“かーえーせー!” はうあうぐわぁ〜〜〜〜〜〜。
いやもう凄い凄い。メイゼルの生命と引き換えに《公館》を裏切り、すべてを捨てた仁。かつての仲間達から生命を狙われるようになり、もはやあの日常には戻れない。メイゼルを救うことだけを拠り所に、仁は、ひたすら暗い地下へと進んでいく……。と、生命を賭けた、闘いに次ぐ闘い。マジにめちゃくちゃすげぇーーーーっっっ!! 仁とメイゼルの想い。そして、きずなの哀しみ。ああもうっっ!! テロリスト・国城田と中年たちも魅せる内容で、ほんとに凄いっ、素晴らしいぃぃ〜〜〜。
そして、辿り着いたエピローグが泣かせる。うわぁ、続きはどうなるんだぁ〜!?
[ 円環少女 ]
PC98時代からゲームをやってた人間にはたまらなく懐かしい内容なのだけど、惜しむらくは、メインで扱われているメーカーに、私がフォローしてたメーカーがあまりないのよねん。当時を知ってるクリエーターへのインタビュー記事が中心なのだけど、扱われてるのは、May-Be SOFT、アイル、天津堂、BLACK PACKAGE(ディスカバリー)、STUDiO B-ROOM、PIL、フェアリーテール、PLAYM(Leaf)。当時を語るなら、アリスソフトとelfは欲しかったし、インタビューされてる人の多くはPC98時代の後半から業界に入った人が多いのも、ちと残念。
いや、少し前に書いた「PC98以前の美少女ゲーム50選」のように、私がPC98時代にフォローしていたメーカーは、カクテルソフト、ポニーテールソフト、カスタム、アリスソフト、ティアラといった辺りで、この「遊べる!!美少女ゲームクロニクル《PC98編》」が取り上げてるゲームとは、ちと傾向が違うのんな。
まあ、それはともかく、ホント当時を懐かしく思い出せる内容でした。各クリエーターによって語られる、『電撃ナース』の田所広成や、『同級生』に、ポニーテールソフトの影響。『Z's Staff』にタイルパターン、640KBの壁、そして、ゲーム内容は多種多様でなんでもありだった時代。美少女ゲームは、Windowsになってから、洗練されていった代わりに均一化して尖がった作品が淘汰されていったのだけど、やはり、あの混沌としていたPC98時代は懐かしいよなぁ。
感無量。この一言に尽きるなぁ。連載8年、全27巻。ルトヴィア、エティカヤ、ユリ・スカナの3国を舞台にした神と人間の物語もこれで完結。
ユリ・スカナによる軟禁から脱出し、エドやセーディラと合流するため南に向かうカリエは、今まさにルトヴィア侵攻を開始しようとするエティカヤの軍勢を目にする……。というわけで、凝縮して描かれる登場人物それぞれの運命。ルトヴィア侵攻の戦陣に立つバルアン。孤独の中でエティカヤに囚われたフィンルを想うネフィシカ。絶望的な戦況の中、必死に血路を開かんとするドミトリアスとグラーシカ。それを補佐するミューカレウス。疫病が蔓延し地獄と化したアマガで献身的な看病を続けるオレンディア。海上で再び激突するギアスとトルハーン。そして、イーダル、サルベーン、エディアルド、カリエ。この内容がこの一冊に凝縮されていて、もうめちゃくちゃ素晴らしすぎるっ。
それにしても、ネフィシカとバルアンは可哀想すぎるだろっ!! 特に、バルアンが酷すぎるっ。あとは、カリエ大活躍かと思ったら、ちと影が薄いよね。というよりも、美味しいところはすべてドミトリアスとグラーシカが持っていったような気がするけど。そして、ラストのエドには、多少の違和感が(^^;。とにかく、ラストは感無量です。ほんとに素晴らしいシリーズでした。
[ 流血女神伝 ]
3編+αの短編からなる外伝。「お伽噺のはじまりは」は、邵可が黒狼になる経緯を扱ったハードな話で、邵可、黎深、玖琅の紅家三兄弟の絆が暖かく、なかなか素晴らしい。他2本は微妙、少なくとも好みじゃないなー。
恋愛指南争奪戦!
