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好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!! −2008年1月に読んだ本



富士見書房 Style-F
イグナシス覚醒 レジェンド・オブ・レギオスII /雨木シュウスケ

ダメだろ。いや、なんと言うか、書き込みがぜんぜん足りてない。もっと描写に厚みを持たせて、事前の仕込みや伏線もきちきち入れていくべきだと思う。どうにも、唐突感が強い上に、キャラの描写が薄っぺらいのよな。

そゆわけで、『鋼殻のレギオス』の前世譚のシリーズ2巻。前巻では、『鋼殻のレギオス』との繋がりが薄く、あえて『レギオス』の名前を冠するのは、どうかとも思ったのだけど、2巻になり、世界の謎が明らかになってくると、だんだん『鋼殻のレギオス』との関係が見えてきて、おもしろいおもしろい。確かにこれは、前世譚といっていい内容だわ。……まあ、「この世界が、どう『鋼殻のレギオス』に繋がっていくんだ?」という部分は、非常に興味を引かれて面白いんだけど、ただ、単体の作品としてみたら、ぼろぼろなんだよなー。やりたいことはわからんではないけど、絶望的に書けてないと思う。

[ 鋼殻のレギオス ][ レジェンド・オブ・レギオス ]


TYPE-MOON TYPE-MOON BOOKS
Fate/Zero Vol.4 「煉獄の炎」 /虚淵玄

最高傑作、期待に違わぬ最終巻。ライダーとウェイバーのラストは、熱く、そして感動だよなぁ。この『Fate/Zero』は、単なる過去話というだけではなく、ウェイバーの成長物語としての側面を持たせた部分が、最高に素晴らしかったのだと思う。

第四次聖杯戦争もいよいよ最終決戦へ。サーヴァントたちの限界を越えたバトル、衛宮切嗣と言峰綺礼の死力を尽くした対決、そして、あの悲劇が待ち受ける……。と、めちゃ激しいバトルの数々っ!! うわぁ、ギルガメッシュと綺礼って、ここまで強かったのかっ。スゲーーーよっ!! その熱いバトルより素晴らしいのが、紡がれる切嗣、アイリスフィール、舞弥の、それぞれの想い。交わされるライダーとウェイバーの心。そして、すべては次代に引き継がれていく……、と。悲惨な結末がわかっている話なのに、非常に綺麗に感動的に仕立ててあって、マジに素晴らしすぎるっ!! 最高の物語でした。

[ Fate/Zero ]


東京創元社
MM9 /山本弘

だはははははっ[漫画]『ウルトラマンコ /森林林檎』を思い出すよな。幾分、ロリが入ってる気もするけど(^^;。

台風や地震のように、怪獣の襲来が自然災害の一つとして存在する現代。各種怪獣の予測、分析を担当する気象庁特異生物対策部は、自衛隊とともに、怪獣災害の前線で活躍していた……。と、「現代に怪獣がいたら」という着想のもとに、SF的手法で組み立てられた作品。いやぁ、SF的にはともかく、エンターテイメントとして非常におもしろかったです。特に、最終話の「出現! 黙示録大怪獣」がひたすら爆笑。いやぁ、アレを怪獣として持って来た上で、そのオチは、もうもう、とにかく笑える、素晴らしい。ホント、めちゃくちゃ面白かったです。

ただ、SF的には、物語の根幹にかかわるので仕方ないんだけど、……人間原理はなぁ(^^;。好みの問題ではあるんだろうけど、人間原理を持ち出すくらいなら、ファンタジーに落した方がマシだと思うんだけどなぁ。

[ MM9 ]


