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好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!! −2009年9月に読んだ本



メディアファクトリー MF文庫J
緋弾のアリアIV 堕ちた緋弾 /赤松中学

もはや何でもありだなぁん。まさか前巻の引きがそういうオチとは(^^;。……あまりに展開が急なので読者おいてけぼりで、盛り上がるべきところでも、いまいち盛り上がらずに終了してしまった印象。インフレも激しく、もはやアリアも役立たずな娘になっちゃってる気がするのだけど、いよいよラスボス登場で、今後どうなるのかしらん?

[ 緋弾のアリア ]


幻冬舎 幻狼ファンタジアノベルス
翼の帰る処2 ―鏡の中の空― /妹尾ゆふ子

……そこは、スーリヤを含めた三角関係展開じゃないのかっ!! いや、そもそもちょっとスーリヤの出番が少ないよなぁん。

そゆわけで、意図に反して四大公家の一つ《黒狼公》にまで出世してしまったヤエトは、皇子同士の後継者争いに巻き込まれるだけでなく、やがて、世界を守る救世主としての役割を期待されるように……。という感じで、我らが中間管理職の代表選手としての立ち振る舞いを楽しみにしていたのに、あっという間に、ファンタジーの主人公らしく大きい役割を担うようになってしまい、しょぼん。もうちょっと、上司や部下に苦労する現代サラリーマン的な生き様を見せてほしかった……。いや、それ以前に、隠居を目指すのか、皇女を盛り立てていくのか、それとも、世界を救う話に進むのか、ストーリー上で目指すべき方向性も散漫になってしまっているのが、さらに残念な印象。そりゃ最終的には世界を救う話になるんだろうけど、今の段階で、世界の危機を大きく扱うのは、ストーリー構成上、ちょっと早すぎるんじゃないかしらん?

[ 翼の帰る処 ]


エンターブレイン ファミ通文庫
“文学少女”と恋する挿話集2 /野村美月

“それでも、あたしは彼にずっと恋をしていた”

……ああああああああぁぁぁ、ななせ、ななせ、ななせ、ななせ、はうぅ〜〜〜(T-T)。ななせをメインに添えるとは、なんと卑怯なっ!! とにかくとにかく切なくて、泣ける、泣ける、めちゃくちゃ泣ける。最高傑作っっっ!!

そゆわけで、文学少女シリーズの番外編は、ななせと愉快な二人組、森ちゃん&亮太の三人の視点で本編を振り返ったモノ。もう、ななせをメインに持ってきた時点で、とことん泣けて切ない物語となるのは間違いないのだけど、その切ない物語に、森ちゃんと亮太のバカ一直線な行動が、明るく楽しく上手い具合に切ないななせとの対比になっていて、素晴らしい素晴らしい、ほんとに素晴らしい。ああもう、ほんとに、ななせは可愛いな。それに対して、井上ぇぇぇぇぇっっっ!! ほんとに酷ぇ、酷すぎるっ!! なんで、ななせを選ばずに、ううぅ。ななせぇ〜〜(T-T)。

[ “文学少女”シリーズ ]


角川書店 スニーカー文庫
ヒメゴトシステム2 ご乱心スクールデイズ /神崎リン

ラブコメっ!! ラブコメっ!! 学園どたばたラブコメっ!! や、ちとラブが弱い気もするけど、いやぁ、良質なドタバタ学園ものとして仕立ててあって、おもしろいおもしろい。……ただ、そこそこぶっ飛んだ導入のわりに、やけにキャラの言動が常識的でふつーなのがなぁ。ムチャしなさすぎる。

コトコトを狙う新キャラ登場。コトコトの幼なじみの希美子が、財力を背景に、コトコトを取り戻しにやってきた……。という感じで、アレ? 城を取り戻す話はどこいった(^^;。今回は、文化祭の出し物の演劇を中心にしたドタバタで、確かに面白いんだけど、インパクトのある導入や設定に反して、学園モノとしてネタもふつーで、キャラの言動もやけに常識的な範疇に収まっているのが気になるところ。ストーリー構成も、丁寧に前振りをして回収するような保守的で予定調和な作りをしてるので、うーん、むしろインパクトのある設定や導入のほうが浮き気味なぐらいなんだよなぁ。綺麗に纏めようというスタンスも悪くはないんだけど、もっと挑戦的に羽目を外した内容にすればいいのに。

[ ヒメゴトシステム ]


早川書房 ハヤカワSFシリーズJコレクション
あなたのための物語 /長谷敏司

ワナビに面白くないのをわかった上で物語を書かせ続けるなんて、なんと惨い話だ(^^;。や、余命半年を告知されたツンデレ女性研究者が死を恐怖しボロボロに死んでいく様を描いた物語。なんとも侘しく切なすぎる……。

