。そうか、新シリーズはコメディかー。野村美月のコメディって、ほとんど面白いと思ったためしがないんだよなー。
ヤンキー風の見た目のために友達のいない是光は、生前はモテまくりだった幽霊のヒカルにとり憑かれ、ヒカルに代わってヒカルの未練を晴らすことに……。というわけで、野村美月の新シリーズは、『源氏物語』をモチーフとした新シリーズ。古典文学をネタとするところは、“文学少女”シリーズを彷彿とさせるけれど、暗く重いテーマも多かった“文学少女”シリーズから一転、新シリーズはコミカルな要素が強い印象。う〜ん、野村美月のコメディって、個人的にはいまいちなんだよなー。や、野村美月の技量はさすがで安心して読めるし、今後、ドロドロした展開も期待できなくもないけれど……。
しかし、ヤンキーにしか見えない容姿のため誤解されがちな主人公って、ちょっと最近、手垢がつきすぎてるよな(^^;。
[ ヒカルが地球にいたころ…… ]
号泣。ひたすら泣きながら読みました。秀麗の決意、瑠花と羽羽の想い、悠舜と飛翔のやりとり、そして、旺季の活躍。最終巻を前にして、とにかく感動の名場面の目白押しで、ただただ泣ける。今まで私の読んだ小説の中でも、間違いなく1、2を争う最高傑作だと思うけど、次回で最終巻か。残り500ページ……。
残り少ない生命を、国のため、劉輝のために使うことを決心した秀麗は、蝗害の最前線、紅州へ……。死が目の前に迫っているのに、いつも通りの秀麗が、せつない、せつなすぎる。国王としての資質をこれ以上なく見せつける旺季に、それでも、劉輝を選び続ける秀麗。方や、追い込まれるところまで追い込まれて出番のない劉輝。これ、ここから大逆転できるの? もう、どうしようもないとしか思えない劉輝を信じる秀麗もまた、せつなすぎる〜。や、旺季が悪ではないところがまた、せつないよね。
そして、本巻のもう一方の主役は、瑠花と羽羽。当初の悪役然としてた瑠花からは信じられないほど変わったよなぁ。潔い生き様。そして、なにこのピュアラブ。せつないなぁ。
なにはともあれ、次巻で完結。劉輝と旺季の玉座争いに加え、未だ思惑が見えない悠舜、晏樹を軸に展開するんだろうケド、もう、すげー楽しみっ!!
[ 彩雲国物語 ]
うおぉぉぉ、手に汗握る脱出劇っ!! そしても、もはや、リア充の道を爆走してるハルユキの羨ましいことよ。それにしても、帝城脱出の途中で、ISSキットの話を織り交ぜる構成は、いまいち盛り上がりに欠け失敗だったような……。そして、ラスト展開は、追い込むためには必要な展開なんだろうケド、話の流れ的にちと強引すぎるだろっ!!
難攻不落の帝城からの脱出を図る《シルバー・クロウ》と《アーダー・メイデン》。一方、タクムは《ISSキット》に侵され……。というわけで、伏線張られまくりで、《ブレイン・バースト》の秘密をちらちら匂わせつつ進む展開と、なにかといいところで次巻に続く構成に、もうフラストレーションたまりまくりですよっ!! カタルシスは、カタルシスはまだですかっ!! うきぃーーーーっっっ!!
[ アクセル・ワールド ]
おもしろいおもしろい。ラノベらしく変なキャラたちの互いのやり取りが楽しくて、Good、Good。狼少女に、ネクロマンサーな幼なじみに、異常にシスコンな主人公が学校に寝泊りする話、と、設定を並べると奇抜だけど、中身は、変な部活と生徒会の対決という、わりとスタンダードな学園ラノベという印象。
なんと言っても、シスコンの主人公を中心に、懐いたあとは小動物的な可愛いさを見せる狼少女と、ツンデレ入った中二病幼なじみの三人のやり取りが非常に楽しい。いやぁ〜、この三人が「帰宅しない部」でまったり活動するだけで十分におもしろいのよ。逆に、ストーリー的には、お約束なわりに、力技で強引なところが、ちと気になるところ。や、生徒会との対決とかのストーリー色は薄めて、会話中心の日常系の話に持って行ったほうがよくね? まあ、次回、かなりいい性格をしていそうな妹も登場するらしいので、期待期待。
もったいない。凄くいい物語なのに、これで終わりなのか。確かに一つの区切りだけど、まだまだ続きを読みたい物語だよなぁん。
それぞれの宮姫を擁する七つの都市が割拠する東和。七宮カセンをはじめとする四都同盟に対し、一宮、二宮の連合軍が戦いを仕掛ける……。というわけで、三年ぶりの新作で最終巻。架空の中華風世界での戦乱の時代を、独特の淡々とした語り口で描くこの空気感は、相変わらず、素晴らしい。今回は、二宮の翡翠姫の出番が多かったけど、他の宮姫以上に一国を担う重責と孤独が切ないね。そして大物の片鱗を見せるカラ。遠くない未来、テン、トエとも道を違えることを予感させる描写。七宮に関する人たちだけでなく、やぱし、この後の続きが読みたいなぁ。ホント、もったいない。軍事力だけじゃない七都市のパワーゲームと、その中で夢を語り人々の期待に応えようとする宮姫たちが、そして何よりこの世界観とたおやかな雰囲気が、とにかく素晴らしい物語でした。
[ 七姫物語 ]
<守り人>シリーズ最終章三部作の一冊目。ちょっ、チャグムを追い込みすぎだろっ!! や、タルシュ帝国の侵攻を前に、どうにかロタ王国と同盟を結ぼうとするチャグム。しかし、タルシュ帝国は、すでに、ロタ南部の大領主陣営を取り込んでいた……。と、ああそうか、ロタ王国って、南北格差で国家崩壊の危機なままだったんだっけか。いかにも、最終章第一部らしく、今まで蒔いてた問題が顕在化しまくりで勝利へのハードルが上がりまくってる気がするのだけど、これ、あと二冊でハッピーエンドに持っていけるの? そして、バルサ側は、やたら「老い」を感じさせる描写が目立つ一方、タンダも大変な状況に追い込まれ、という辺りは、バルサとタンダを落ち着かせるための布石なのかしらん?
とにもかくにも、あと二冊で終了なので、続きを読むのがすげー楽しみすぎるっ!!
[ <守り人>シリーズ ]
綺麗な大団円。あの逆境からこの紙幅で、よくハッピーエンドにたどり着いたなぁ。いやぁ、あの花畑のシーンが切なく感動的。よい物語でした。
まあ、ただやっぱり、カタルシスには少し物足りない。というか、あまりに整いすぎたエンディングに、むしろ違和感。予定調和すぎるというか、ひいたレールに忠実すぎる展開はなぁ。や、児童文学の限界なのかしら。正直、もっと血が流れるべきだったと思うんだけどなぁ。チャグムと帝の結末は作者に都合の良い「逃げ」としか思えないし、ラウル王子の選択もあまりに素直すぎる。なんというか、出てくるキャラというキャラが、すごく優等生的でストーリーに従順なのだけど、もちっと流れに逆らうような奴がいてもよかったんじゃなかろうか。
[ <守り人>シリーズ ]