新潮社 新潮文庫
夢の守り人 /上橋菜穂子

『精霊の守り人』の主要キャストが再登場、という点では、楽しめたけれど、いかにも、「人気が出たので、無理やり続きを書いてみました」というパターンの失敗作になってしまってるのがなー。第一巻『精霊の守り人』で綺麗に終わっているのを、第二巻『闇の守り人』は主人公・バルサの過去の因縁を持ってきて何とか対応。そして、この三巻は、大呪術師トロガイの過去ということなんだけど、もう、「トロガイの過去」を持ってきてしまう辺りからして、まるで、ネタに行き詰まったかのように場当たり的でグダグダ。追加された設定も無理があるし、ストーリーも明確な方向性がなく、まるで軸が通ってないのよな。……全10巻ということらしいのだけど、第三巻ですでにグダグダになりつつあるのに、最後まで持つんだろうか(^^;。

[ 守り人シリーズ ]


光文社
少女ノイズ /三雲岳斗

最近の三雲岳斗作品の中では、だんとつに面白い。方向性としては、三雲岳斗版の『SHI-NO』(→感想) といった印象、ロリは入ってないけど(^^;。ヒロイン・瞑が美味しく、なかなか素晴らしい萌えミステリです。

准教授・皆瀬梨夏に紹介された塾講師のバイト。少人数制個別指導を売りにするその塾で、僕は、死体のように綺麗な斎宮瞑の担当になる……。と、その斎宮瞑を探偵役とした連作短編形式の青春ミステリ。まあ、ミステリとしてはともかく、ちょっと壊れた天才美少女の瞑が、可愛いこと可愛いこと。主人公に対してわずかに見え隠れする好意が、めちゃステキ、素晴らしい。見所は、最終話の「静かな密室」の瞑の登場シーンかな。この作品の全ては、あのシーンのためにあるといって良かろう(^^;。いやほんと、素晴らしい三雲岳斗でした。

[ 少女ノイズ ]


東京創元社 創元SF文庫
グリーン・レクイエム/緑幻想 /新井素子

愛の物語。集結するところまでは面白かったのだけど、その後が説明的過ぎて、ちとびみょ〜。いや、綺麗ではあるんだけどねー。

幼い頃に出会った緑色の髪をした不思議な少女。その不思議な深い緑にあこがれ、植物学者となった信彦は、その少女と再会する……。星雲賞も受賞した新井素子の初期の名作&その続編。初読かと思ったのだけど、微妙に読み覚えがあるな(^^;。……星雲賞受賞作の『グリーン・レクイエム』は、さすがに素晴らしい。綺麗にせつなく纏まった短編で、Good。いや、「想い」のすれ違いが不幸を呼ぶさまは、せつないよねぇ。続く、『緑幻想』は、せつないままに終わってしまった『グリーン・レクイエム』を補完する意味では良かったんだけど、補完と説明だけで終わってしまった印象で、残念無念。いや、前半から中盤にかけての盛り上げ方が良かっただけに、終盤、会話メインでの説明に終始してしまったのがなー。もう少し、プラスαな要素を期待してたんだけどなー。まあ、『グリーン・レクイエム』のあのやるせなさを綺麗に修正して、気持ちの良い読後感を与えてる部分は素晴らしいのだけどさぁ。

[ グリーン・レクイエム ]


富士見書房 角川コミックス ドラゴンJr.
るーむ! ROOM RO.1301(1) /さっち

「原作から大きく改変されている」とは聞いてはいたけど、予想以上に、ぜんぜん違うーーーーーっっっ!!

[文庫]『ROOM NO.1301』のコミカライズ。いやぁ、設定やストーリーの改変はアリとして、まさか、キャラもすっかり性格がさっぱり変わっているとはっ!! ……健一と千夜子はカップルになりたての恋人同士。そこに、綾が同じクラスに転校してきて、ラブバトルが勃発する。と、アレ? 大筋では、原作と似たようなもんかしらん?<をい

とりあえず、大きな改変点は、「13階の設定は完全削除、代わりに、コメディ過多の学園ラブコメに」といったところ。新井輝的なエッセンスはさっぱりなくなり、さっち色に上塗りされている感じ。まあ、中途半端に原作を残して微妙な漫画にするよりも、ここまで別モノにしてしまった方が、むしろ、正解な気もします(^^;。ドタバタラブコメとしては、わりとオーソドックスな内容で、これはこれで、十分に面白い。「ほにゃ〜ん」な雰囲気が好きならオススメです。……それにしても、ここまでなぜここまで大きな改変をしたのか、経緯があるなら知りたいところではあるなぁん(^^;。