というわけで、『円環少女』の長谷敏司が、Jコレに登場。あ、あれ? 長谷敏司って、こんなに読みやすかったっけ?? いや、長谷敏司といえば、ロリと読みにくい文章が特徴だと思うのだけど、あの冗長に飾った説明的な文章が、SFの文脈だとすげー読みやすいことにビックリ。ロリが全く出てこないことにもビックリだけど。<をい

内容的には、余命半年を宣告された女性研究者サマンサが、直面した“死”に恐怖し、ボロボロになりながら死んでいくという、とにかく侘しい物語。拠るべきものが仕事しかなく、孤独に籠もるしかない生き様と、研究対象である人工知能《wanana be》との関係が、実も蓋もなく描かれていて、とにかく侘しく切なく、そして、凄まじい。いやぁ、圧巻圧巻。《wanana be》との別れも感動的でとても良かったけれど、……それにしても、もちょっと綺麗な話に落としても良さそうなものの、なんというラストだ(^^;。

[ あなたのための物語 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
9S<ナインエス>X true side /葉山透

新章スタート。や、そんだけの人類の危機が唐突に降って沸いたのにはビックリしたけど、『9S』らしい大風呂敷を広げた展開は、やっぱり、面白い面白い。とにかくまだまだ物語は導入部分でしかないので、今後の展開がとっても楽しみですっ!!

人類の危機はひそかにシベリアで育っていた。シベリアを襲う謎の生命体にロシア政府がADEMに協力要請を求めていた頃、真目家に戻った闘真は、クレールとともにクレールの母に会いに行く。……という感じで、前巻で海星編も終了し、新章スタート。新章といえ、いきなりまったくの新展開にビックリ、というか、話がでっか過ぎるよっ!! そして、いかにも泣けと言わんばかりのクレールの母ネタは、うわぁ、どうなるんだこれっ?! いやぁ、ホント続きが、楽しみ楽しみ、楽しみすぎるっ!!

[ 9S ]


ホビージャパン HJ文庫
じんじゃえーる! /原中三十四

ベタで王道なラブコメは好きなんだけど、……下手すぎる。新人のデビュー作品とはいえ、もうちょっと何とかならなかったのかなー。

第3回ノベルジャパン大賞佳作受賞作。新米女神の春奈が主人公・剣児の恋の応援をするうちに、剣児に恋心を抱くように……。という感じで、『きゃんバニ』を彷彿とさせるようなベタな王道ラブコメ。徹頭徹尾、予想通りにストーリが進む、あまりに捻りのない展開は、いっそ清々しいのだけど、それを支える筆力がないのがあまりにツライ。やっぱ、王道を描くには、もう少し筆力が欲しいよなぁ。驚きのない展開の上で、コレといった尖がった部分もなく、魅力のないキャラと稚拙な文章というのは、ええっと、どうしてこの作品が佳作を受賞して出版に至ったのか、正直、わけがわからない。

[ じんじゃえーる! ]


メディアファクトリー MF文庫J
桜木メルトの恋禁術 /森田季節

おもしろいおもしろい。いやぁ、その筆力には定評がある森田季節の新シリーズは、さすがに安定感ある愉快なラブコメ。ただ、突拍子のない導入に比べると、ちょっと尻すぼみな印象がなぁ。

初恋の二宮さん一筋に生きてきた主人公・金沢大和は、二宮さん以外の女性には目もくれないストイックさ故に、恋愛を悪と断ずる桜木メルトに素質ありと認知されてしまい、恋禁術の道にムリヤリ引きずりこまれる……。という感じの新シリーズ。やはり、森田季節の文章は読みやすくて上手いなぁ。コミカルな筆致が愉快なストーリーとマッチしていて、非常に楽しいラブコメに仕上がってます。ストーリーは、引きの強い導入のわりに、王道でベタなんだけど、その分、安定感があって、ぐっど。……ただ、ラブコメが主軸なわりに、二宮さんや乙女との絡みが弱くて、恋愛モノとしてはあきらかに弱いのが残念無念。二宮さんは全く恋愛には絡んでこないし、そして後半、そこは刺客を出さずに、直接乙女が絡まずしてどうするよ。……まあ、そこら辺は今後に期待。や、単巻で終わってもおかしくないラストだけど(^^;。

[ 桜木メルトの恋禁術 ]


メディアファクトリー MF文庫J
疾走れ、撃て! 3 /神野オキナ

タイトルはそういう意味だったのかっ!! や、水着祭り水着祭り。女の子盛りだくさんで、あああぁ、シリアスを期待してたシリーズだったのに、どんどんコミカル化が進んでいくぅ〜〜。……いや、ラブコメは十分以上に面白いんだけど(^^;。

