ロシア最新ニュ−ス
2000年10月分履歴
10月31日(火)
“原潜クルスク号作業、最初の成果”(完)
-4名の遺体引き揚げられた-
(独立新聞、10月26日、ワレリイ・アレクシン)
ノルウエ−作業船“レガリヤ”を使って展望のないバレンツ海の作業に金を注ぎ込むことが無駄だとするペシミストの不満は若干なりをひそめた。水曜日15時1分、“クルスク”号第8号室にロシアのダイバ−、海軍少尉セルゲイ・シムイギンが初めて入った。“クルスク”号の甲板の上に立ち、海軍中佐セルゲイ・ズヴァギンツエフが彼を支援した。この最初のダイバ−は、同室の上部部屋を通り船尾方向にある9号室までやっと5mのところまで進むことできた。だがその仕切り扉を初回から開けるのは無理であった。一回目の検査では8号室上部室に乗組員の遺体は一人も発見できなかった。
作業船“レガリア”にいるダイバ−チ-ム責任者、海軍少将ゲンナジ・ヴェリチに第一回検査の報告をした後、その許可を得てからダイバ-は上部甲板から9号室の入口ハッチを開けた。そこもまた8号室を開けた時と同様、濁った海水であった。おそらく約二分間のあいだに沈没した“クルスク”号は、停止するまで海底の泥を引き裂いていったのだろう(海底に犂を引いたような跡が今でもある)。さらに船首室の弾薬の爆発により、船尾各室が緩んだ力材のパッキン部から大量の泥で充満するほど、巨大な泥の雲が出現した。その上、8号室に穴を開ける際、千気圧もある研磨剤の入ったジェット水流が、室内の海水を濁らせ、入口穴から若干離れた部屋の隅に遺体を投げつけている。
9号室ではきれいな海水で洗浄すると、ダイバ−はすかさず三名の遺体を発見した。乗組員名簿からすると、上級中尉A.ブラシュキン、少尉V.イワノフ、少尉M.ボチコフのはずである。被爆防止服の胸ポケットには、落ちない赤染料で書かれた肩書きを示したラベルが縫い付けてあった(海軍では“戦闘番号”と言う)。特殊コンテナでこの遺体を作業船“レガリア”に引き揚げると、またダイバ−はあらためて8号室に降下し、さらに一名の遺体を発見した。この遺体は作業交替が終わるまでに水曜日引き揚げることができた。
8号室下部部屋へのハッチはしっかり密閉されていた。ここには主要装置(タ−ビン、タ−ボジェネレ−タ、スクリュ−シャフト)があり、この室の上部にある仕切りの一つの空気塊があるところから、この室は一瞬に水没したのではなく、何時間もかかって水没したものと思われる。
風速が22m/秒、波高約5バ−ルとなったため、木曜日の夕刻と夜間、“クルスク”号の作業は中止となった。ゲンナジ・ヴェリチと精神科医は、天候が回復したら“クルスク”号に向かう次のダイバ−の組み合わせを決めていた。風が静かになり(10〜12m/秒)しだい、“クルスク”号乗組員の遺体は作業船“レガリア”からヘリコプタ−で北方艦隊病院に運ばれる。そこには乗組員遺体を正確に確認するための専用検査室が用意されている。
木曜日朝、波は4バ−ルとなり、ノルウエ−ダイバ−が7号室の軽量胴体部に穴あけする準備作業を続けていた。水曜日夕方、北方艦隊司令部責任者、海軍中将ミハイル・モチェクは記者会見し、7号室の作業は8号室、9号室の全乗組員遺体10名を綿密に調査し、引き揚げた後、続行されると発言した。
ところが作業船“レガリア”乗船の海軍医療班は引き揚げ遺体の第一回調査でその中の一人の胸ポケットにメモを発見した。ポケットの記載からすると、7号室の責任者、電気機械部隊タ−ビン班責任者海軍大尉ドミトリ・ロマノヴィッチ・コレスニコフであった。メモには家族宛てのもの以外に、職務内容のものもあった。
昨日14:00、事故原因調査国家委員会委員、北方艦隊司令長官ミハイル・モチャクがこれについてマスコミに公式声明をだした。メモ内容からすると、8月12日12:58、船尾側各室の生存者全員は船尾にある生命持続室に移動した。職務的内容のあるこのメモを引用し、「13:15、全員、6号室、7号室、8号室から9号室に移動した。ここには23名いた。我々は事故によりこの決断をした。我々の誰しも、海上に出られないかもしれない」 メモはこの後、判読不能な筆跡で数値が書かれ「13.5..、手さぐりで書いている」と続いている。
9号室のハッチから自力で浮上するという乗組員の試みはうまくいかなかった。9号室のエアロック室の下部ハッチを開けることができなかった。“See Way Eangle”号のノルウエ−潜水ダイバ−が8月、この室の上部蓋をどうにかやっと開けたことを、誰しも記憶しているはずである。おそらく原潜船首部が8月12日12:43、海底に衝突した際、その胴体部に想像を絶する負荷がかかり、それは9号室でさえもそのエアロック室両ハッチをかたく噛みこませるほどのものであったのだろう。
船尾側全室の中、この室が最初の海水浸水をうけた。13.5という数字はおそらく、ドミトリイ・コレスニコフの死の直前メモで8月12日だいたい14:00を意味しているのだろう。つまり乗組員は潜水艦を破滅させた弾薬爆発後、約2時間は生存してたことになる。
おそらく事態に絶望した乗組員の誰かが自分の8号室に戻り、下部部屋のハッチにかぎをかけたにちがいない。彼(または彼ら)はさらに数時間生存することができた。まさに彼(彼ら)がハンマ−で9号室の鋼板をたたき、上で潜水艦を捜索している人間にSOS信号を送ったのだろう。この音は海上で“クルスク”号を捜索していた各船の音響担当者が聞いている。
このあらたな事態により、“クルスク”号にたいする今後の作業計画が見直されている。7号室にたいする作業は完全に中止した。主に力を集中する場所は9号室に移った。天候が回復しだい、径81cmの8号室仕切り扉と9号室の非常開放ハッチから同室に入る計画である。これと同時に8号室と同じように110x120cmの穴をあける予定である。昨日も強い時化がダイバ−の作業を妨げていた。
ミハイル・モチャクによると、“クルスク”号乗組員の親族、近親者に連絡するため、北方艦隊副司令官、海軍少将オレグ・トレグボフを責任者とする連絡グル−ブが作れた。「移動式特別司法医療室で確認された乗組員全てについて、その親族に適時通知するため、四つの通信ラインが設置された」と北方艦隊司令長官は述べた。彼はセヴェロモルスク将官会館、北方艦隊司令部、訓練管理当直部、ヴィドヤヴォの各々電話番号を知らせた。
さらにミハイル・モチャクは、天候回復しだい、遺体をセヴェロモルスクの病院に搬送する予定であると述べた。彼はこれは早ければ今土曜日に実施されると考えている。この時に艦隊司令部は歴戦の精鋭潜水艦K-21号の傍にあるム-ジェストヴォ(勇敢)広場で海に没した乗組員の追悼と送迎式典を計画している。この式典には北方艦隊全部隊の各責任者、ムルマンスク州行政府各代表者、セヴェロモルスク市役所各代表者、海に没した者たちを桟橋から最後の道(艦隊の病院)に見送りを願う一般市民が一列に並ぶはずである。