[ ROOM NO.1301 ][ るーむ! ]


メディアワークス 電撃文庫
とある魔術の禁書目録(15) /鎌池和馬

一方通行といい、浜面仕上といい、めちゃくちゃ熱いぃぃぃぃぃっっっ!! ……学園都市の誇るレベル5たちによるバトル、バトル、バトルっ!! 美琴を除く学園都市の序列上位が揃い踏みで、とにかく熱かったっっっ!!

学園都市の裏に潜む組織『グループ』『スクール』『ブロック』『アイテム』『メンバー』。それぞれ強力なレベル5を要する秘密組織同士の殺し合いが今、始まる。……という感じで、土御門元春、一方通行、海原光貴、結漂淡希の 4人からなる『グループ』を中心に、バトルに次ぐバトルな内容。いやぁ、一方通行と他のレベル5の闘いも凄かったけれど、やはり、光っていたのは、元スキルアウトの浜面だよなぁ。あまりに熱く美味しい役どころ。マジに熱い熱い。凄かったぁぁぁぁっ!!

ただ、バトルは熱いものの、何で学園都市の能力者同士で闘うことになったのか、そこら辺の説明が下手なので、そのため説得力があまりに弱すぎるのは、非常に残念。せっかく、これだけ熱い内容だったのに、いまいちストーリーに入り込めなかったですよ。がっくし。

……しかし、これだけ熱い内容なのに、当麻も、美琴も、インデックスも、さっぱり出てこないのは、あまりに酷い扱いだよなぁ(笑)。

[ とある魔術の禁書目録 ]


富士見書房 富士見ミステリー文庫
ROOM NO.1301 しょーとすとーりーず・ふぉー /新井輝

『ROOM NO.1301』の短編集4冊目。おもしろい/つまらないという以前に、どの短編も本編の補足説明的な要素が強いかな。エリと幽霊マンションの関係が匂わされる「私とエリさんと嫌でも目立つ自分」がなかなか興味深い。笑えたのは、メガネがクドい「私とお嬢様とメガネなお仕事」かしらん。

[ ROOM NO.1301 ]


講談社 講談社ノベルス
タカイ×タカイ /森博嗣

だはははははははっ、ひたすら大笑いっ、大爆笑っっっ!! もうもう、慌てふためく椙田がめちゃおもしれぇぇっっっ!! そして、真鍋の女友達、永田絵里子が登場してくるわけだけど、もう、登場人物の関係が、マジさいこーーーっ!! これぞ、多角関係ラブの醍醐味と言えよう。

地上15mのポールの上に掲げられた他殺死体。犯人は、なぜ、そんなところに死体を掲げたのか? と、例によって事件はどうでもよくって(^^;、ヒロインの小川令子を中心に、真鍋瞬市、椙田泰男、鷹知祐一郎と、さらに、西之園萌絵に、新キャラの永田絵里子も加えた人間関係がむちゃくちゃ面白い。いやホント、椙田と萌絵の関係は遊びすぎだろっ。そして、うーん、ああいう椙田が謎の女性を引き連れてくるシーンがあるってことは、さらに他シリーズからのキャラも引っ張ってくるのかしらん? とにかく、愉快愉快、めちゃくちゃ笑った。……しかし、ヒロインの小川令子は、他シリーズと比べても、かなり頑張ってると思うんだけど、それでも、だんだん萌絵に出番を奪われ始めてる予感が(^^;。

[ Xシリーズ ]


メディアワークス 電撃文庫
ストップ☆まりかちゃん! /菅沼誠也

テイストは『撲殺天使ドクロちゃん』(→感想)に近いかしらん? 天才・まりかちゃんと、そのまりかちゃんの発明に巻き込まれる、主人公・星くんを中心とした学園&ご家族コメディ。ネタにえげつない部分があるので、好き嫌いは分かれそうな気はするけど、まあ、ふつーに面白かったです。新人さんの作品としては、よく書けてるほうかしらん。……ただ、連作短編のせいか、ちと小さく纏まっちゃっていて、ネタのわりには、印象が弱いんだよなぁん。もうちょっとはっちゃけた内容でも良かったんじゃないかしらん?

