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好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!! −2009年12月に読んだ本



角川書店 ビーンズ文庫
彩雲国物語 暗き黄昏の宮 /雪乃紗衣

さすが最終章、劉輝に対する追い込みが半端ねぇ〜〜。……そして、見え隠れするラスボス。あ、あれ? そういう話なの??

任務の途中で行方不明となった秀麗。秀麗を失い、気がつけば孤立無援の劉輝に、国を滅ぼしかねない災厄が襲う……。という感じで、最終章突入。さすがラス前だけあって、いままで頑張りが足りなかった劉輝を、追い込む追い込む。秀麗はずっと成長し続けていたのだから、その相手役の劉輝も、されなりに成長させないことには、この物語も終わるに終われないからなぁ。……物語的には、もはや詰んでるとしか思えなかった前巻に比べて、ラストに向けて少しずつ光が見えはじめてる印象。でも、ほんとハッピーエンドに持っていけるのか、これ?

[ 彩雲国物語 ]


角川書店 スニーカー文庫
シュガーダーク 埋められた闇と少女 /新井円侍

書き慣れた文章としっかり構成は、さすが<大賞>という内容だけど、中途半端に陰鬱で暗い世界観は、好みじゃないなぁ。雰囲気重視はいいんだけど、もちっと、徹底して深みのある世界観を構築すればいいのに。

第14回スニーカー大賞<大賞>受賞作。冤罪で墓堀りをするだけの日々を過ごす少年は、夜の墓場で墓守りを名乗る少女メリアと出会う……。という感じで、暗く不気味な墓場を舞台にした、とにかく陰鬱な雰囲気を前面に出した作品。さすが、『ハルヒ』以来の6年ぶりの<大賞>というだけあって、作品の出来は素晴らしいのだけど、ただ、売れ筋からは遠いと思うぞ(^^;。……まあ、出来は素晴らしいけど、この陰鬱で独特の雰囲気は、とにかく好みじゃない。いや、陰鬱な雰囲気が徹底していれば、まだいいんだけど、どうにも中途半端な感が否めないのが、にんとも。こういう作品なら、救いも希望もない方がいいんじゃね?

[ シュガーダーク ]


集英社 スーパーダッシュ文庫
15×24 link one せめて明日まで、と彼女は言った /新城カズマ

この素晴らしいスピード感っ!! どんだけ目まぐるしく展開する群像劇だっ!! ……徳永少年の自殺予告メールの誤送信をはじまりに、それを止めようと動き出す人々の話なのだけど、純粋に人助けを考える人から、功名心で動く人、いろいろあって仕方なしに動く人まで、その10人を超える人々の思惑が複雑に絡み合いながら進行するも、その1人1人がきちんと書き分けられていて、非常に分りやすく読みやすく、次々と場面転換しながら描かれる、その素晴らしいスピード感。ホント素晴らしい素晴らしい。

いやぁ、あちこちで話題になっていた作品に、今更手を出してみたのだけど、噂に違わず、マジにおもしろいぃぃぃぃっっっ!!

[ 15×24 ]


集英社 スーパーダッシュ文庫
15×24 link two 大人はわかっちゃくれない /新城カズマ

まだ二巻にもかかわらず、もはやわやくちゃで収拾つかない展開になってる件。いったい、どこに向かおうとしてるんだ? この物語……。

徳永の自殺予告のチェーンメールを見て、行動を起こした10数人。ある1人が行なっていた行動により、状況は、さらに混迷を深めていくことに……。という感じで、ファブリさん参入で、もはや当初とぜんぜん違う展開になってるんですが。どーすんだ、これ? 予想を超える大きな動きに、多少、無理ある展開もあるような。徳永が携帯使い出す件とかは、ちょっとムチャだろ(^^;。……なにはともあれ、目まぐるしく状況が変わるスピード感溢れる展開が、とにかく凄い。そして、ダメ人間を地で行く左右田の行く末に目が離せませんっ!!