事故原因調査国家委員会委員長、イリヤ・カレバノフは昨日、おそらく11月8日の定例会議で事故原因の結論をだすことができると述べた。彼によると、現在も以前同様に事故原因について三つの説がある。現在沈没した原潜の調査と写真がとられている。「おそらく11月8日にいかなる原因により潜水艦が沈没したの明らかになるだろうが、しずれにしても完璧な一つの説だけを残すべきである」と、イリヤ・カレバノフは述べた。
10月27日(金)
“今日にも原潜”クルスク号“乗組員遺体の引き揚げか”(完)
-独立新聞、10月25日、ワレリイ・アレクシン-
風速約20m/秒の暴風、4〜5バ−ルの波、それに霙が降っているのもかかわらず、バレンツ海海底に横たわる原潜“クルスク”号内部に突入する潜水作業が続行されている。金曜日朝五時からロシアとノルウエ−のダイバ−はサブマリン第8号室の強固な胴体部に突入する準備作業に入ることができた。
日曜日夕方近くには、ダイバ−により強固な胴体部に直径約120mmが貫通し、潜水艦第八号室の水サンプルの採取に成功した。室内からは空気塊や燃焼かす、油、放射能などは検出されなかった。この室は純粋な海水で充満していた。このことは室内でおそらく火災は発生しておらず、同室は長い間にスクリュ−シャフト受軸から浸水したものと見られる。軍のリストでは八号室(タ−ビン室)には八名の乗組員がいるはずである。
月曜日から火曜日の夜にかけて、作業船“レガリア”号から“クルスク”号に下ろされた特殊機械を利用してダイバ−が厚さ55mmの八号室胴体部に大きさ110x120cmの楕円形の穴を開ける予定である。したがって今日にもダイバ−は同室に入り、8〜9名の乗組員遺体と作業日誌を発見するかもしれない。同日誌には最初の爆発(あるいは衝突)から八号室が浸水するまでの経過が書かれているはずである。まさにそうした理由ではやくも月曜日にはダイバ−はこれを同じ作業を七号室にも開始した。ここには乗組員が最も長く閉じ込められていたはずである。
7号室、8号室、9号室の作業は最も安全で入手できるデ−タも多い。7号室と8号室の作業日誌はイリヤ・クレバノフの委員会が原潜事故の状況と原因を確定する上できわめて役立つものと思われる。天気予報だと火曜日から天候は若干回復する。風速10〜15m/秒、波4バ−ル以下の予報で、計画どおりの作業ができる。
木曜日頃にはこの事故に関し多くのことが明らかになるはずである。6号室は原子炉のある部屋だが、おそらく開けることはないだろう。5号室と5号室二階室上は取り外し式鋼板であり、補強板はなく、ダイバ−の作業は容易である。
2号室(司令室)、3号室、4号室(通信室)に入るには、さらなる調査が必要である。しかし、作業船“レガリヤ”のチャ−タ期間18日の中、まだ10間残っている。ここには、事故原因に関し最大の物的及び文書類の証拠がある。この期日までに作業委員会とこれまでに培ったダイバ−の経験が原潜“クルスク”号事故の本当の状況と原因を解明することを期待してもよいかもしれない。
10月24日(火)
“エリツインの抵抗”(完)
-本紙今週号が出る日にボリス・エリツイン最初の本「大統領のマラソン」が売り出される。そこでロシアの初代大統領は我々にたいし、何を隠し、何を明らかにしたのだろうか-
(モスコフスキイエ・ノ−ヴォスチ、10月10日〜16日号(40)、ヴィクトル・ロシャク)
我々はみな可能な限り、時代と闘っている。とるに足らない人間と大国の大統領は病気と家族の不和、半生の満足という同じ資産をかかえ人生の晩年を迎えるのかもしれない。「大統領のマラソン」は本というより、わが国前大統領が余生をおくる許可証であろう。自ら犯した誤りの悔恨と弁明がこの本を書かせた強い動機である。何故に彼はスヴェルドロフスクの第一書記であった当時、“イパ−チェフの家”を取り壊したのか。チェチェンや1998年のデフォルトはどうして起きたのか。ドイツ訪問時のオ−ケストラの指揮はばつが悪くなかったのか。しかし、終いには著者はあたかも手詰まりになってように「もし私に弁明を要求されるのであれば、“もっとうまくできるのであれば、試してみたまえ”、これが私の弁明である」と述べている。
正直なところ、手元に“大統領のマラソン”の一節が届いた時、特に行間を読もうとつとめた。長らく何処にも姿を見せないエリツインの健康はどうか、この本でタチヤナ・デイヤチェンコやバレンチン・ユマシェフ双方の記憶だけでない、彼自身のメモや口述がどの程度反映しているのか、把握しようとつとめた。
この本には著者でないと見ることも聞くこともできなかったと思われる確かに信憑性のある記憶が載せられている。例えば、ユマシェフの別荘で日曜日の夕方、焚き火を囲み、シャシリックを食べ、歌をうたう具体的な描写がある。しかしこれはたんに記憶のエピソ−ドにすぎないが、しかしその中には事実の散弾より強固な銃弾が潜んでいる。それは、たんなる政治家を偉大な政治家にしたエリツインの洞察力、猜疑心、権力意識、非論理性である。
ところで前大統領は晩年の家族協議による政治支配形態を否定していない。ただ彼の“家族”は評論家が指摘するものよりはるかに広い意味である。著者自身、“大統領のマラソン”の終わりの部分で最大の相談者でありアシスタントは首相でも、大統領府長官でもなく、下の娘であったとあまり隠そうとしていないことは別問題である。
エリツインの健康状態は先週土曜日、コスイギン通りの迎賓館ホ−ルに彼が現れた時に分かった。エリツインは太り、そこには鋭さはなく、ゆっくりとした歩調であるが、話すことは問題なく明瞭で、そのスピ−チもホ−ルを釘付けにするばかりか、爆笑をさそうものであった。「ほかでもない我々が本を出した。ミハイル・ミハイロヴィッチ(カシヤノフの方を振り向きながら)も反対しなかった」 ホ−ルは笑いにつつまれ、皆どうやって年老いたエリツインを遮ろうかと若干思っていた。一方彼は聴衆を懐かしみ、出版した本を捧げた自分の妻ナイナの腕にもたれながら、テ−ブルからテ−ブルと移ってゆき、出版社のスタッフや記者、ヴィクトル・ステパヌイチ、各大臣、軍関係者と写真をとっていた。
出版発表の時、この本には“出来あいのものはないが、手作りものはある”と述べたらしいが、そこで著者が何を意味していたのか分からない。エリツインは少なくとも、わが国の最近の歴史の中でいくつかの重要なエピド−ドを告白している。例えば、内務大臣アナトリ・クリコフが選挙延期の是非をめぐる大統領会議で、一人でコルジャコフや一連のグル−プに反対した話などがある。自分のポストのため、スクラトフの小さな取引の話もある。イ−ゴリ・イワノフが首相就任を拒んだことも書かれている。さらにこうした一節もある。「私は一度たりとも、ボリス・アブラモヴィッチ(ベレゾフスキ−)のことを好きになったこともないし、今でも好きではない」 滑稽な話としては、“祖国”とクレムリンの政治闘争が激化するまさに直前、モスクワ市長の別荘から搾りたての牛乳が届けられ、それで「太っちょ女が病気になった」と書いている。
気になる点と言えば、この本のきわめて個人的色彩からすると、権力禅譲の際、エリツインとプ−チンの間で非公式にどんな保証と取り決めがあったのか、この問いかけには答えていない。2000年の間ずっと我々は、新大統領が権力継承者の義務という論理に従いどのように行動しているか、見ているし、感じ取っている。それはどのようなものだろうか。エリツインは答えていない。答えるのだろうか。
