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めぞん一刻TVシリーズ/演出の事とか
更新日1998年1月25日   ©阿修羅 ashura@racer.biglobe.ne.jp.ANTISPAM

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 TVめぞんは全部で96話ありますが、大きく3つの期間に分ける事が出来ます。まず、やまざきかずおがチーフディレクター(以後CDと略)の1〜26話、次に安濃高志がCDの27〜52話、そして吉永尚之がCDの53〜96話です。以後それぞれを1,2,3期として進めます。
 まず1期についてですが、この頃はまだ模索段階である事、また原作も作者が漫画家業を始めたばかりであり粗削りである事、そしてTVシリーズうる星やつらのCDを勤めたやまざきかずおの作風も手伝って、コメディ色が強く、どちらかと言うとテンポに乗って展開していくものになっています。また、キャラクターデザインもやまざきかずおが行っており、やまざき一色といったイメージがあります。
 1期に使われた原作の話が、元々コメディ色の強いものなので、それが忠実に再現されているとすればよく出来ているのですが、作品のバランスから言うと1期はそれほど抜きん出ている訳ではありません。

 次に2期についてです。この期は安濃高志がCDを勤めており、1期のイメージからすると色々な部分で変わってきます。特に、2期が1期と全く異なる点は、テンポに乗って、ではなく、心情的な流れを重視した、ゆったりとした展開になっている事で、TVめぞんの作品のイメージを固めたのが、この期と言えます。
 この期の特徴的な演出としては、時間的な「間」や、非常に多く見られる情景描写があります。人物が登場して何らかの描写がなされた後、すぐに場面が切り替わるのではなく、見る者がそこに感情移入していくだけの時間的余裕が、常に用意されており、また、何気ない風景(街並みであったり、季節の花であったり…)をエピソードの間に丁寧に織り込んでいく事で、生活感や時間感覚、そして人物の心情が大変うまく表現されています。
 作画及びアニメーションについても、この期からレベルアップしています。キャラクターデザインが高田明美に変わったためか、1期に比べると人物が多少シリアスなタッチに変わっており、作画監督が河南正昭または、特に中島敦子の回は、非常に奇麗で丁寧な作画がされています。

 次に3期についてです。この期はCDが吉永尚之に変わっていますが、2期に続いてゆったりした演出である点は特に変わっていません。挙げるとすれば、よりエンディングに近くなってきた事もあり、2期に比べると心理的に多少強めにはなっています。
 作画とアニメーションについては、2期よりもさらにレベルアップしています(作画監督に依っては例外もあります)。演出面との連携も完璧で、TVシリーズアニメとしては異常な程の出来です。恐らくTVアニメ史上でも1・2を争うと言っても過言ではないです。

 全体に、この作品は非常に凝ったものになっています。まだTVアニメ化する事が決まっていない段階で、実際にこの作品の製作に携わった人も含めたプロによって、TVアニメ用の脚本が同人誌として作成された事実もあり、当時アニメーション作家たちがそれだけの思いを込めて、本気で作った作品であると言う事が、実際に見てみると分かります。


1998/1/25  by 阿修羅      




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