宮中上げて、副賞の「恋愛指南」のかかった武術仕合を繰り広げるという話。くだらねぇ。
お伽噺のはじまりは
茶州にある秀麗を思いながら邵可は昔を思い出す。という邵可が黒狼になった昔を描いたもの。いやぁ、せつなくていいねぇ。
地獄の沙汰も君次第
黎深ツンデレ(笑)。や、黎深と百合姫との馴初めの話なのだけど、黎深ひどすぎる。相方の百合姫は、いいキャラしてるねぇ。
[ 彩雲国物語 ]
世界中で科学サイドvs魔術サイドの緊張が高まる中、当麻の前には『神の右席』左方のテッラが立ちふさがる……。と、あとがきで“色々と動き出した十四巻”とあるけどそんな感じで、「今後の展開のためにネタを仕込んでます」といった内容。特にラストの仕込みがスゲーーーっ。続きが読みてぇぇぇっ!! ……それにしても、今後に期待はさせるものの、この巻に関しては、いまいち盛り上がりに欠ける印象。インデックスの影の薄さに絶望したっ!!
[ とある魔術の禁書目録 ]
渡瀬草一郎の新シリーズは良質なファンタジー。いかにも長編シリーズの第1話といった作りは、ちょっと手堅すぎるようにも思えるのだけど、設定やキャラの見せ方は、やっぱ上手いなぁ。非常に期待できそうなシリーズです。
身分の違いに悩む二人の幼なじみ、見習い薬師・セロと貴族のお嬢様・フィノ。ある日、フィノの養父でセロの雇い主でもあるオルドバの元に、王立魔導騎士団が派遣される。王立魔導騎士団の隊長・ハルムバックは、セロの祖父が遺した魔導具に興味を示すが……。という感じで、幻の魔導具「還流の輪環」を軸に、翻弄される二人の幼なじみ、という話。いやぁ、魔導具を含めたファンタジーな世界観がきちんと作りこまれていて、なかなか魅力的。そして、キャラクタも、セロへの想いが病的なフィノがいいねぇ。まあ、この第一巻はあくまで導入なので、シリーズとしての面白さは今後次第だと思うのだけど、ホントに続きを期待させますっ!!
[ 輪環の魔導師 ]
ダメ。あとがきで言い訳を書くぐらいなら、はじめから書き直すべきだと思う。いや、あとがきで、「ミステリとして成立していない」という風なことを書いてるんだけど、マジに出来の悪いミステリといった感じ。そして、ミステリを捨ててキャラに注力したかというとそれも違っていて、キャラの描写もびみょ〜。同じくあとがきで「志乃の変化について感じて欲しい」と書いてるけど、それなら、きちんとそこに注力して描いて欲しいと思う。
そゆわけで、第二部スタート。クイズの懸賞に当たったシノシノと僕は、人里離れた館へ招待される……。という感じで、館もの。まあ、シノシノは可愛いものの、どうにも出来の悪いミステリといった風でぐんにょり。いっそ、シノシノと僕のウレシハズカシお泊り旅行を中心に仕立てた方が良かったんじゃないかなー。
[ SHI-NO ]
素晴らしいっ!! 評判が良さそうだったので買ってみたのだけど、いやぁ、良かった良かった。精緻に作りこまれた構成と設定、そして魅力的なキャラクター達。多崎礼の前作『煌夜祭』は地味な印象があったんだけど、この『〈本の姫〉は謳う』は、100%文句なく素晴らしかったです。
かつて滅んだ天使たち。その天使たちの残した邪悪な存在「文字(スペル)」。少年アンガスは、一冊の本に宿る〈本の姫〉と共に「文字(スペル)」を探して旅を続ける……。ということで、非常に良く出来たファンタジー。文字を求めて旅をするアンガスの物語とかつて滅んだ天使の一人の物語を交互に進める構成は、非常によく計算されていて、ホント素晴らしい。その天使や本、文字といった設定も、世界観ともども、よく作りこまれています。そして、誠実なアンガスと、凶暴な姫さま、お調子者のジョニーをはじめとするキャラクター達も生き生きと楽しく描かれていて、Good。あとがきによると、全四巻ということらしく、続きも今から待ち遠しいですっ!!