大衆本の案内のように、各人はこの本の中で何か自分のとって興味深いものを発見するだろう。私個人としては、97年“プレスクラブ”を主宰していた時、有名な摘発者ミンキンに攻撃されたことを思い出した。彼は勤めていた出版社の編集長と共に、96年選挙時にエリツイン支持したリベラル派ジャ−ナリストを非難した。エリツインのもとで、将来の勝利者の選挙本部の依頼を有能に遂行したミンキンの賛辞を読み上げた時は、むろんのこと驚いた。
「今日はわたしはたんなる話し相手です」と自分の現在の役割について質問したところ、エリツインはそう答えた。けっこうだとも、本を閉じて、「話し相手になってくれてありがとう、ボリス・ニコラエイヴィッチ」と言ってもかまわないだろう。
10月16日(月)
“回答は待って”(完)
ロシア政府は原潜“クルスク”号沈没原因を今判断している-
(イズヴェスチヤ、10月13日、ウラジ−ミル・エルモリン)
学術調査船“ムスチスラフ・ケルドウイシ”の深海調査機器による原潜“クルスク”号本体調査は終了した。副首相で政府委員会委員長イリヤ・クレバノフは「きわめて多くの資料が収集された」と発表した。
原潜“K-141”沈没の真相が聞けると期待した人たちは大きな思い違いをした。副首相クレバノフもそれを実証した。副首相によると、深海艇“ミ−ル”から資料収集後、原潜沈没に関しどの説も有力とはならなかった。
船首部のぱっくり口を開けたぶち抜かれた穴、第二船室部胴体部のずたずたに裂けた傷跡、司令室の破損、こうしたことは医学用語で言う“合併症”をただ推測させるだけである。このように原潜の胴体部は内側からも、外側からもいくつかの衝撃を受けている。根本的に新しい情報についてはあらゆる点から見て、委員会は入手していないらしい。だが原潜全体像の写真がとられ、船体がどの程度海底土壌に“食い込んで”いるか、救援活動や海上引き上げ作業で起こり得ること、こうしたことを明らかにする上で役立つ計算資料が入手できた。(政府委員会は木曜日、船体引き上げシナリオも検討した) どこで事故が勃発したのか、その場所も綿密に調査された。
中間結果全体からすると、これは深海作業の技術面にはほとんどの者が疎い社会が期待していたものではあまりない。全てのものに関心があるのは、はっきりとした回答である。つまり何が“クルスク”号を沈没させたのか。この回答はまだ遥かかなたのように思える。専門家にとって何かはっきりしたとしても、それが近い内、完全情報公開されることはまずないだろう。“クルスク”号の真相全体がロシアの国益にどの程度適うのか、これについての上層部の長い思案は避けられそうもない。
10月14日(土)“戦略的決定”(完)
-欧州はロシアにたいしル−ブル融資を決めたが、条件はいっそう厳しい-
(イズヴェスチヤ、10月12日、エレナ・コロプ)
欧州復興開発銀行はロシアにおける同銀行の新たな活動戦略を決めたが、それによると国内通貨も含め、大幅に融資額を増加する予定である。同時に同銀行理事会はロシアにおける同銀行の計画を批判的に評価し、ロシア企業にたいする融資条件を厳しくすると決定した。
戦略の基本内容には変化はないが、ロシアにたいする欧州復興開発銀行の融資割合を20%から30%ぐらい増加する。金額では年間約7億〜7.5億ユ−ロを予定している。だが2003年までは同銀行は年間融資額を百万ユ−ロまで引き上げる予定にしている。今後欧州復興開発銀行は財政部門の前向きな改革支援、特に国営銀行の民営化の支援をロシアでの活動の中心にする意向である。
新戦略でまた自動車企業、鉄鋼業、鉱業、農業、ハイテク企業にたいする投資額の増加も予定している。さらに欧州復興開発銀行総裁ジャン・レミエルのよると、現在同銀行はル−ブルでロシア企業に融資する新たなスキムを準備中であり、この計画にロシアの銀行が参加するか否かにかかわらず、実行する意向である。ロシア担当理事ドウラギツア・ピリポヴィチ・チャフィによると、同行は国内通貨による融資には大きな経験がある。このような計画はポ−ランドとハンガリ−でうまく機能している。ロシアについては同氏に意見では、“とりわけル−ブル資金は中小企業融資計画向けであり”、同行首脳はこれをロシアにたいする最も重要かつ意味のあるプロジェクトの一つと考えている。
ミハイル・カシヤノフ氏との会談でジャン・レミエル総裁は、国内の事業及び投資環境改善に向けたロシア政府の行動を高く評価していると述べ、ロシアと欧州復興開発銀行の関係はすでに根本的に別の次元に入ったと見なしている。同時にレミエル氏は記者会見で同行理事会はロシア企業にたいし融資条件を厳しくすると決定したという“The Wall Street Journal”が記事を否定はしなかった。欧州復興開発銀行の観測では、同紙はこれを根拠にしているわけだが、ロシア経済の安定的発展を汚職、ビジネスの不透明性、株主の権利侵害が妨げていると指摘している。事業主にたいするおどし、ゆすり、時に物理的制裁の恐れが頻繁に起こり、投資リスク全体を高め、他の多くの国にはないような状態を引き起こしている。
さらに欧州復興開発銀行は以前にロシアに融資した資金の活用効果には批判的に見ている。「若干のプロジェクトは容認可能な基準を満たしておらず、同行の評判を貶める可能性があった」と同文章では指摘している。
現在ロシアは欧州復興開発銀行が融資する最も“問題をかかえる”国の一つであり、同行に返済されなかった融資の80%はロシアの分である。したがって今度は欧州復興開発銀行から融資を受けたいと願う者はより厳しい基準を満たす必要があるし、完全な財政報告書を提出する必要がある。それでも、ジャン・レミエル氏の断言するところによると、新戦略ではロシアでの既存のプロジェクトを打ち切る予定はなく、検討中のプロジェクトにたいして直接影響を与えることはないとのことである。
10月12日(木)
“ロシア国会、来年度予算承認”(完)
-ロシア政府は、議員とは折り合いがつくとあらためて確信した-
(独立新聞、10月7日、イワン・ロデイン)
昨日第一回読会で2001年度連邦予算案が審議され、誰にとっても予想外のことは起きなかった。政府は予想した通り、多くの批判を浴びたが、多くの新たな財源も“分かった”し、おそらくロシアの議員は基本的には温和で様々な理由により説得される国民であると、あらためて確信したにちがいない。こうした喧騒の中、首相ミハイル・カシヤノフが参加する予定であったが、昨日は彼は来ることができず、それでも副首相アレクセイ・クウドリンの力ですますことができた。
そうして彼の演説から最初の予算審議が始まり、夜遅くまで続けられた。財務大臣は、プ−チン大統領予算親書の中で政府や国家にとってどのようなものが最優先課題であるかはっきりと定めているし、どのように政府がすでに議会の要求を遂行いているか、こうした方向に正しく進める上で国会は何をする必要があるか、そうした点を長々と触れて演説した。クウドリン氏は2000年度予想されるマクロ経済結果に簡単に触れた。GDP成長率は5.5%、工業生産成長率7.5%、設備投資の伸び16%、インフレ率18〜20%以下と述べた。副首相は再度、来年度計画の基礎となる今年度の実績は、一部の議員が信じていうようにけして過度に低く見積もったものではなく、むしろ現実に最も近いものであると、政府主張を繰り返した。
