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耳をすませば/徒然に感想
更新日1997年5月26日   ©阿修羅 ashura@racer.biglobe.ne.jp.ANTISPAM

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 いやぁ、雫の演技がすっごい生き生きしてるんですが、これはやっぱり気のせいではないらしい。最初の「お父さんは? 麦茶」とか、「ずいぶん低ーい」の後カーテン閉めるとことか、図書館に弁当届ける様頼まれてご飯をかき込む所とか(このシーンすごい好きなんですけど(苦笑))、弁当忘れて聖司に呼び止められて立ち止まる時とか、地球屋でのセッション後、夜道で別れてからすぐ聖司が呼び止めた時の振り向き方とか、屋上で「最初に教えたかった」と聖司に言われて驚いてびくっと震える所とか………まーとにかく顔のそれに限らず表情が絶えず変ってますね。あれだけリアルタイムに気持ちが伝わってくる演技ってのはすごいです。こう、喋ったり笑ったりしてるシーンで表情変るのは当然と言えばそうですが、何気ない仕草全てに表情が生きてる。う〜ん、素晴らしい。

1996/9/18  by 阿修羅      




 耳をすませばを見ると、何気ない街の景色をとても美しく描いてあって、だからと言って汚れ一つ無いとかそう言う事ではなく、アパートの外壁の染みとか、ラーメン屋だとか張り巡っている電線だとか、そう言う雑然とした物もディティールに拘って描かれているのですが、夏の日差しを受けて光るとか、緑の鮮やかさとか、そう言うさりげない部分をリアルにしっかりと描きこんでいるんですね。あるいは夜のビル街の、そのビルの青白く光って夜景に浮かび上がる様とか、車や電車のライトが星屑の様に見えるとか、普段なら「なんだ、いつもの」景色だと思う所を、ほんの少しのフィルターかけて、例えば香港の夜景を100万ドルの夜景と聞いていれば、なんとなく綺麗に見えてしまう様な、そう言うごくソフトで自然な演出がしてあるんです。
 当然、そんな微妙な演出は、先にも言ったとおり街の全てをリアルに生活感ある物に描かれているからこそ生きる物で、そのおかげで現実の世界もこれだけ美しいんだ、と言う説得力が生まれる訳です。
 この映画を見た後で自分の生活している周りの景色を見てみると、確かに8月には街中が真夏の太陽に真っ白に光っているし、緑の間から漏れる光はキラキラ輝いていました。空は真っ青でスカイブルーという形容がぴったりだし、暑さにうだってはいても、やっぱり夏は一番元気のいい気節です。そんな、日常見ている周りの景色を改めて見つめ直し、その良さを認識させてくれる、そんな影響力がこの映画にはあります。

1996/9/14  by 阿修羅      




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