おもしろい、おもしろい。ちびっ子天才魔道士・チルビィ先生は、可愛い外見とは裏腹に、無敵のパワーで、お子様らしくわがままにやりたい放題。「死神の子供」と恐れられていた。と、なんとなく、某『スレイヤーズ』を思い出しましたよ(^^;。
第6回スーパーダッシュ小説新人賞、佳作受賞作。なんといっても、お子様先生が魅力です。といっても、「ロリ」ではないし、それ以前に、「萌え」的要素もなくて、あくまで、キャラとして面白い、という意味ですが(^^;。いやぁ、軽いコメディ的なファンタジーとして、なかなか楽しい作品でした。まあ、チルビィ先生の描写はふらふらしてるし、展開的にも、いきなり王蘭が出張ってきたりと、ちょっと作品として軸がぶれてる感じがするんだけど、そこら辺は新人だということを考えれば、許容範囲かなー。
[ チルビィ先生の迷子なひび ]
素晴らしい。特に、表題の「遠まわりする雛」が、非常に綺麗で繊細な恋愛モノとして仕立ててあって素晴らしい。ていうか、古典部シリーズで、まさかこういう内容を持ってくるとは思わなかったよ。
そゆわけで、古典部シリーズ最新刊。省エネを信条とするホータローと「わたし、気になります」が決め台詞の千反田えるを中心とする青春ミステリー。今回は、雑誌連載分を纏めた連作短編。単行本では時系列通りに並んでるけれど、初出をみると、必ずしも時系列順に書かれたわけではないのんな。なんでわざわざ、そういう風にしてるんだろ?
それはともかく内容的には、謎解きメインの小話が中心なので、私的にいまいち楽しめなかった話も少なくなかったんだけど、「あきましておめでとう」「手作りチョコレート事件」「遠まわりする雛」の三編が、いやぁ、良かったっ!! 特に、「手作りチョコレート事件」→「遠まわりする雛」は、微妙な心情を綺麗に描いた、青春で恋愛な物語になっていて、ほんと面白かったです。しかし、次から微妙に書きづらいそうな気もするけど。
[ 古典部シリーズ ]
だはははははははははははははっ、はっはっはっ裸かぁ〜〜っ、もう、めちゃくちゃおもしれぇーーーーっっっ!!
『紅白祭』後編。《グレイテストオリオン》の影響で“熱血化”する生徒達。『紅白祭』も佳境に入り、“熱血化”は人知を超えてさらに激しく燃え上がるっ!! と、もう、想像を越える、先が読めない展開。そして、その展開のひとつひとつが、とにかく楽しく大笑いしまくりで、にやにやも止まらないっ。ほんと、ひたすら面白かったぁ〜〜。最終競技の棒鳥騎馬戦は、もう凄まじいとしか言えないのだけど、洋平との結末も凄いよなぁ。いやぁ、本当に、面白かったっ!!
[ 悪魔のミカタ ]
すげー、すげーよ、その展開っ!! 中央召集会議での弁論と、その後の熱い戦闘。『ウィザーズ・ブレイン』らしく、綺麗な気持ちを持った人たちの熱く泣ける話に仕上がっていて、ホントに良かったです。
先の短い自分の生命を犠牲にし、マザー・コアになろうとするアニル。そんな兄の想いを知りつつも、理想のためにマザー・コアの交換を阻止しようとするルジュナ。歴代の登場人物たちも両陣営に別れ、いよいよシティ・ニューデリーの命運が決まる。
と、そんな感じで、ほぼオールキャストが両陣営に別れて、ガチの頭脳戦に、魔法対決に、さらには艦隊戦まで。どんだけ凄い闘いですかっ!! さらに悲惨さを増した世界の中、熱く、そして悲しい話が、ほんと素晴らしいです。その中で、特に素晴らしかったのが、会議での真昼の発言と策略で、ほんとゾクゾクするよなぁ。ただ、前巻でも感じたのだけど、両陣営に別れて闘うには、かなり無理があると思うのだけど、まあ、そうしないとバトルにならないので、仕方ないかなぁ。個人的にはバトルよりも、みんな一緒になって、仲良く笑いあった姿を早く見たいという気持ちもあるんだけどなぁ。
[ ウィザーズ・ブレイン ]
うわっ、いきなりスケールが大きくなってるなぁ。そして、少年の成長物語として、非常に綺麗で良質になってますよっ!! なんといっても、ぐいぐいと読ませる展開が、めちゃくちゃ面白かったです。……でも、その分、今までの恋愛&ホームコメディ的な部分は、ほとんどどこかに行ってしまってるんですけどぉ〜。