[ 15×24 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
ソードアート・オンライン3 フェアリィ・ダンス /川原礫

単巻としてはすっごく面白いんだけど、ここまで強引な理由を作って続編を続けるなんて、最悪だっ!! ……せっかく、綺麗なラストだったんだから、素直に、新しい物語にすればよかったのに。

現実世界に戻ってきたキリト。しかし、アスナの意識は戻らぬまま……。というわけで、綺麗に纏まっていた1巻からどう続けるんだろう? と思ってたんだけど、無理矢理すぎる継続に、これはあまりに酷いだろ。チープすぎる悪役と、無理筋で都合良すぎる理由付け。こんな強引な理屈で、あの1巻の限りなく綺麗なラストを台無しにしちゃうんだ? これだったら、素直に、主人公交代で新ゲームってことでよかったんじゃね? ……まあ、それはともかく、物語的には、新ゲームになってもキリトくんは相変わらずで、そして、妹キャラ登場と、十分以上におもしろい。マジ、キリトのモテっぷりは半端ねぇ〜。

[ ソードアート・オンライン ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
ブギーポップ・ダークリー 化け猫とめまいのスキャット /上遠野浩平

ブギーポップシリーズとしては、約2年ぶりの新刊。統和機構がらみの話は『ヴァルプルギスの後悔』のほうで進めるということかしらん? 統和機構の話は、まったく進展がなく、実質的には読みきり短編なのんな。……それにしても、フォルテッシモ、なにしに出てきたんだ(^^;。

最強のフォルテッシモvs無敵のスキャッターブレインっ!! って、フォルテッシモ、役に立ってねぇ(笑)。……基本的には、進と以緒の幼なじみを軸としたお話なんだけど、せつなさに訴えるわけでもバトルに盛り上がるわけでもなく、私的には、いまひとつ物足りない。や、ブギーポップのいつものキャラの中では、フォルテッシモがメインを張る話なのに、そのフォルテッシモが残念な活躍しかせず、まことにガッカリだっ!!

[ ブギーポップ ]


集英社 スーパーダッシュ文庫
15×24 link three 「――裏切り者!」 /新城カズマ

冒頭は衝撃的だったものの、すげーつまらなくなってきてるんですが……。当初のスピード感があるわけではなく、単に方向感を失って混沌としてるだけという印象。それぞれのキャラの動きも、作者の都合だけで動かされてるような違和感。……全6巻中の折り返し地点ということで、いちばん先行きが見えない辺りだと思うんだけど、うーん、せめて、物語をぐいぐい引っ張る牽引力は維持して欲しいなぁ。

[ 15×24 ]


アスキー・メディアワークス メディアワークス文庫
すべての愛がゆるされる島 /杉井光

おおう、ラノベというより、きちんと一般向け&大人向けっぽい題材だ。……まあ、多少いつもと違う杉井光が読めるという点では面白くはあるけれど、内容としては、かなり大人しめで、正直、可もなく不可もなく、という感じ。日本から離れた南の島を舞台とした許されざる愛の話という、題材としては、割とありがちだと思うんだけど、もちっと過激な描写にするなりしてくれないと、印象薄いよなぁ。

[ すべての愛がゆるされる島 ]


アスキー・メディアワークス メディアワークス文庫
龍盤七朝 ケルベロス 壱 /古橋秀之

重厚。なんと重く荒々しい文体とストーリー。秋山瑞人と古橋秀之のシェアワールド企画として話題になった『龍盤七朝』も、いよいよ、古橋秀之サイドのシリーズも開幕。って、『DRAGON BUSTER』(→感想)は一巻出たままそれっきりだし、古橋の新シリーズも、どうせ続きはなかなか出ないんじゃ……。

蘭国を滅ぼさんとする覇王・螺嵒と、三首四眼五臂六脚の怪物に纏わる物語。いわゆる中華ファンタジーなんだけど、敵の螺嵒をはじめとして、とにかく濃厚で重厚な描写に、ただただ圧巻。徹底的に容赦のないストーリーも素晴らしく、ラストの対決と旅立ちのくだりは、ひたすら凄いなぁ。あのキャラの立った三人が、いかにおぞましい怪物に育っていくのか、いやぁ、続きが楽しみ楽しみ。