[ 〈本の姫〉は謳う ]
いまいち。というか、少年のウジウジ悩む話を読んで、何が面白いんだよっ!! 少年向けなら、女の子をかけ、女の子をっ!! ……恋愛モノとしても、定型的で薄っぺらい印象しか持てず、がっかりな内容でした。
渋谷ハチ公前交差点で死んだ恋人を何年も待ちつづけているイズミ。そんなイズミに恋をした新谷少年の物語。と、まあ、ファンタジー設定が入っていることを除けば、むしろ、非ライトノベルで、よくあるような恋愛ストーリー。恋愛&青春モノとしては、特徴に欠け「ありがち」という印象しかもてませんでした。いや、雰囲気重視の作品にしては、描写が弱いのが残念だよなぁ。「つきこい」と「月下少年」の中編2篇で構成されてるのだけど、その中では、ファンタジー色の強い「月下少年」の方が、まだ、楽しめた予感。
[ つきこい ]
最高傑作級っ!! くぅ〜〜、散りばめられる意味深な謎の数々でストーリーに引きつけまくりっ、そして、お約束な展開で、盛り上がる盛り上がる。もうもう、ちび君、頑張る頑張るっ。さらに、クルーエルの裸に注がれる妖しい視線と、いやぁ、ホント、ゾクゾクくるなぁ。
体調を崩すクルーエルと、断片的に見え隠れする名詠式の秘密。やがて、クルーエルを中心に物語は動き出す……。という感じで、いやぁ、意味ありげに世界の謎を散りばめつつ、キャラを追い詰めつつ、そして……、と、お約束なストーリー進行はホント素晴らしいなぁ。クルーエルとネイトの想いも非常に綺麗に描かれていて Good。あとがきによると、続く5巻で一つの区切りということで、次巻もめちゃくちゃ期待ですっ!!
[ 黄昏色の詠使い ]
綺麗だけれど、嫌な話だなぁ。好きじゃない。
かつて、専門分野での活躍を期待された人型ロボット<ピイ・シリーズ>。優秀な人型だったがゆえに、人間社会から拒絶されるようになったピイの瞳に映るのは、ありのままの人間の心だった……。という感じで、感情のない人型ロボットを通して描かれる、人間の醜さとわずかな温かさを描いた作品。ピイの設定は先日読んだ『そばかすのフィギュア(→感想)』に収録されていた「カーマイン・レッド」そのままだけど、フィーも「雨の檻」のフィーと一緒なのかしらん? 綺麗ではあるんだけど、人間の醜さを強調しメッセージ性の強い作品の方向性は、まったくもって好みじゃないんだよなぁ。がっくし。
[ プリズムの瞳 ]
郁恵と冬湖を失い、打ちひしがれた雫は、やがて周囲の励ましに触れ、そして再び立ち上がる……。素晴らしい、素晴らしい。いやぁ、雫が再び立つまでの描写は、めちゃくちゃ素晴らしいっ!! ……ただ、その後は、その盛り上った期待を、なんだかスルーされちゃったような感があって、ガックリだったりするんだけど(^^;。
シリーズ最終巻。ホント、最終巻に相応しい盛り上がり。そして、物語も、雫らしい決着の付け方で、いやぁ、良かった良かった。でもだ、しかしだ、再起後の雫は、どうにも描写が足りないと思う。あと、もうちょっとがっぷり四つの戦闘を描いて欲しかったなぁ。そういう部分で、ちと物足りないラストでした。やっぱこう、ラストの方は、もうちょっとページをかけて欲しかったなぁ。
[ クジラのソラ ]
綺羅崎ヒロは、理事長から地下教会の破壊を命じられる。地下教会へ向かうヒロとチェリースカ。そこで語られるチェリースカの正体、そして彼女の宿命とは? ……う〜ん、キャラのやり取りは悪くないけど、設定、構成ともに、やっぱ酷いなぁ。1巻の時も思ったのだけど、作り込みがぜんぜん甘くお話になってない。ダメダメ。続きはパスかなぁ。
[ 薔薇色にチェリースカ ]