阿修羅System for inspiration

天使のたまご ©1985

更新日1999年9月14日 
©阿修羅 ashura@racer.biglobe.ne.jp.ANTISPAM

あなたはこのページの 4011 回目の訪問者です(1999/9/14より)
あなたがこのページのデータを取り込んだのは 2024年5月15日 9時21分47秒 です



 押井守(脚本・監督)の「天使のたまご」(1985公開OVA)見ました。非常に難解ですね…。モチーフはノアの方舟の様ですが…。
 映像作品として見ると、異様にハイレベルな作品です。登場人物は少女と青年の二人だけで、それも台詞は殆どありません。1時間10分ほどの作品なのですが、映像と音楽だけで作品世界を非常に確固とした形で語りかけてきます。
 その異様で美しいイメージは衝撃的で、強烈な緊張感とイマジネーションの素晴らしさは、圧倒的です。寂莫とした孤独感が音をたてて伝わってくる様で、音楽、映像ともに芸術的な作品です。
 音楽は、悲しげで非常に繊細で美しいメロディが、やはり素晴らしいです。何度も聞きたくなります。
 これだけの先鋭的な作品を1985に作ってくる辺り、やはり押井守は流石ですね…。この作品が商業ベースで制作されたと言う点にも驚きです(最近のアニメーションの安易なこと…)。

 廃虚の街でたった一人でたまごを抱いている少女。影だけの巨大な魚が泳ぎ回る街。
 たまごを割る事で洪水が引き、少女は水に沈んだ時大人なっていました。そして少女の吐き出した吐息がたくさんのたまごになり、やがて教会は荒れ果て木に抱かれたたまごがその空にそびえる…。
 つまり少女は天使だったと言う事だと思うのですが、他の要素の意味がなかなか繋がらないです…。少女はたまごを抱く事で、本来の天使としての役割を放棄してしまっていた…と考えていいんだろうか。何人もの天使がこの世界を支え、あの廃虚に無数のビンを集めてきた…と。

 僕の知っている人では高坂希太郎(ジブリ作品の作監や原画)や貞本義行(EVAのキャラデザ)が「原画」として参加しています。音響監督の斯波重治さんはTVめぞんもやった人です。制作はスタジオディーン(後期のうる星とか)です。
 言い忘れましたが原案は押井守と天野喜孝(FFのイメージイラストの人)で、キャラデザも天野氏です。天野氏の繊細なキャラクターがこの作品に非常にマッチしています(天野氏も原案にかんでるんだから、当然か)。

1999/ 9/14  by 阿修羅

関連リンク


アニメーションのページへ

TopPageへ