魔法使いの最高位「ウィザード」に就任してしまった恵。その地位と影響力を実感せぬままの軽率な失言で、世界は大混乱に叩き落される……。というわけで、平均以下の中学生が、自ら引き起こしてしまった大事件に、はじめは呆然となにも出来ず、やがて立ち向かう中で成長していく、という良質な成長物語。アナもエリカも出番が減ってしまって、恋愛&ホームコメディ的な部分が弱くなってしまったのは残念だけど、これはこれで、非常に面白かったです。……しかし、ここまで恵が成長してしまうと、今まで通りにはストーリーは進められないと思うのだけど、特に、アナやエリカとの関係は、どうするつもりなんだろう。
[ 福音の少年 ]
「俺たちは全部、手に入れるぜ」 ……ヤバイ、ヤバイよ。只でさえエッチ三昧な健ちゃんが、シーナに影響を受けて、危ないことを言い出してますよ(笑)。エロエロだ、マジにエロエロすぎるぅ〜。
一年ぶりの本編新作。シーナ&バケッツも TV出演、シーナの話もいよいよ佳境、といった内容なのだけど、おおう、健ちゃんが自分を肯定しはじめていて、ビックリですよ。ストーリーも大きく動くのかしらん? それはともかく、いつも通りの雰囲気のある描写で、相変わらず素晴らしい。次巻は、とうとう日奈が、がふぅ〜〜。
[ ROOM NO.1301 ]
作者の人はブロガーなのか。こちらの人らしい。内容的には、「炎上」についてというよりも、むしろ、「サイバーカスケード」と「ハイパーリアリティ」について実例を挙げながら語るというのが中心。いつも思うのだけど、この手の新書は、タイトルと内容が一致しないことが多すぎると思う。……ちなみに、「サイバーカスケード」「ハイパーリアリティ」とは、だいたい、以下のような感じ。
つまり、「サイバーカスケード」と「ハイパーリアリティ」を上手く解決できれば、ネット上での議論はもっとハッピーになる、その解決策のひとつがまとめサイト、というのが、本著の趣旨だと思うのだけど、筆の運びが慎重で自己の主張を濁すような書き方なので、結論がわかりにくいのが気になるところ。逆に、実例を豊富に挙げて丁寧に書いてるとも言えるので、この手の新書では、わりと良心的だと思いました。ただ、私的には、もっと自己主張が激しい内容のほうが、好きなんだけどなぁ。
[ ウェブ炎上 ]
筆者は野村総合研究所主席研究員。わかりやすく説得力のある内容で、新書としてはかなり書けてる予感。なかなか面白かったです。……ただ、タイトルは内容とあってなくて、あくまで、セカンドライフを中心にメタバース(3Dウェブ仮想社会)上での、今後のビジネスモデルについて考察する、というものなのんな。
以下、メモ。
西尾維新らしくキャラクタの作りがめちゃ面白いなぁ。変でぶっ飛んだ会話も非常に楽しい。ただ、キャラクタ小説としてはすごく面白いんだけど、ストーリーはちょっと微妙な気も。
『きみとぼくの壊れた世界』の続編。といっても、世界観が同じだけで、直接な繋がりはほとんどなし。……いやぁ、妙な言葉遊びとおかしな会話が、ほんと面白いなぁ。ちと表面的すぎる気もするんだけど、こぐ姉、ろり先輩、ふや子さん、病院坂先輩と、きちんと萌えポイントを押さえた描写も素晴らしい。そして、その後の扱いも、いかにも西尾維新らしい。ただ、キャラ的には面白いんだけど、ストーリーは普通にミステリでオチも弱く、そこは、ちと物足りないよなぁん。
[ きみとぼく ]
ストーリーよりも雰囲気重視な内容で、確かに、雰囲気は素晴らしい。素晴らしいのだけど、どうにも微妙な感じが否めないんだよなぁ。
列車へ飛び込んで自殺しようと駅に向かった海幸。しかし、町唯一の鉄道は、いつの間にか廃線になっていた……。という感じで、生に倦み自殺を考える少女・海幸と、その自殺に手を貸すという若手芸術家の少女・リガヤの一夏。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』や寒天ゼリーといったアイテムの使い方が非常に上手い。ただ、雰囲気の形成を、そこに頼り切ってる部分があって、本来ベースにあるべき、海幸とチコちゃんの家族関係や、閉塞感のある田舎という生活環境の描写が弱いんだよなぁ。そこら辺の描写が厚かったら、もちっと良かったのになぁ。