海軍へ派遣された虎紅と理宇。その海軍は女の園だった……。という感じで、いやぁ、激化していく理宇を巡るラブバトルがおもしろいおもしろい、めちゃ面白いっ!! 1巻を読み終えた時点では、厳しい訓練とか死と隣り合わせの戦闘とか、かなりシリアスだと思っていたシリーズですが、いまや、そんな要素はほとんどなくなり、裸でおっぱいでラブバトルな話が中心のコミカルなシリーズになってしまってる〜。久々にシリアスな神野オキナを期待してたので、ちょっと残念な部分もあるけど、それにも増して、素直に慣れない二人のラブバトルが、もうもう、くらくらするよぉ〜〜〜。た〜ま〜ら〜な〜い〜〜〜。

ほんと、虎紅とミヅキが可愛すぎいるんだけど、それにしても、ラストのアレは、どう展開するのかしらん? いやぁ、続きが楽しみなシリーズだだだっ!!

[ 疾走れ、撃て! ]


富士見書房 富士見ファンタジア文庫
氷結鏡界のエデン 楽園幻想 /細音啓

『黄昏色の詠使い』同様、二人の綺麗な物語が素晴らしい。……のだけど、『黄昏色の詠使い』同様、無駄に設定の凝りすぎてる上、その説明が下手なのが酷い。良くも悪くも、凄く細音啓らしすぎる作品だよなぁ。

先月完結した『黄昏色の詠使い』の細音啓が、早くも新シリーズを始動。浮遊大陸オービエ・クレアを舞台に、結界の巫女・ユミィと、堕ちて属性がEvilとなってユミィと触れ合うことができなくなった少年・シェルテイスの切なさ炸裂のファンタジー。とにかく、前半の設定説明がウザイ。<をい。や、細音啓は、無駄にファンタジー設定に凝る上に、それを、必要以上に説明したがる悪い癖があると思うんだけど、それが、もう、全開なのよ。……俺は、小説を読みたいんであって、設定資料集を買ったつもりはねぇ〜〜〜。

ストーリーが動き出す後半は、細音啓らしい純粋で綺麗な物語に仕上がっていて、そこは素晴らしいんだけどなぁ。それにしても、わりとこの1巻で綺麗に纏まってるのに、今後、どうするつもりなんだろ?

[ 氷結鏡界のエデン ]


メディアファクトリー MF文庫J
三流木萌花は名担当! /田口一

はきゅ〜、最高傑作級ぅぅぅぅぅっっっ!! もうもう、萌えのわからぬ新人小説家に対して、一肌も二肌も脱いで、一生懸命、萌えレッスンする三流木萌花に、あうあう、にやにやが止まらない〜〜〜。いやぁ、めちゃくちゃ素晴らしい萌え文学界のラブコメですぅっっっ!!

「担当命令よ! 萌えでエッチなラブコメを書きなさい!」 というわけで、初心な新人小説家の少年・時任孝一が、ふとしたことで担当になったクラスメートの三流木萌花のレッスンを受けて、萌えとエッチを学びながら小説を書き進めていくという、だははははははっ、いやぁ、素晴らしい素晴らしい。恥ずかしがりながらも、身を挺してレッスンする三流木萌花、さいこぉーーーっっっ!! いや、エッチなラブコメパートだけじゃなく、後半の熱い展開も素晴らしいっ!! 『魔女ルミカの赤い糸』ではエッチシーンは素晴らしかったもののそれ以外はいまいちだった印象の田口一だけど、なかなかどうして、この『三流木萌花は名担当!』は、エッチ以外もきちんと面白いっ!!

惜しむらくは、風見さんの出番が少なすぎる件。そこは、きちんと恋愛に絡ませないと、ラブコメとしては、片手落ちだろ……。

[ 三流木萌花は名担当! ]


学習研究社 メガミ文庫
みすぷり! /SOW

新人としては良く出来た作品で、十分、賞を受けるに値する作品だと思うけど、……せっかくのこつえー賞なのに、ヒロインが男だなんて。<をい(^^;

メガミノベル大賞金賞+駒都えーじ賞受賞作。男だったハズの幼なじみが、某国のプリンセスになって戻ってきたっ!! という感じで、外見は美少女だけど男?なソアラに付き纏われるようになってしまった少年・夏河元譲のドタバタ系のラブコメ。掴みが上手く、新人にしては、かなり書き慣れた文章で、非常にそつなく面白いのだけど、うーん、逆に、新人にしては、これといって突き抜けた部分がないのが、ちと残念。全体的な作りも中途半端で、コミカルに徹するには背景が重過ぎるし、シリアスにしては皇国の設定がいい加減なのがなー。まあ、新人のデビュー作品としては、出来がいいのは確かなので、今後に期待かしらん?

[ みすぷり! ]


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