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好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!! −2003年6月に読んだ本



早川書房 ハヤカワ文庫JA
マルドゥック・スクランブル The First Compression―圧縮 /冲方 丁

嫌な部分もあるのだけど、とにかく上手いね。もう、さいこー。

少女売春をキーに反吐が出るような内容を含んでて、私的に、苦手で好きじゃない部分もあるのだけど、いや〜、この変質的な登場人物が、めちゃくちゃ凄いね〜〜。中でも、主人公のバロットの描写が、もうもうかっこよくって、くらくらだよね〜〜。あと、畜産業者の面々も、吐き気するけど、眩暈がするぐらい凄いよなぁ。とにかく、とにかく、素晴らし〜。全3巻で、残りどうするんだ?、という気もするのだけど、続きが、めちゃくちゃ楽しみだよ〜〜。

それにしても、冲方 丁の作品を読むのは、『微睡みのセフィロト』『ストーム・ブリング・ワールド』に続いて、3作目なのだけど、作風というか、芸風が、未だにいまひとつ掴めなかったり。私的に、冲方 丁の名前で買うのは、ちと危険かしらん(^^;。

参考:冲方丁『マルドゥック・スクランブル』感想リンク集


角川書店 スニーカー文庫
ディバイデッド・フロント I.隔離戦区の空の下 /高瀬彼方 【内容

露骨に狙いまくってる作品なのだけど、香奈視点の文章が、くらくら。すばらし〜〜

自衛隊に入隊し、憑魔という化け物と戦う少年少女の話。軍隊なのに、中高生ぐらいの年齢&男女ペアという規則で、部活動的雰囲気、それで、死と隣り合わせで、実は、絶望的で暗い将来。いや〜、もう、設定という設定が、細かなとこまで、べたべたに狙いまくってるという感じなのだけど、その狙いの目的と効果を、きちんと計算して書かれているので、素直におもしろい。や、ちと、あからさますぎとも思うのだけど(^^;。とにかく、香奈視点の文章がさいこー。面白かったー。


角川春樹事務所 ハルキ文庫
らせん階段 女流ミステリー傑作選 /結城信孝編

執筆陣には、恩田陸、加納朋子、菅浩江を含む、9編の短編集。わりと期待して読んだのだけど、どうにもいまいち。各作品が ちと短めなのと、なにより、この編者と全く趣味があわない予感なので、仕方ないかなー。

や、巻末の解説や、各作品を読んでもそうなんだけど、この編者の作品を選ぶ方針って、作品の良さは、二の次三の次で、とにかく、娯楽としてわかりやすいサスペンスで、世間的に、いかにも女性が書きそうなそうな、ステレオタイプ的な“女流作家”の作品という印象。売り方として、正しい気もするけど、この執筆陣で、あまりに期待はずれだったのは、ちょっとなー。

それはともかく、とりあえず、9編のうち、わりと好印象だったのは、「国境の南 /恩田陸」「洗足の家 /永井するみ」辺り。特に、「国境の南」が、バランスよくて、良かったなー。


講談社 講談社ノベルス
夢・出逢い・魔性 /森 博嗣 【内容

Vシリーズ、たまに、ちまちま読み進めてるのだけど、この作品、今まで読んだ Vシリーズの中では、ダントツに面白かった〜〜。<それでも、S&Mシリーズと比べると、やっぱり劣るという印象なのだけど。

そゆわけで、紫子さん一行、TV出演、という話。もう、にやにやしてしまうイベントが盛りだくさん。電車の中では、わりと変な人化(汗;。とにかく、練無、美味しすぎる〜〜。……ただ、やっぱり、面白さが突き抜けないのは、人間関係に恋愛が絡まないというか、固定化されて進展がないからかのう。や、結局、ミステリーという枠を超えてない感じ。しかも、ミステリーとしては、どうよ?という感じがするし。