その後でアレクセイ・クウドリンは、何故に政府が主要予算項目の見直し要求にかくも反対したのか、長々と説明し、最後には“マクロ経済予測は現実的で保守的なものでなければならないし、国は外国債権者の意思や石油価格に左右されてはいけない”と発言した。ちなみに財務大臣はその演説の中で、専門家の見込みだと、その所属は明かされていないが、2001年下半期ロシア石油価格は1バ−レル当たり17〜18USドルまで下落するかもしれないと強調している。副首相は、今後予算について細かいつめの作業をした後、年内に予算全体を決定できるように、第一回読会で連邦予算案に必ず賛成投票することを議員に訴えた。
国会各会派の強い圧力にもかかわらず、結局自前の予算構想を放棄しなかった政府にたいしては、昨日会計院長官セルゲイ・ステパ−シンがやんわりと反論した。同氏は2001年度予算に関し、法的不備の点と若干の主要項目を批判した。経済政策国会委員会議長セルゲイ・グラジイエフは、政府予算案は何の役にたたない、経済方針はロシア左翼の提案に合わせ変更すべきであると、出席者に述べた。その中の二つでも取り入れれば、この中途半端な予算案にしっかりとしたものが加わると、セルゲイ・グラジイエフは発言した。彼の意見だと、例えば国の対外経済政策を変更すれば、3000億ル−ブル以上の財源が出てくる。さらに2400億ル−ブルもの財源が、もしロシア闇経済を近々表に出せば、でてくる。予算及び税国会委員会議長であるアレクサンドル・ジュ−コフは第一回読会で本案を支持するよう下院に求め、財政計画案に関し最後の結論を述べた。
知られているように、ジュ−コフ氏自身予算案の基本額については増額見直しをこれまで支持していたし、今も支持しているのだが、それ故昨日彼は再度、偶然にせよ、意図的にせよ政府が悲観論に陥り、それが結局のところ、予想される2001年度予算歳入縮小となっていると説明した。だいたい同じようなことを表現の強さには程度の差はあるものの、昨日発言許可された各国会委員会の議長も述べていた。と言っても、全員にこうした権利が与えられたわけではなく、その代わりは各会派の代表がした。かくして国会は専門家を批判するより、政治討論を選んだわけだ。その様相はこうだ。国会の各代表はあたかも予算について発言しているようだが、しばしば大きく脱線していた。
誰よりも大きく逸脱したのが、いつもの事だがウラジ−ミル・ジリノフスキ−で、湯−語スロヴァキア問題で大変興奮していた。リベラル民主派の先導者は予算案は誰にとっても不必要なものだと主張していたにもかかわらず、結局それを支持するよう呼びかけた。と言っても、こうした訴えを最初にしたのは会派“統一”の代表であった。ボリス・グルイズロフは、彼の同志は最初から政府案に賛成であったと述べ、議員に予算案に賛成投票するよう求めたが、賛成しない者はエコノミストの資格も政治家の資格もないと述べた。エフゲニ−・プリマコフは最後の言葉があきらかにずっしりときたらしく、演説中それを何度も繰り返していた。
プリマコフの発言が雄弁術としてみれば、昨日発言した全議員の中で最も良かったものと思われる。祖国全ロシアの指導者は2001年度予算案を将来のデフォルトの予算案と呼び、そこにはガイダ−ルの根っ子が存在していると議員に明らかにし、また若手改革派にたいしては経済政策に国家主義的なアプロ−チがなく、議員を惑わすようなところがあると罵倒した。エフゲニ−・プリマコフは本予算案を退け、もっと説得力のある財政案を作る調整委員会の設置を訴えた。元首相は自分の会派がプ−チン大統領を支持しているし、まさにそれ故に2001年度予算案には賛成しないだろうし、これは国家元首の“権威を損ねる”ものだと発言した。
右派連合の指導者ボリス・ネムツオフはエゴル・ガイダ−ルが政府活動に何らかの関与については否定し、もしこれが事実であるならば、予算案ははるかに良いものとなっていたと述べた。ネムツオフ氏は政府に対し、もしリベラル派の名を維持したいのであれば、資金をしまいこむのではなく、予算の社会項目に繰り入れ、国民に戻すべきだと主張した。会派“ヤブロコ”代表グリゴリ・ヤヴリンスキ−は一方では予算案を賞賛したが、もう一方できわめて悲観的すぎると非難した。それでも彼は、政府提案の予算によって国内に存在する四大問題を早くも来年には解決できると発言している。先ず第一に彼の見解だと、軍事費を二倍にできるし、兵器や研究実験設備購入に250億ル−ブル追加できる。さらに同議員は、召集兵人数の削減、つまり職業軍人からなる軍隊に移行すべきだと述べた。第二点としてヤヴリンスキ−氏は教育の経済・技術基盤を強めるため、50億ル−ブル以上割り当てる必要があると述べた。また司法制度は抜本的強化したほうがよいとし、それでも結局は中央と地方の予算割合を50%、50%に戻したほうがよいと述べた。
アレクセイ・クウドリンは結語を述べ、政府に向けられた全ての攻撃に反論し、その後で国会は第一読会で2001年連邦予算を承認した。予算案賛成議員は232名、反対者は186名、棄権は2名であった。ちなみにロシアの国家歳入出額は、2001年度予算案では1兆1934億8290万ル−ブルである。
10月8日(日)
“ロシア宇宙ステ−ション、ラストタンゴ”(完)
-宇宙ステ−ション“ミ−ル”の運命、祖国宇宙部門のドラマ-
(独立新聞、10月5日、ユ−リ・カラシ:哲学博士、専門(宇宙政策と国際関係)
宇宙ステ−ション“ミ−ル”の運命をはっきりさせ、最終的には来年の始めに燃やすのか、それともさらに運転継続するのか、これに関し“エネルギア”の設計長会議は10月3日決定を下したが、それは胸が痛くなるほど、米国映画「ラストタンゴ」の情景と似ていた。この映画では、死刑を宣告され、処刑用の注射をするためテ−ブルに安置された女性が、突然赦免されたと知らされる。この数時間後、これが誤報であると分かり、女性は死刑執行人の注射でその人生を終える。
1998年以降、ロシアの宇宙ステ−ションは定期的に死刑宣告されるが、最後の瞬間は数ヶ月後再び効力がでるように、そのためだけでこの宣告を取り消すのである。
今“ミ−ル”で起きていることは、国の全宇宙部門のドラマの反映である。はじめに、ロシアにとって“ミ−ル”はどんな意味があるのだろうか、この問いの答えをだしてみよう。
数ヶ月前、二度ソ連邦社会主義英雄の称号を授与された宇宙飛行士ウラジ−ミル・コワレンコは「宇宙ステ−ションは最早、自分自身のためにだけ飛行しているだけで、乗組員は運転能力と人命に必要な状態に維持する以外には何もしていない」と述べた。こうした状況では、どのような大きな科学研究活動について語るまでもない。したがっていったい何故に、この宇宙ステ−ションに年間数億ドルも費やす必要があるのだろうか。