[ ストップ☆まりかちゃん! ]


メディアワークス 電撃文庫
ブギーポップ・クエスチョン 沈黙ピラミッド /上遠野浩平

素晴らしいのだけど、物足りないなぁん。や、せっかく泣ける話なのに、結局、いつも通りの『ブギーポップ』になってるだけなのが、にんとも。どうせなら、もっと切なさを強調するような内容にしてくれればいいのにぃ。

館川睦美と小守時枝は小学生からの親友同士。そんな二人は、大学入学を目前に控えたある日、中学時代の同級生、真下幹也と再会する。三年ぶりに再会、しかし、時枝は幹也への、幹也は睦美への、秘めた想いを未だ抱いたままだった……。というわけで、三年前の事件と、せつない三角関係の話。一年半ぶりの『ブギーポップ』の新刊でしたが、いつも通りの『ブギーポップ』でした。まあ、時間軸は過去に戻っているし、織機綺は出番が少ないし、炎の魔女やイナズマはそもそも出てこないしで、内容的には、わりと地味かしらん。これはこれで悪くはないんだけど、やっぱ、久々の新刊がこれでは、ちょっと物足りないよなぁ〜。

[ ブギーポップ ]


メディアワークス 電撃文庫
護くんに番外編で祝福を!(3) /岩田洋季

短編4つ。なんといっても、絢子の子供時代を描いた「Don't You Cry」が、しんみりと切なく、秀逸。本編を補完しつつ、きちんと泣ける話に仕上げてあって、ほんと素晴らしいなぁ。あとは、エメレンツィアがメインの「最初で最後のしゅーがくりょこー」も、タイトル通り、切なく仕上げてあって、なかなか。……で、他の 2編はゴミ。<をい。や、今更、毒にも薬にもならない短いコメディを読まされてもなぁ。う〜ん、あとがきによると、しばらくは番外編として続くのか。素直に新シリーズに注力すべきだと思うんだけどなぁん。

[ 護くんに女神の祝福を! ]


早川書房 ハヤカワ文庫JA
シュレディンガーのチョコパフェ /山本弘

がふっ、騙されたっ。<をい。読んでない本かと思ったら、『まだ見ぬ冬の悲しみも』を改題しただけですとっ!! 『まだ見ぬ冬の悲しみも』なら、すぐ手の届くところにおいてあるよっ!! ああうう、金返せ、こんちくしょ〜〜〜。

そゆわけで、短編集『まだ見ぬ冬の悲しみも』を改題したもの。一応、短編1篇「七パーセントのテンムー」と、あとがき&解説が追加されてはいますが。……「七パーセントのテンムー」は、びみょー。脳と意識の問題というネタは面白いのだけど、小説としては、展開は弱く、心情描写もわりと流されてしまっていて、いまいち面白味がなかったり。げふん。

あと、解説が前島賢という人だったのだけど、うわー、若いよ、凄く若いよ、この人。オタク第三世代の人で、1956年生まれの山本弘との違いを強調するような、若さ迸る解説になってるのだけど、第二世代の私から見ても、すげージェネレーションギャップを感じてショックだったり。って、調べてみたら、“スレイヤーズが好きだった10代の僕を、どうやって肯定すればいいんですか!”の人かっ!! あぁ、今の若い人の中には、こういうオタク感の人もいるのか。10歳ちょっと違うだけのハズなのに、もう、いろいろなモノが違う……。

[ まだ見ぬ冬の悲しみも ]