参考:既刊の感想 → Vシリーズ


メディアワークス 電撃文庫
クリスタル・コミュニケーション あなたの神様はいますか /あかつきゆきや

電撃文庫、今月の新人作品。“不思議色の恋”との煽りで買ったのだけど、……いまいち。

テレパシーを題材に、シリアスに描いた恋愛作品。ネタ的にも、ちと難しめだと思うのだけど、圧倒的に力量不足。いや、力量については、新人なので、まあ、こんなもんかなー、という気もするのだけど、それを補うだけ魅了が足りない、……どうにも、ネタ選びに失敗してるというか、もちっと考えて書け、という気が。

こゆネタでは、精神的な部分を、きちきち描写しなければならないと思うのだけど、その部分は凡作。あと、やっぱり、こゆネタでは重要な、何気ない日常の描写も、あまり上手くない予感。……う〜ん、全体に、「好きなものを、なんとなく書きました」という感じに思えるのだけど、もちっと、自己分析しつつ、きちんと考えて書いて欲しかったなぁ。


メディアワークス 電撃文庫
しにがみのバラッド。 /ハセガワケイスケ

あからさまに泣かせようとするストーリー。……泣いた、号泣

今月出た電撃文庫の新人作品。「やさしい死神のお話」。や、もう、「やさしい死神」って時点で、泣け〜、泣け〜〜、という内容なわけだけど、狙い通りにいい話で、素晴らしい。まあ、あざとさが透けてる気もするんだけど、とにかく、感動系の話が好きなら、買えっ!!って感じ。私、こゆの、凄く好きだわ〜〜。イラストも雰囲気マッチして、ぐぅ〜〜。きちんと、このまま続けて欲しい作品。良かったっ!!


メディアワークス 電撃文庫
アンダー・ラグ・ロッキング /名瀬 樹

そこで終わるか〜〜。まあ、続きは出るんだろうケド、新人にもかかわらず、一冊かけてプロローグみたいな話を出すのも凄いよな〜〜。<ここで終わったりしたら、それも、凄いと思うけど。

10歳で徴兵され、互いに相手だけに依存して生きる、一組の少年少女の話。表紙や口絵をどう見ても、暗い未来を予感させる戦争ネタの作品には見えないのが、わりと詐欺風味(^^;。まあ、きちんと雰囲気にマッチしたイラストで、これはこれで正しいんだけど。<帯のフレーズは、どうかとも思うのだけど

で、そこそこ面白かったけど、あくまで、そこそこ。可もなく、不可もなく、正直、今後に期待という感じかしらん。あ、雰囲気は、わりと好きなんだけど。あと、わりとあざとく、強引な設定にもかかわらず、お話は、普通に無難というか、今ひとつ、突き抜けていないのが、残念なんだよな。


角川書店 スニーカー文庫
涼宮ハルヒの憂鬱 /谷川 流 【内容

各地で評判のスニーカーの新人作品。評判に違わず、めちゃ面白い〜〜

まあ、ラストが尻すぼみなのが端的だけど、構成は今ひとつだし、文章も、必ずしも、突き抜けて上手いわけではないと思うのだけど、とにかく面白い。や、萌えも含めて、きちんと面白さのツボをわかってやがる。キャラメイクをはじめとして、朝比奈さんのコスプレといい、長門さんの眼鏡といい、あと、SQL とか、人間原理とか、いや〜、ネタの使い方が、めちゃ上手いよ〜〜。凄く面白い〜〜。ついでに、テンポが凄く良いよね〜〜。

あ、あと、恋愛的には、もちょっと、ハルヒとのそういう描写を描いとかないと、ラストが活きないだろ〜。

そいえば、作品には関係ないけど、5年ぶりのスニーカー大賞<大賞>という売り文句、過去受賞者を見ても、吉田直は読んだことないけど、安井健太郎って、そんなに上手いとは思えないし、選考委員も、あまり信用できなさそうな人が並んでるんですけど、単に、スニーカーの新人に、パッとした人がいなかっただけじゃ(^^;。


メディアワークス 電撃文庫
AHEADシリーズ 終わりのクロニクル1〈上〉 /川上 稔

川上稔は読むの初めてだけど、文章、むちゃくちゃ下手じゃないですか?