しかし問題は、宇宙ステ−ション“ミ−ル”がどのソ連/ロシアの大型宇宙プロジェクトとも同様に、伝統的に国家の政治課題も解決する使命があり、つまりその技術力、経済力のシンボルをはたす使命がある。
数年前、この宇宙ステ−ションに程度こそ小さいがこれと似たような課題がかせられた。これはロシア宇宙計画で宇宙ロケットコ−ポレイション「エネルギヤ」のはたす主要課題の一つを力説することであった。たしかに「エネルギヤ」こそが宇宙ステ−ションを開発したのだし、運転しているのである。一面では宇宙ステ−ション”ミ−ル“は現在ロシア最大の国家宇宙プロジェクトなので、現実に同事業団の意義を際立たせている。ところがそれにもかかわらず、「エネルギヤ」の利害が国家とはっきりと矛盾している状況が生まれている。
第一に宇宙ステ−ション”ミ−ル“には、国際宇宙ステ−ションにたいするわが国の義務遂行に欠かせないロシアの宇宙事業予算の大部分が使われている。「エネルギヤ」の首脳は、ロシアの宇宙ステ−ションは商業飛行を運営している民間企業「MirCorp」に費用で賄われていると主張している。だがこの論拠は確認する必要がある。
たしかに「MirCorp」は宇宙ステ−ション”ミ−ル“飛行の現実のスポンサ−であり、同社は今年四月同ステ−ションにクル−を派遣している(船長セルゲイ・ザレチン、航空エンジニア:アレクサンドル・カレリ)。こうした一回の飛行費用は2000万ドルにものぼる。いずれにしても、年間の運転総費用は無人飛行の状態も含め、2億5千万ドルにもなる。
第二番目の原因だが、宇宙ステ−ション”ミ−ル“の飛行はロシアの宇宙飛行学の利益を損ね始めており、それは国家宇宙部門の発展に誤った方向を与えている。特にその旗手の代表である「エネルギヤ」にたいしてである。この宇宙ステ−ションを継続運転することは、同事業団を新たなものの開発に向かわせるというより、むしろ古いものを維持する方向に向かわせている。まさにこうした考えの背景には、ロシア宇宙飛行学にたいする社会と政府の低い関心があるし、その結果、不十分な予算配分となっている。
宇宙ステ−ション”ミ−ル“はそれがいかに不朽の名声を上げたとしても、我々にとっては過去の存在なのである、そのように理解する時なのである。旧式の宇宙ステ−ションでは次の世紀に突入することはできないし、次の世紀では火星探査は一層現実的な様相を呈し始めている。ロシアの今後は、一つは有人飛行経験を維持する必要条件として国際宇宙ステ−ション計画に参加することであるし、もう一つは根本的に新しい宇宙ロケットシステムを開発し、それにより現代世界においてロシア国家の権威と威信の回復を大幅に加速させることである。
一昨日設計長会議の決定が明らかにされたが、「MirCorp」は公式声明をだし、2001年以降も宇宙ステ−ション”ミ−ル“の飛行維持のため、今後も民間投資家を勧誘する意向であると断言している。宇宙ステ−ション”ミ−ル“の”ラストタンゴ“はロシアの宇宙飛行学と一緒となってさらに続けられるのだろうか。
10月6日(金)
“好況から長期戦略へ”
-金融関係はより安定してきた-
(独立新聞、経済面、10月3日)
多くのエコノミストはロシア経済に関する政府の楽観論には一線を画している。たしかに本年度のマクロ経済指数は改革の全期間と比較すれば、きわめて好調である。同時に輸入代替品の効果がなくなったことも明らかである。それ故、工業生産の伸びは鈍化し、停滞が見られる。消費形成部門(電力、石油、ガス生産、貨物輸送)の予想を上回る伸びは、必然的に国内製造企業の競争力を低下させるし、これはすでに輸入の伸びで確認されている。本紙はアンドレイ・ベロウソフ氏が中心となっているマクロ経済分析及び短期予想センタ−のグル−プにより作られた、2000年度7月〜9月期の経済状況の概観について、読者に紹介する。
ここ数ヶ月の経済状況は好況から停滞への移行傾向にあると、特徴づけることができる。7月〜8月のGDPは季節要因もあり、月平均1.2%の伸びであったが、これは主に建設と商業取引の拡大によるものである。工業製品では、7月の生産量は前月比では大きいものではなく、0.6%であったが、8月になると0.9%の落ち込みであった。
生産量が昨年末から再び始まった連続的な工業成長期間の後、横ばいとなったことは注目に値する。その結果、1月〜8月の期間、工業生産の伸びは5.6%となり、主要製品では6.8%であった(1999年12月比)。こうした傾向が続くと、年間工業生産指数は1999年度水準と比較すると、108〜108.5%となり、GDPでは106.5〜107%となる。
八月の停滞移行は、全面的な性格があり、ほとんどの産業部門に及んでいる。さらにこの中(製紙、建設資材、食品部門)でここ三四ヶ月、生産低下の傾向が明らかに観察された。月平均1〜2%の低下である(季節要因入れず)。
経済発展状態が明らかに切り替わったことで、企業の財政状態が若干悪化している。例えば、1999年末産業の利潤率は21%であったが、2000年第二四半期では16〜17%の間である。2000年中頃の生産業の資金確保日数は、1999年下半期に7.7〜8.4日であったのに対し、6.6日であった。期限切れ債権額が再び増加し、1月〜3月では月平均5.2%、4月〜6月では0.8%、7月は2%であった。だが同時に企業の自己流通資金は目下増加中であり、これは産業成長が再び始まる明らかな前提条件を作り出したいる。
各企業責任者からとったアンケ−ト結果(経済状況センタ−資料)は好況から停滞に移行しているという意見である。8月〜9月期の製品需要に関しても生産高に関しても、アンケ−ト評価の変化は、景気変動の範囲内である。アンケ−トでは、生産増加があったと答えたのは、今年3月〜4月期には企業責任者の57〜58%であったのにたいし、今期は52〜54%となった。さらに第三四半期に現れた企業財政評価の若干の悪化は注目しておく必要がある。
末端需要
8月に末端の商品需要の伸びは顕著(7月比、1.9%)ではあったが、好調の波は徐々に沈下している。このピ−クは1999年第四半期から2000年第一四半期であった。最近二つの四半期では、末端需要の伸びテンポは月間約1%までに落ち込み、生産分野における安定的な経済成長の維持にはまったく不十分である。
国内末端需要の伸び鈍化は、貿易分野の傾向でさらに大きく加速されている。第二四半期から貿易需要はロシア経済の輸出指向部門における生産増加の大きな要因では
なくなった。輸出絶対量の月間伸びテンポは、ゼロまで落ち込んでしまった。反対に、輸入の伸びテンポは大きく増進し、最近では末端重要の動きと一致し、あるいはそれを凌ぐものである。
こうしたことから現況の新しい本質的局面とは、まさに商取引と投資の動きがロシア経済の成長率そのものにとって決定的なも多少とも目に見える役割ではなくなった。逆に国内の末端需要(消費及び投資)ののとなっている点である。輸入代替も輸出も事実上、国内生産成長要因の作りでは意味はこうした観点からすると、大幅に高くなった。