富士見書房 富士見ファンタジア文庫
ザ・サードVIII 迷宮の街の忘れもの /星野亮

どうせ、主人公を変更するなら、パイフウではなくミリィにしろと。<をい。……って、うわぁ、酷すぎる。「作者の人が好きに拘って書いてるんだろうな」というのはめちゃくちゃ凄く見えるんだけど、全く商品になっていないというか、エンターテイメントとして成立させようとする意思すら見えない。こういう風に、好き勝手書きたいだけなら、同人誌でやれ、同人誌で。

そゆわけで、『ザ・サード』の久々の新作は、「死すべき神々の荒野」の後始末な話。いやぁ、作者の人が拘りあるのはわかるんだけど、今更、これを書く意味あるの? 内容自体も、無意味なところにばかり拘ってて、スゲーつまんない。まあ、『ザ・サード』も物語として行き詰まっちゃってるのはわかるんだけど、だからって、これじゃあなぁ。もはや、続きは買えないなー。

[ ザ・サード ]


富士見書房 富士見ファンタジア文庫
生徒会の一存 碧陽学園生徒会議事録1 /葵せきな

素晴らしい、素晴らしい。一冊通して、生徒会室でダベってるだけなのだけど、その会話が非常に秀逸で、楽しいのよん。いやぁ、おもしろかったぁ〜。

美少女ばかりの生徒会。その生徒会の唯一の男子は、ハーレムを目論むバカだった……。というわけで、生徒会室で繰り広げられるバカな日常を綴った連作短編。いやぁ、基本的に、ダベってるだけで進むストーリー進行が素晴らしいっ!! ほんとにもう、キャラの会話が生き生きしていて、その魅力的な会話を十二分に生かした構成になってるのよな。めちゃ素晴らしい作品でしたっ!! ……ただ、あくまで、コンセプトの勝利で、完成度は必ずしも高くないかな。ネタの入れ方は甘いし、ちょくちょくテンポがだらけることがあったり。なにはともあれ続刊でも、このノリできちんと持たせることができるのかしらん? 下手な背景は書かずに、このまま、まったりと日常を描いてくれれば良いんだけど、ちと不安だなぁん(^^;。

[ 碧陽学園生徒会議事録 ]


メディアファクトリー MF文庫J
アストロノト!2 /赤松中学

あざといっ、あざとすぎるっ!! とにかくベタなストーリー展開なのだけど、やっぱり、素晴らしいなぁ。そして、秀逸なラブコメ描写に読んでて顔がにやけまくりっ、特に前半っ!! いやぁ〜、非常におもしろかったです。

幼なじみのレンビアとの同居を目指して部屋を増築するノト。そんなノトの元に、空から、謎の少女がやってきて……。というわけで、ファンタジー世界でSF的に宇宙を目指すシリーズ第二弾。一巻と比べても、やたら描写が足りなかったり情報の提示方法が甘かったりと、どうにも説得力が弱くご都合主義的に見える部分が多かったりするのは、ちとどうかと思うけど、それはそれ。王道的なストーリー展開が素直に面白く、そしてなにより、ノト巡るラブコメ描写がとにかく楽しい、素晴らしいっ!! ツンデレなレンビアと微妙に黒いナキアミ、その二人に振り回されるノト、それらのメンツに、新キャラのラキザミを加え、漫才化したベタな人間関係が、ベタだけに面白いっ!! ……ただ、レンビアとナキアミの立ち位置は既に固定化されてしまっていているし、ラキザミの設定もいぢりづらそうだし、そして、3巻に繋げられそうなネタも弱いので、今後は、ちと不安ではあるなぁ。やはり火星を目指す展開なのかしらん。

[ アストロノト! ]


メディアファクトリー MF文庫J
魔女ルミカの赤い糸2 緋色の花嫁 /田口一

うわぁ、やっぱりエロいなぁ。眼鏡だし、ラブコメなので、こういう話はわりと好きなんだけど、ただ、どうにも作者の力量不足が目立つのが気になるところ。特に、話の組み立てや一貫性のなさは酷いので、まともにプロットを書いてるのかとか、かなり疑わしいと思ったり。……まあ、作者の人は、きっと、えっちぃシーンが書きたいだけなんだろうし、そういうシーンに関しては、不満はないんだけど。<をい