波長が合わないだけかなー。や、説明不足というか、「エディタで間違って一行削除したまま出版しちゃいました」という風に感じる箇所が、やたらと目に付く。まるで、学生の下手なレポートを読んでるような印象。なんだか、いちいち文章を添削してる気分になって、読んでて、すごく疲れるんですけど〜〜。

あと、登場人物の掛け合いとかには、わりとページを割いてるのに、ストーリーの関する描写は、あからさまにおざなりなのもなー。いや、これは、キャラメインということで、むしろ魅力という説もあるんだけど。……でも、ストーリーをきちんと描く気がない&描けないなら、伏線をいろいろ張ったりするのは、止めた方が良いと思うのだけどな。<下手な文章とあいまって、読者側で、適度に補完しないと、わりと意味不明な予感

そゆわけで、平行する異世界と戦うことになる、個性的な高校生たちの話。凝った設定が魅力で、個性的なキャラの掛け合いは面白く、キャラのシチュエーション設定もなかなか美味しいのだけど、う〜ん、もう少し、文章がまともに読めれば、良かったんだけどなー。もったいなし。


メディアワークス 電撃文庫
撲殺天使ドクロちゃん /おかゆまさき

「6月の髑髏」、さいこー。とにかく、バカで、素晴らしーーーっ!!

ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ〜〜。かぁ〜〜〜〜〜。とにかく、いい〜〜。

や、未来から来た ドラえもん 撲殺天使ドクロちゃんの はちゃめちゃなコメディ。なるほど、こんなじゃあ、意見も二つに割れるわけだ。中身がなくて、バカやってるだけの内容。文体も内容にうまく合っていて、ほんと、とことん楽しい〜〜。各章の先頭に挿入されたイラストも、めちゃセンスいい〜〜。もうもうもうもう、大絶賛〜〜〜。

ただ、最終話だけは、残念。そんなおざなりに使うネタじゃないだろ〜〜。や、いかにも最終話っぽいありがちな内容なのだけど、実質ページを埋めただけの扱い&その程度のクオリティなので、ほんとに終了だとしたら、最後がコレではガックシだし、続くとしても、これやっちゃうと、以降つまらなくなると思うのですけど。もったいない〜〜。

それはともかく、ほんと、この作品、バカで良いわ〜〜〜。


富士見書房 富士見ミステリー文庫
しずるさんと偏屈な死者たち /上遠野浩平

しずるさんとよーちゃんの関係は美味しいのだけど、魅力的なのはそこだけで、全体には、いまいち。や、さすがに、上遠野浩平なので、それなりには上手いのだけど、ただそれだけ、という印象。富士見ミステリー文庫には、珍しく<をい、きちんと、ミステリの形式なのだけど、ミステリとしては、さすがにもちっと捻りがないと、面白くないと思う。そもそも、もっと、しずるさんとよーちゃんの二人に焦点を当てた構成にしないと面白くないと思うのだけどなー。

そゆわけで、病床のしずるさんが、お見舞いに通っている「よーちゃん」の話を元に、事件を解決するという、いわゆる安楽椅子探偵モノ。“その辺は空想で補うから、大丈夫よ”に、ちょいウケ。本編のミステリより、幕間の「はりねずみチクタのぼうけん」の方が、おもしろいかしらん。<ちゅうか、だから、もっと、しずるさんとよーちゃんの二人に焦点を当てないとー。