消費に関しては8月はきわめて好調な動きであった。小売売上高の伸びは7月比で1.8%であった。それでも、ここのところの停滞傾向に変化があったと結論するには少し早すぎる。ここ半年、八月は例外だが、小売売上高の月間伸び率は1%強であった。それでもこの水準であると、年間全体の小売売上高は1999年比で7.5〜8%増が期待できる。
商取引高は国民の実質所得と密接に結びついており、この半年間のその動向は停滞の範囲内である。八月に実質所得が1.8%増えたが、これは7月の下落1.6%を補っただけである。こうした傾向を考えると、国民の年間実質可処分所得指数は109.5〜110%となる。
投資については12月から5月にかけてはきわめて急激な伸びが見られたが、昨年度を19〜20%上回る水準であるにしても、横ばい状態である。第一、第二四半期でその伸率は2%、3.2%(月間)であったが、7月〜8月では月間0.4%であった。
年間を通じてここ数ヶ月の動向が維持されると、固定資本の投資は、1999年比115〜117%ぐらいになるだろう。
対外貿易分野ではこれまで中心であった傾向に変化がでている。輸出は昨年中頃から堅調に増加し続けてきたが、次第に減少し始めている。2000年第一四半期の玄関平均伸び率が3.7%であったが、4月〜5月では0.5%、6月〜7月には1.8%の落ち込みが見られた。輸出減少で最も顕著な分野は工作機械であり、6月〜7月で四分の一以上落ち込んだ。
それでも、ロシア輸出主要品目にたいする世界市場は好況なので、2000年は高い水準(970〜1000億ドル)で年間輸出高を見込むことがきる。(1999年比、129〜133%増)
その反対の傾向となったのが、輸入増の始まりであり、これは長い間(1999年第二四半期〜2000年第一四半期)まったく横ばいであった。月間輸入高は32億ドル〜35億ドルから37億ドル〜38億ドル増加したが、ここ四ヶ月の伸び率は平均で1.9%であった。ル−ブルがしだいに強くなったことと、国民の実質所得の安定を考慮すると、2000年度の輸入高は440億ドル〜450億ドル(109〜112%)と見込むことができる。
インフレの推移
物価状況は7月〜9月では、インフレ鈍化の特徴がある。消費物価指数は7月で101.8%、8月−101%、9月(見込み)−101.1%で昨年の水準以下である。消費物価上昇率の低下は主に季節要因によるものだが、とりわけ果実・野菜価格の低下によるものである。7月〜8月期、この物価指数は85.8%であった。“季節に関係ない”非食品物価やサ−ビス価格の上昇によるインフレ水準は、月間102〜102.5%で落ち着いている。
きわめて高いインフレ率は主に三つの要因により引き起こされる。一つは、消費形成部門(ガス、電力、輸送サ−ビス)価格の急激な上昇が消費サ−ビス価格の上昇を引き起こしている(7月〜8月、月平均103.4%)。二つ目は、第二四半期に月平均108.6%となった前期の現金通貨量が急激に増加した影響である。三つ目は、ガソリンにたいする投機的な価格上昇が一定の影響を与えたことで、8月で106.3%の上昇であった。
(中断)
10月3日(火)
“試験的に一部土地売却開始”(完)
-首都モスクワではじめて土地が売り出された-
(イズベスチヤ、10月3、リナト・サグデイエフ)
首都モスクワでとにかく土地の私的所有権の販売実験に踏み切った。昨日競売で、ゼレノグラド(モスクワ衛星都市)の第一号の土地一区画が31万ドルで落札された。実際には、モスクワの土地革命と言うことはできないかもしれない。ユ−リ・ルシコフ(モスクワ市長)は首都のその他地域にもこの実験を拡大するつもりはない。
実験には法的に首都に属する町が選ばれた。ほかならぬヒミキ市のほうがはるかに首都に近い。その上、地方条例により土地の売買はロシアの多くの地方ですでに実施されている。
ゼレノグラゴ市の第一号土地区画は総面積0.75ヘクタ−ル、価格31万709ドル(開始値は26万ドル)で無名の会社“ギル・ゲル”が購入した。競売条件によると、この土地には総面積2400uのス−パマ−ケットが建設されることになっている。面白いことに、当初月曜日の競売に9区画かける予定であったが、さらに4区画10月9日に売却するつもりらしい。もっとも、競売の準備をした“モスクワ競売所”会長ヴィクトル・ソボレフが以前に、競売参加者はさほど多くないと言っていた。したがって、主催者は負けのない案、つまりス−パマ−ケットを建設する案を選択したのであった。残りの十二区画はアクアパ−ク、ガソリンスタンド、商店、食堂、工業及び公共用途の様々な施設建設用で、年末までに売り尽くす予定である。
競売終了後、モスクワ土地委員会委員長ヴィクトル・ダムルチイエフの発言によると、用地価格がそほど上がらなかったにもかかわらず、満足している、市当局にとって最大の課題は、政治的側面であり、投資家の信用を戻すことなのである。おそらく、連邦法では外国人(基幹投資家)にたいし土地の直接販売は禁止している事実には彼は当惑しているはずである。ヴィクトル・ダムルチイエフの見解だと、「連邦法が無い場合、各地方は地方条例を適用し、土地問題を自主的に調整できる」としている。とは言っても、この実験は継続されない可能性がある。六月に市長ユ−リ・ルシコフは、モスクワの土地はモスクワ市に属するものだが、賃貸借のやり方で金銭をコンスタントに受領したほうが、売却による一回きりの収入よりよいと述べている。
10月3日(火)
“ヨ−ロッパ、ロシア燃料求める”
(独立新聞、9月30日、セルゲイ・プラヴォスドフ)
英国の有力紙”ファイナンシャル・タイムス“によると、EUとロシアはロシア製エネルギ−燃料のヨ−ロッパへの供給量を大幅に増やす件で交渉を始めた。EUの公式関係者の話だと、この交渉はガス供給量の倍増と石油及び電力の輸入増に関することらしい。本紙の取材によると、エネルギ−分野の長期的協力問題は、プ−チン大統領とヨ−ロッパ委員会会長ロマノ・プロデイが電話会談をし、双方このテ−マに関し交渉継続に意欲を示した。同英国紙によると、予想される双方の合意内容には新しい石油・ガスパイプラインの敷設(パイプライン通過国も参加)協定の調印も含まれるらしい。
この記事では、これはどのパイプラインのことなのか、現在建設中のものなのか、それともまったく新たに建設するのかはっきりしない。“ガスプロム”によると、これは“スカイブル−”プロジェクトと“ヤマル・ヨ−ロッパ”プロジェクトのことらしい。現在ヨ−ロッパ諸国にたいするロシアのガス供給量は年間約1200億㎥である。したがってガス供給量を二倍にすることは可能とは思われない。“ガスプロム”関係者によると、根本的に新たなパイプラインについて交渉は行われていないらしい。まいてやロシアではガス生産量は目下減少しているのでなおさらである。
石油についてはおそらく、バルト・パイプラインシステムの件らしく、これによりヨ−ロッパ市場の石油供給量を増加できるはずである。本紙記者がエネルギ−省を取材したとことによると、近々ヨ−ロッパにたいする石油輸出は増加するどころか、逆に300万トン減少するとのことである。これは冬期が近づいていることと、国内向けに燃料を利用する必要からである。ところが来年春以降は燃料輸出増加について話し合う余地が出てくるらしい。さらにエネルギ−省の計画によると、2010年までにロシアの石油生産量は年間3300万トン増加するはずである。