そいえば、映画は疎いのでアレだったのだけど、作品内で使われている『ダンサー・イン・ザ・ダーク(→Amazon)』って、実在するのんね。
[ 幽霊列車とこんぺい糖 ]
めちゃおもしろい〜〜。女の子の一人称形式で書かれてるんだけど、その主人公・広海の語り口が、とても生き生きしていて、素晴らしいわぁ。正統派スポ根モノとしても、十分にクオリティは高く、いやぁ、良かったよぉ〜〜。
五十嵐千果は、ラクロスで日本一を目指す、嵐を呼ぶ女。ラクロス部があると聞いて聖ヴェリタス女学院に入学したものの、そのラクロス部は、部員不足ですでに消滅寸前っ!! というわけで、部員勧誘から始まり、徐々にチームを形作り、やがて一丸となって困難に立ち向かうという、友情と青春の正統派スポ根モノ。広海と千果を中心に、個性的な仲間たちも非常にキャラが立っていて、よく出来てるわ。ほんとおもしろいおもしろい。……まあ、せっかくの女子高なのに、青春&スポ根モノに終始してるのは、ちともったいない気もするけれど(^^;。
しかし、部員はまだ 8人か。1チーム12人というのは、なかなかキツイ競技を選択してるよなぁん。
[ 暴風ガールズファイト ]
おもしろいおもしろい。キャラ同士のやり取りがコミカルで楽しく、そして、ストーリーも綺麗に纏まっていてなかなか良し。……まあ、あまり動きの少ないストーリーなので、ちと物足りない部分もあるのだけど(^^;。
そゆわけで、[WIN]『Lien(→感想)』や [WIN]『このはちゃれんじ!(→感想)』のシナリオライター・荒川工の初ライトノベル作品。たまたま神さまを召喚してしまった貧乳眼鏡少女・にこと、召喚されたセクハラ美少女の神さまのまったりとしたコメディ。いやぁ、バカな会話を中心とするコミカルなノリが、やっぱ、魅力的だよなぁ。ホント、読んでておもしろい。そして、ことみようじの挿絵も良いねぇ。尖がった部分がないので、物足りない部分はあるのだけど、いやぁ、ホントにおもしろかったです。
[ にこは神様に○○される? ]
いくらレイフォンとはいえ、さすがに、そりゃ無理だろぉ〜〜〜。いや、おもしろいんだけど、やっぱり、説得力の持たせ方に疑問を感じるんだよなぁ。私的には、もうちょっと、なにがしかのシーンを追加して、描写なり説明なり伏線なりを追加した方がいいと思うんですがっ。まあ、ハイアとの戦いはさほど重要ではないので、それでもいい気はするけど。
そゆわけで、迫る都市戦っ。相手はリーリンの滞在する学園都市マイアス。都市戦はどうなる? そしてリーリンは無事再会できるのか? ついでに、サリンバン教導傭兵団のハイアにも動きが……。というわけで、レイフォンを巡るラブバトルに、いよいよリーリン本格参戦かっ!? というところなんだけど、なんだか、メイシェンの影がひたすら薄くなっているのが気になるところ。もう、リーリンvsニーナvsフェリの三つ巴で進むのかしらん。何はともあれ、いよいよ続きが楽しみですっ!! ……や、変に話を広げずに、レイフォンの周辺だけを書いてくれればいいんだけどなぁ。
[ 鋼殻のレギオス ]
最高傑作級、ううぅ、泣かせるなよ(T-T)。
『九龍の血統』に制圧された特区。ジローと別れ、シンガポールに逃げ延びたミミコは、やがて、特区奪回のための一歩を踏み出す。という内容だったのだけど、うわぁ〜、ミミコの最後の台詞とそれに到る過程がマジに素晴らしい。特区脱出時の活躍により、自身を巡る環境の変化に戸惑うミミコ。それはミミコを打ちのめし、さらに、突きつけられる『豪王』の難題が、ミミコを追い詰める。いやぁ、もうもう、ミミコを巡る描写の数々は、ホント秀逸だと思う。とにかく素晴らしかったぁ〜〜。
……ただ、ミミコに限らず、他のメンツも順調に歩みだしてるのは、ちと希望を描きすぎてる感が。シリーズ構成を考えると、特区を制圧されたばかりなんだから、まだまだ、絶望の中にいてもいいと思うんですが。<をい
20の論点それぞれについて解説したモノ。目次がそのまんま内容を端的に纏めてるので、以下、目次を抜粋。
各項目について、非常に綺麗に纏めてあって、Good。なにか気になる項目があれば、読んで損はない予感。ただ、作者がなにか持論を展開してるというより、最近のトピックスの解説といったノリが強いので、作者の主張が控えめという部分では、ちと物足りないかしらん。