そゆわけで、主人公の琴也が、美少女の身体を舐めまくるというエロチックラブコメの第二弾。眼鏡っ娘の霜月実弥が登場。新制服のファッションショーを行うことになった琴也たちだが、制服のデザインを担当する会社は、どうにも妖しく……。という感じで、舐めたり、裸になったり、また舐めたり、たまに戦闘になったりと、エロいなぁ。まあ、舐めたりしてるシーンが全てで、他は、酷くてダメダメ。ストーリーやキャラ描写も、最低限読めるレベルになってると良かったんだけどなぁ。

[ 魔女ルミカの赤い糸 ]


集英社 スーパーダッシュ文庫
パーフェクト・ブラッド 1 彼女が持ってるボクの心臓 /赤井紅介

おお、熱い熱いっ!! オーソドックスな巻き込まれ系の超能力バトルで、とくに終盤は、盛り上がること、盛り上がること。いやぁ、非常に面白かったです。……ただ、気にしたら負けなんだろうけど、あまりに設定がチープでツッコミどころがありすぎるのはなぁ(笑)。心情描写もまともに書けてないので、小説としての出来は、ちょっと酷いと思う。

ある事件を切っ掛けに、高校生の裕樹は、美少女メイドから離れられない身体にっ!! ゴハンの時もおフロの時もピッタリくっついて過ごすウレシハズカシ生活に……。という感じの内容なのだけど、せっかくのラブコメ設定が生かせてないのは残念。いや、ゆれる想いが描けてない、というよりも心情描写がさっぱりダメなので、行動に一貫性がないようにしか見えなかったり、ラブコメとしてはかなり劣るのよ。まあ、代わりに、超能力バトルモノとしては、お約束で面白い。ツッコミどころも多かったりするのだけど、後半のジェットコースター的に目まぐるしく展開するストーリーと、力で敵を叩き潰す的な熱いバトルは、爽快で楽しい。ただ、これで終われば綺麗なのに、“1”と銘打ってるのが、すげー気になる(^^;。ツッコミどころが多い設定なのと、お約束もかなり消化してしまってる感じがするので、続編を書くのは、ちょっと辛いんじゃないかなぁ。

[ パーフェクト・ブラッド ]


早川書房 ハヤカワSFシリーズJコレクション
Boy's Surface /円城塔

だははははっ、わけわかんねぇ〜〜(笑)。電波ですよ、デンパ。まるで、作者が受信した電波を垂れ流したような内容なのだけど、それが一文一文、きちんと計算されてるようなのが、凄いといえば凄い。……それにしても、気を抜くとすぐに意味不明になるので、読んでて非常に疲れましたよ。

そゆわけで、“芥川賞候補の注目作家がおくる数理的恋愛小説集”と銘打たれた短編集。確かに、「Goldberg Invariant」を除けば、恋愛を描いているけれど、“恋愛小説”というとちょっと違和感。どちらかというと、「恋愛をテーマにした思索」といった感じかしらん。……で、収録されている 4篇のうち、いちばん面白かったのは、表題作にもなっている「Boy's Surface」。いや、なんと言っても「Boy's Surface」は、もっとも理解しやすく、比較的まっとうな恋愛小説になってるしな。ある数学者の初恋の純粋さを、変わった視点から眺めた作品。ただ、視点の妙と純粋さの描き方は面白かったけれど、「ただ、それだけ」という感じなんだよなぁ。それは、他の短編も一緒で、どうにも、切り口と表現が面白いぐらいで終わってしまってるのが、残念。まあ、そこが味なんだろうけど、もう、わざわざ再帰的でメンドイ思考で書かなくてもいいとは思うなぁ。

[ Boy's Surface ]


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