10月3日(火)
“逃したチャンス”(完)
-国家予算は経済政策の“てこ”となるのか-
(独立新聞、9月26日、セルゲイ・グラジエフ)
10月6日国会で来年度連邦予算案に関する第一回読会が行われる。これまでの予算案と異なり、今回の法案はかなり意欲的な政府案であり、来年度は国庫を赤字にしないと提起している。初めて政府は国家予算の収支バランスを完全にとり、分相応に国をやり繰りすると提案している。かなり高い確率で予想できるが、連邦予算案の審議過程も今秋はこれまでとは大きく異なるはずである。昨年末国会の左翼野党勢力が弱くなり、政府としては大幅な修正なしにマクロ経済政策案が承認されるよいチャンスなのである。そしてきわめて有りそうなことは、予算案読会がとても静かな雰囲気で行われ、論争は政府不信任とか国会解散というレベルまではいかないことである。現在の閣僚はこれまでと異なり、懇願するような立場で各議員と話すのではなく、こうしたことはここ最近しばしばあったことだが、ところが現実には議員の多くの提案を退けている。ちなみに副首相アレクセイ・クウドリンは長く続いた事前討論の後、国家歳入を1500億ル−ブル“膨張”させる、とした議員提案を完全にはねつけた。政府の立場は基本的に了承された。各閣僚は歳入数値を増やすことに懸念を抱いている。突然石油価格が変動し、そして経済成長が低下するかもしれない、それを恐れている。そうなれば彼らは自分たちの椅子をたちどころに失い、新大統領も経済及び金融において二ヵ年間の上昇後、低下でも始まれば、そのポストの維持はまず無理だろう。政府が予算額をかなり低く見積もっているのもそれなりの訳がある。今後1ヵ年の石油価格平均値とインフレ水準は明らかに低いものである。来年度連邦予算案はその他にも欠陥がある。2001年度予算案審議入り前に、本紙は国会提出される予算案を最も一貫して批判している二人の専門家に紙面を提供することにした。一人は経済学博士、国会議員セルゲイ・グラジエフで、ロシア共産党経済プログラムの執筆者の一人としても知られている。もう一人は、会計検査院の検査官、元財務大臣ウラジ−ミル・パンスコフである。
各国会委員会では既に一般的認識となっている、2001年度国家予算の欠陥は、経済政策目標を形式的に赤字を出さないものにすり替えている点にある。その結果、何らかのはっきりした基準なしに他の支出バランスをとり、国家債務返済を絶対優先にしている。したがって予算の実質優先順位は内容のあるものではなく、ロシア憲法や現行法、大統領教書で定められている社会経済政策との関連性も失われている。
国家債務返済に資金を使いすぎることにより、法律で定めた予算配分基準のどれも守られていない。この問題の解決策を見つけようとはせず、政府は該当する連邦法の効力停止を念頭に入れ、予算計画にたいする基準どおりのやり方をただ放棄するよう申し入れている。そこで、その遂行のための資金不足は4664億ル−ブルであり、これは国家債務にあてがう支出より225億ル−ブル少ない。
予算方針の策定にあたり明確な目的が失われているので、予算支出の様々な用途の照合や比較効果の評価が不可能になっている。その結果、これは利害関係のある圧力団体の力のバランスで編成されている。最大の比重を占めているのは、その官民の利害に基づき事実上予算方針を決定している金融機関の活動に絡む支出である。全体でこの支出は5531億ル−ブルであり、全連邦予算の46.3%にあたる(これには固定支出、中央銀行の維持、財務省とロシア銀行が専権事項として管理する国家債務の返済などの支出も含まれる)。国家機関の維持費用の中、固定給与機関の割合は65%となっている。
歳入が3692億ル−ブル増加するにもかかわらず、政府は投資や技術革新活動の支援を減らしている。法律に反し、予算案から振興予算が削られている。生産分野発展に向ける投資にたいし国家保証が削除され、特別連邦プログラムの半分にたいし予算配分は“ペンデイング”のままである。
ところが投資や技術革新を刺激する然るべき国策なしには、予想される設備老朽化を補うため、生産設備近代化の投資額を少なくても二倍にする課題の解決は不可能である。企業は現在、耐用年数の過ぎた設備にたいし、その投資は四分の一である。形成された銀行システムが十分に機能しないので、商業銀行による現業部門にたいする多少とも本格的投資は期待できない。現在商業銀行による製造部門の投資融資割合は約5%である。この課題の解決は金融危機で根本的に破綻した証券市場を発展させても無理である。
投資活動を然るべき強める唯一の方法は、各振興銀行や振興予算を用いて国の銀行機関により製造部門向け融資体制を拡大することである。しかしこれに必要な対策は予算案にも、中央銀行業務計画書にも予定されていない。振興銀行とロシア農業銀行の資本金として各々10億ル−ブルの拠出では不十分である。この課題解決を政府が事実上放棄していることは、経済及び予算の戦略策定で最大の誤りの一つである。
生産の成長と投資を刺激する代わりに、遺憾ながら、予算案では経済成長条件を悪化させる下記に掲げた一連の政策が見られる。
-中央銀行の管理下にある以前にリスケジュ−リングした国債を市場条件に合わせ、第二市場で売却するやり方で国の債務返済額を人為的に膨張、中央銀行にたいし、それ自身の債務にたいし増刷の許可、新たな国債の発行。このことは生産部門発展向け投資資金が1000億ル−ブル以上減少することを意味し、来年度予想される生産部門向け投資総額の26%にあたり、国の投資プログラム総額の約4倍以上に匹敵する。
全体としてこうしたやり方は経済の現業部門にたいする資金の流入を阻害し、新しい“金融体制”形成に国を引きずり込み、その後金融システム危機のおそれが出てくる。
-輸入関税率の根拠なしの低下とその一律化。2001年度ロシアの社会経済発展の予想には、こうした措置の正当性を証明する何らかの根拠と見通しがない。総じて政府が予定している輸入関税率の低下とル−ブルレ−トの強化はロシア製品の競争力を6%低下させるだろう。これにより市場から国産品を締め出し、GDPの伸びを低くし、予算歳入が小さくなることは明白である。さらにロシアのWTO加盟交渉終了前に輸入関税の引き下げは、一方的な譲歩を意味し、交渉条件を悪くするし、国内市場保護をより一層弱めるように要求されるだろう。
-エネルギ−及びそのサ−ビス価格の先行値上げは、支出増を引き起こし、加工企業の財政状態を大幅に悪化させ、その競争力を奪い、経済成長鈍化の最大要因の一つとなる。予想にはこうした措置の正当性を証明する何らかの根拠と見通しがない。
こうした予算政策では、現在の経済成長力を生かしきれないだろう。GDPが5.5%〜7%になる客観的可能性があるにもかかわらず、予算案の見通しでは4%としている。生活水準改善の気配が感じられない。最低生活費以下の所得の国民の割合は30%の水準のままである。予想される投資額は、単純再生産に最低必要な水準の二分の一だし、貯蓄残高から見た国内投資能力の四分の一である。