[ ネット未来地図 ]
ツンデレ、ツンデレっ!! はうはうはうはう、めちゃくちゃ素晴らしいぃぃ〜〜〜。
そゆわけで、UMA好きの変人、山ノ上大地と、大地の前だけでは凶暴な地を出す普段は清楚な学園のアイドル、麻生渚との、学園ドタバタラブコメ。いやぁ、今回は、新キャラに巨乳生徒会長が登場、嫉妬しまくりの渚ということで、めちゃくちゃおもしろい。いやぁ、ほんとベタベタ。いいよね、ベタ。まったくもって、ベタなツンデレを演じる渚が素晴らしいこと、素晴らしいこと。めちゃ素晴らしい〜〜。
ただ、エピローグはどうよ? この巻で締めるならともかく、続編あり&キャラ投入のこのタイミングで、空美先輩のその設定は、ありえないと思うんだよなぁ。朱里の扱いにも感じるところなのだけど、渚のツンデレぶりが素晴らしいだけに、恋愛モノとしてはちと首を傾げざるを得ない部分があるのが、気になるんだよなぁ。多角関係的な要素ではなく、あくまで、渚のツンデレの魅力だけに頼りきった作りなのは、ちと残念。
[ 渚フォルテッシモ ]
おもしろかったぁぁぁ。主に3世紀の日本を舞台とした、歴史改変モノなのだけど、とにかくスケールの大きさが魅力で素晴らしいなぁ。各時代を織り交ぜながら、彌与とオーヴァルの二人を軸に展開するストーリー構成も素晴らしく、良かった良かった。
26世紀、謎の増殖型機会群・ETの来襲により人類は滅亡の縁に立っていた。時間遡行の技術を得、過去にまで干渉し人類を蹂躙しようとするETに対し、人類も過去へのメッセンジャーを派遣する。というわけで、一人の女を想いつつ、数多の時間枝で滅亡していく人類を見つめてきたメッセンジャー・0の寂寥感、そして、ETとの壮大で絶望的な闘い。いやぁ、歴史改変モノらしく、ほんとスケールが大きく壮大で、おもしろいおもしろい。ストーリーの根底に、せつないラブストーリーを置いてるのも好みだなぁ。いやぁ、ホントおもしろかったです。
[ 時砂の王 ]
主人公の田中春男は、ギャルゲーの神様(ゴッド)、略して、ギャルゴ。どんなギャルゲでも楽々とクリアする天才プレイヤー、……って、どんなんだよ(笑)。それにしても、ゴッドの称号を得てるにしては、年間50本って少なくね?<をい(^^;
第3回MF文庫Jライトノベル新人賞優秀賞、受賞作。うわぁ、バカだ。いい意味でバカ。おバカなノリとそれを魅せる語り口が、非常に楽しい、おもしろいっ。ギャルゲが得意な春男が、占い師だった祖母の跡を継ぎ、原因不明な都市伝説を解決する、という話で、春男と天然娘コトリとのラブコメがストーリー中心なんだけど、めちゃくちゃ楽しいノリに仕上がっていてるのよっ。なんといっても、春男やコトリをはじめ各キャラが魅力的。生き生きと個性的に描かれていって、すごくキャラが立っているのが素晴らしいなぁ。
ただ、終盤のコトリやエリアス絡みの展開は、ダメダメ。春男の決意が描きたかったんだろうけど、コトリやエリアスの想いやら各キャラの位置付けが全く生かせてないというか、まったくお話にすらなってない。もったいないなー。まあ、そこら辺は、続刊でフォローを期待、ということで。
[ ギャルゴ!!!!! ]
だははははっ、森田実って、こんな愉快な人だったのかっ。や、TVでは割と落ち着いた語り口だった記憶があるのだけど、この本はめちゃ感情的な物言いで支離滅裂。なんというか、小泉自民とマスコミに個人的な恨みがあるとしか思えねぇ。<をい(^^;
そゆわけで、政治評論家の森田実が、先の参院選で惨敗した自民党を斬る。というか、「俺は、小泉自民が嫌いだ。参院選で惨敗、ざまあ見ろ。これからは、大好きな小沢民主の時代だっ!!」という感じかしらん。正直、もうちょっと理屈の通った内容を期待してたんだけど、マジに感情的で支離滅裂。根拠が示されてないだけでなく、ロジックの組み立ても変なので、さっぱり説得力がないのよね。正直、この本からは、まったくなにも得るものがない予感。まあ、作者の人が、小泉自民とそれを継いだ安倍さんが嫌いだったことだけは、よく分かったけど(^^;。
[ 自民党の終焉 ]