富士見書房 富士見ファンタジー文庫
オッド・アイ1 時果てる都のエピローグ /星野 亮 【内容

う〜〜〜ん、面白いんだけど、どうにも星野亮の作風とあってないし、力量不足な予感。

星野亮の新シリーズ。終末の見える暗い世界を舞台に、幻獣を狩る感情のない男の話。あとがきにもあるように、ハードボイルド的な雰囲気作りを目指してはいるのだけど、ただ、文体というか、一文一文が、いまひとつかっこよくなく、その雰囲気に徹しきれてない感じ。描写や構成的は、わりと頑張ってると思うので、余計、ちぐはぐに感じたりして。……や、正直、あとがきの「それなりに書けてはいるのに、どこかしっくりこない」という、まだまだそのままの印象だったり。

まあ、シャーリィのシーンとか、わりと印象的なシーンもあったし、何巻か進めば、しっくりこない部分も、適度なトコに落ち着くと思うので、まあ、今後に期待という感じかなー。<いや、正直、星野亮にしては、今回、下手すぎという印象だったりするし(^^;


エンターブレイン ファミ通文庫
いろんな地球の救いかた /ゆうき りん 【内容

ボディペインティングな戦闘服で戦う美少女戦隊って、美少女ゲームですカーーーっっっ!!

実際、ゲームにしたら、たまらなく面白くなる予感。イラストも、めちゃくちゃ好みでバッチグーだしなっ!! や、誤解なきよう書いておくと、ゲームでなくとも十分面白いっ!! とりあえず、王道だよね、べたべただよね。くぅ〜〜っ、さいこーーーっ!!

まあ、ボディペインティングは、ちょっとやり過ぎだと思うし、変身の掛け声のセンスの悪さは、なんとかならなかったのか?とか、「宇宙人に占領された地球」という設定は、きちんと回せるのか?とか、そもそも、「とにかく飛ばしまくってるけど、続きのことまったく考えてません」という感じの作りが、すごく気になるんですけど、とにかく、続きが楽しみー。


エンターブレイン ファミ通文庫
天使のベースボール(2) /野村美月 【内容

世間知らずのお嬢様がエロゲ風に没落し、野球部顧問として弄ばれるシリーズの第二段。……ダメダメ。

野村美月の欠点は、萌え系の文化に無知なのに、わざわざ、そういう作品を書こうとするところ。もしかしたら、大人の事情なのかもしれないけど、そうなら、せめて勉強してほしい。いや、今回も、例えば、わざわざ温泉に行ったにもかかわらず、その手のお約束は、すべてスルー。ぇち系のネタも含めて、とにかく、シチュエーションの組み立て、演出、使い方が、ぜんぜん駄目。しかも、その下手で無駄なイベントのせいで、ラブコメとしても、まりあの成長物語としても、中途半端。さすがにこれでは、ちょっとなー。

しかし、ファミ通文庫って、「萌え」をまともに知らないくせに、萌え系の作品を書いてる作者が散見されるのだけど、もしかして、編集サイド、バカ? や、編集サイドの意向が働いていると思うのだけど、もしほんとにそうなら、きちんと作者の適正を考えてほしい、というか、そんなこともしない&出来ないのかー。

参考:既刊の感想 → 天使のベースボール


幻冬舎 幻冬舎文庫
女王の百年密室 /森 博嗣 【内容

悪くはないけど、いまひとつ物足りない。やっぱり、そこそこ予想通りの展開で驚きがないのと、ストーリー構成も、描画された世界も、綺麗に描ききれてないのが、マイナス。や、そもそも、森博嗣ということで、もちょっと裏があることを、期待してたのにー。

そゆわけで、主人公が迷い込んだ不思議な国を舞台に、そこで起こった殺人事件の調査を軸にして、その国の不思議を読み解くような話。SF + ミステリ +「神とは?人を殺すということは?」みたいな感じで、ちと、ネタを積み込みすぎて、どれも中途半端という印象が否めなかったり。決してつまらなくはないし、 SF的な設定は、なかなかおいしいんだけどねー。


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