[ 龍盤七朝 ケルベロス ]


アスキー・メディアワークス メディアワークス文庫
陰陽ノ京 月風譚 黒方の鬼 /渡瀬草一郎

一冊で綺麗に纏まった良作。構成といい、描写といい、文章といい、ほんとに巧い。そして、メディアワークス文庫でも、『陰陽ノ京』らしい雰囲気を保ったままの良い作品でした。

狙われた左大臣・藤原実頼。加茂光榮は、内密のうちに事件の解決を命じられるが……。という感じで、平安時代の京を舞台とした『陰陽ノ京』シリーズ最新刊。電撃文庫からメディアワークス文庫に移籍して、主人公は慶滋保胤から賀茂光榮へ変更になったものの、内容的にはいつも通りの『陰陽ノ京』でした。

いやぁ、とにもかくにも、散りばめた伏線を回収して次に続ける綺麗な構成がお見事。ほんとに綺麗に纏まっていて、素晴らしいなぁ。内容は、いつも通りの『陰陽ノ京』で、いや、むしろ、わかりやすい性格の光榮が主人公になったことで、物語の方向性も、すっきりはっきりして、私的には、かなり Good。そして、吉平、貴年のカップルは初々しくていいよねぇ。……一応、続編含みのラストだったのだけど、このまま、光榮メインで続くのかしらん。そうだとしたら、続きも楽しみです。

[ 陰陽ノ京 ]


アスキー・メディアワークス メディアワークス文庫
カスタム・チャイルド ―罪と罰― /壁井ユカコ

病んだキャラの陰鬱な描写が素晴らしいのは、さすが、壁井ユカコ。ただ、“遺伝子工学分野だけが極端に発達してしまった仮想現代”という設定なのだけど、その「遺伝子工学」の説明が、ちょっとツッコミどころが多く、酷すぎる。や、社会制度の設定なんかも、ムリありすぎだろ……。

1巻で打ち切りと思われていた『カスタム・チャイルド』が、メディアワークス文庫でまさかの再スタート。いやまあ、舞台を同じくしているだけで、登場人物は違っているわけだけど(^^;。と、病んだキャラと歪んだ世界観は、いかにも、壁井ユカコの真骨頂なのだけど、すみません、生物学科出身で遺伝子とか齧ってた私には、どうにも違和感ありまくりな設定で、まともに読めないわ。せめて、仮想現代じゃなく、バリバリのファンタジー世界にしてくれればいいものを……。

[ カスタム・チャイルド ]


アスキー・メディアワークス メディアワークス文庫
シアター! /有川浩

面白かったっ!! 儲けそっちのけで楽しく運営していた貧乏劇団が、有名声優の加入と300万円に膨らんだ負債をきっかけに、本物のプロ劇団を目指す……。という感じで、いやぁ、これは面白かった。嫌々言いながらも、劇団を助ける司お兄ちゃんが、萌え萌え。そして、有川浩の訴えるプロの概念が、私の考えるものと非常に近くて、めちゃくちゃ共感するわぁ〜〜。

というわけで、沢城みゆきの所属する劇団『Theatre劇団子』に触発されて書かれた作品。私も、声優さん目当てで何度か演劇を見に行ったことはあるけれど、声優ファンと演劇ファンは、かなり立ち位置が違うので、正直、人気声優をダシに劇団の売り上げるというコンセプトは、互いに不幸にしか思えず、いろいろもやもやするなぁ(^^;。……それはともかく、しっかりものの兄と、甘えん坊の弟という凸凹した兄弟を軸に展開されるストーリーが、構成もしっかりしていて、キャラも生き生きと描かれていて、面白い面白い。一方通行ばかりの多角関係恋愛模様も、Good。いやぁ、ほんと良かったわぁ〜。

[ シアター! ]


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