全体として2001年度予算案を実施すると、末端需要が縮小し、現業部門にたいする投資が減少し、経済にたいし後退作用をあたえる。
経済成長にたいする支援策が不十分であるにもかかわらず、2001年度国家予算ではかなりの予備金が組み込まれている。特に資本の不法持ち出しの阻止、採掘品及び資源輸出品からの自然所得、中央銀行なども含めた国営企業の利益、銀行機関も含め国有財産利用効率の大幅な向上、アルコ−ル品販売市場にたいする国家管理の強化、エチルアルコ−ル市場に国営企業の参入、関税法にある不当な特恵の廃止、サ−ビス関係の輸入にたいする無課税を撤廃などにより、歳入を大幅に増やすと何度も表明した提案はカットされている。最も控えめな評価でも、上記に掲げた歳入源を全て利用すると、少なくとも歳入は1.5倍増えるはずである。ここに掲げた項目は増税とはまったく関係していないことが重要なのである。逆にこうしたことを実施すれば、労働や生産にたいし、さらに減税することも可能なのである。
こうした歳入源をほとんど利用していないばかりか、国家予算案では関税率引き下げというかなり論争となる提案が含まれている。この措置で直接の歳入減だけでも、約500億ル−ブルである。こうした歳入を維持すれば、学術や科学技術発展向けに予算を倍増できるし、あるいは常に予算不足の社会政策にたいし予算を10倍増やすことができるだろう。
関税率引き下げが不適切だと上で触れた。輸出関税大幅引き下げ案もきわめて疑わしい。予算案起草者はこの根拠として、この措置はそもそも最初から時限的なものであり、ロシアの資源輸出品価格がどうやら下がると予想しているらしい。しかし第一にこの予測は2001年度の世界市況に関する専門家の評価で裏付けされているものではなく、それによると、鉄鋼及び非鉄金属という主要品目の価格は安定し、若干上昇傾向にあると予想している。石油価格は輸出課税を導入した価格上回る水準に維持されるだろう。第二としては、この決定は直接歳入損失が458億ル−ブルとなるだけでなく、国際市場の水準までエネルギ-や原料品の国内価格を急速に上昇されるおそれがある。これは加工業や建設業、農業、サ−ビス産業の収益性の低下、財政状態と競争力の悪化を引き起こし、そしてそれはこうした部門の企業生産や利益の縮小で税基盤が
低下となる。
天然資源利用による歳入額の根拠はさらに分析する必要がある。これは地下資源料金に関しても、環境汚染料に関しても、引き上げ可能である。検査資料によると、予算歳入の大幅な増加の可能性は、製品分配に関する既存の協定の中にも潜んでいる。この協定により、きわめて収益率の高い多くの石油産地が開発されている。いずれにしても、2002年度から予定しているこうした税金の多くを廃止することには、根拠がないし、こうした税金は刺激的な意味があり、社会経済環境に前向きな作用をする。さらにその収入も、これはさほど大きな額ではないが、社会分野全般にたいする資金に“相応しい”ものでもある。
徴税率を高めることもよく考える必要がある。予算案添付の説明書の徴税率は89%であり、これはおそらく実質徴税率よりはるかに高いものだろう。我々の分析によれば、資本の不法持ち出しによるだけでも、国家予算は年に1000億ル−ブル失い、闇経済の未徴収分は会計院によると2400億ル−ブルにものぼる。同機関の計算だと、国有資産の拙い運営により、国家予算は来年度約2400億ル−ブル失うことになる。したがって、徴税率高めることによる予算歳入増加の可能性はかなり高い。そこで徴税率を1%上げただけでも、国家予算だけの歳入でも1100億ル−ブル以上となり、予算案で予定している、基礎研究向け歳出全体をも上回る。
いずれにしても、経済成長の鈍化傾向と不況再来を断つことは可能である。科学技術生産力があり、貿易状況が好調なので、上手に経済政策を実施すれば、生産と投資を7%まで伸ばすことは可能なのである。
こうした政策の内容に関してはロシアの学者、専門家の間でロシア経済発展戦略についての討論過程で広い合意が達成された。ロシア科学アカデミ−経済部、ロシア通商金融連合、“ロシア経済ジャ−ナル”と共同で経済政策・企業活動国会委員会により行われたこの討論の結果、投資活動及び技術革新の促進、新しい技術様式を基本とした経済の近代化と構造改革に基づきこのような経済成長テンポを確保できる体系的措置を維持するという結論となった。予算政策に添付したこうした助言を実施することは、2001年度国家社会経済発展の見通しと2001年度予算案に関し下記の修正を行うことを意味する。
成長条件を悪化させ、予算の収入基盤を低下させる下記一連の経済政策を放棄する必要がある。
-金融市場に流通する国債額の増加(893億ル−ブル)、中央銀行にたいする政府債務の更新(150億ル−ブル);
-WTO加盟交渉終了前に輸入関税の引き下げ(34億ル−ブル);
-主要な世界分析センタ−の予想でも妥当性に裏付けのない輸出関税の引き下げ(458億ル−ブル);
-ル−ブル交換レ−ト引上げ政策(その変動は国内ル−ブル価値低下テンポに合わせること:600億ル−ブル以下)
投資活動と技術革新の発展させる上で必要な条件を確保するためには下記のことが必要となる:
-予算内債務837億ル−ブルを消却し政府により通貨供給量を増やし、また余剰流動資金を拘束し、総額450億ル−ブルを政府が保証して振興予算を復活させること
-学術部門にたいし通常の予算割当てをおこなうこと(国家予算歳出の4%、477億2千万ル−ブル)
-経済の近代化及び構造改革の優先課題解決向け目的別プログラムにたいし全面的に予算割すること(514億ル−ブル)
-振興銀行向け予算割当てを増やすこと
こうした措置をとれば、少なくとも本年度に達する経済成長率は維持できるだろうし、投資活動を二倍にするという課題の解決にも近づく。これはまた約720億ル−ブルの追加歳入を生み出すだろう。
ここに掲げた全ての提案を2001年度予算案で受け入れれば、追加歳入は約2800億ル−ブルとなり、不法な資本持ち出し阻止や闇経済の一掃による得る資金をあてにしなくてもよいし、リストアップした歳出項目にたいし完全に予算割することができる。
さらに中央銀行の国家的地位とその資産にたいする国の所有権に関し、政府と中央銀行の関係の見直しという問題はだいぶ以前から紛糾している。これは中央銀行の管理下にある国債問題の最終解決と、また国の銀行機関を基本に投資活動支援のメカニズムを作る上でも重要である。この問題が解決すると、中央銀行にたいする利子支払いを100億ル−ブル以上予算から削減できる可能性がある。世界の経験からして、市場以外からの借款の可能性も否定すべきではない。国債や一部対外債務をこれで置き換えれば、国の債務支出負担を軽減し、国家予算の状態を改善できる可能性がある。
全体としてこうした提案を実施すれば、GDP成長率を5.5〜7%に維持できるだろうし、投資活動や技術革新の予想以上の伸びを確保できるし、今後の社会経済発展に必要な生産設備の近代化や債務危機からの脱出が可能となるだろう。