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好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!! −2010年1月に読んだ本



アスキー・メディアワークス メディアワークス文庫
[映]アムリタ /野崎まど

芸大生の二見遭一は、天才と評される最原最早の自主制作映画に出演することに……。という感じで、映画サークルを舞台とした青春ストーリーかと思ったら、なんという驚きの展開っ!! いやぁ、発想はおもしろいし、真相へ至る構成も巧い巧い。だけど、いまひとつ物足りなく感じるのは好みじゃないためかなぁ。青春物語としてもサイコ的な物語としても、中途半端という印象が。もっと徹底的に恐怖心を煽っても良かったんじゃないかしらん。

[ [映]アムリタ ]


アスキー・メディアワークス メディアワークス文庫
太陽のあくび /有間カオル

愛媛の農協の少年部に所属する高校生たちが、ミカンの新品種を通販で売り出そうとする話なんだけど、ローカルな雰囲気の中での、コミカルで明るい登場人物たちの空回り気味なドタバタが、NHKの連続テレビ小説みたいな作品だな。なるほど、これは、電撃文庫で出そうと思ってもつらそうで、いかにもメディアワークス文庫向けという感じ。

や、文章はこなれていて、読後感も爽やかでわりと綺麗なジョブナイルなんだけど、ただ、それぞれのイベントは発生させるだけ発生させて、その後のフォローがなく投げっぱなしだったり、ちょっと主人公たちに都合が良すぎたりする展開は、好みじゃないなー。特に、高校生側のドラマは、正直かなりいまいちだったので、テレビ通販会社の柿崎照美側を中心に描いてくれればよかったのに……。

[ 太陽のあくび ]


アスキー・メディアワークス メディアワークス文庫
探偵・花咲太郎は閃かない /入間人間

事件に巻き込まれるものの、事件を解決するわけではない探偵・花咲太郎の物語。入間人間は、デビュー作を読んで、「好みじゃないなー」とそれ以降読んでなくって、この作品が、読むの二作目だったのだけど、やっぱ、好みじゃないなー(^^;。……西尾維新を彷彿とさせる主人公の戯言メインで進む物語は、雰囲気はいいのだけど、ただ、雰囲気だけという印象。そもそも、こういうシニカルな物語は、あくまで中高生向けで、大人が読むには少々ツライと思うんだ。四章「マリオ」みたいに、そういうシニカルな要素を抑えて書いてくれると、きちんと面白いんだけどなぁ。

[ 探偵・花咲太郎は閃かない ]


小学館 ガガガ文庫
とある飛空士への恋歌3 /犬村小六

号泣。先の悲劇を暗示させつつ、死亡フラグが積み重ねられていく幸福すぎる日常と、そして、いよいよ始まる過酷な戦争。とにかく戦闘シーンが圧巻で、そして、いかにも泣かせる展開が、ただただ素晴らしい。

「聖泉」を目前として、青春を謳歌するカルエルたち。そして、いよいよ始まる「空族」との戦争は、そんなカルエルたちに学徒出陣を強いる……。と、「こいつら楽しく青春してるけど、もうすぐ死ぬんだぜ……」と言わんばかりの前半が、読んでてむちゃくちゃ心が痛い。そして、その予想すら上回る、過酷で圧巻すぎる後半。ミツオぉぉぉぉっっ!! アリーぃぃぃぃっっっ!! ……えぐえぐ(T-T)。いかにも泣かせる展開は、まさに、最高傑作っ!!

それにしても、ラストの手紙はちとビックリ。アレはアレで綺麗に纏まってるのに、混ぜるな危険ということにならないんだろうか……。

[ とある飛空士への恋歌 ]


メディアファクトリー MF文庫J
オウガにズームUP! 4 /穂史賀雅也

シリーズ完結。……いかにも打ち切りで、「無理矢理決着つけました」という、唐突で十分な描写もなく話の筋も乱暴なラストは残念無念。でも、この作者の人の作風は好きなので、次回作には期待したいところだなぁん。

[ オウガにズームUP! ]


メディアファクトリー MF文庫J
三流木萌花は名担当! 2 /田口一

だははははっ、素晴らしい素晴らしい。美少女な担当編集が身体を張って、初心な新人作家に萌え作品を書かせるシリーズ。今回は第二巻ということで、順当に、新キャラ投入なんだけど、新キャラは取次かいっ!! また、微妙なところを攻めてきたなぁ。や、お嬢様のムチャクチャな言動が笑える笑える。

って、表紙のスク水展開はどこよ?(^^;。読み終わってみると、ドタバタは楽しいものの、ちと、エロ展開が弱いかしらん。<をい。……そもそも、新キャラの華撫さんは愉快なんだけど、キャラ配置はバランスが悪いよなぁん。ヒロインの萌花をはじめ、どのキャラも、いまいちキャラが弱く役割分担も微妙で印象が薄い印象。せめて、もうちっと主人公に絡ませないと辛いんじゃね? そういう意味では、ラストの展開には期待なんだけど……。

[ 三流木萌花は名担当! ]


メディアファクトリー MF文庫J
緋弾のアリアV 序曲の終止線 /赤松中学

うひぃ〜、なんだこのムチャクチャな展開はっ!! いよいよ、イ・ウーとの最終決戦。目まぐるしく変化するジェットコースターな展開が素晴らしい素晴らしい。……でも、そのイ・ウーとの最終決戦が凄かっただけに、後半に収録されてる短編三つはテンション下がってガッカリ。読者置いてきぼり的に突き進むなら、一息つくこともなく、とことんやればいいのにぃ〜。……それにしても、ラストはまた、すげー展開だな(^^;。

[ 緋弾のアリア ]


エンターブレイン ファミ通文庫
“文学少女”見習いの、傷心。 /野村美月

心葉、殺スっ!! 死ねっ!! や、後半はともかく、前半の心葉の行動は、とにかく腹立たしい。……それにしても、人の暗黒面に焦点をあてる、相変わらず、綺麗なのに黒い話だよなぁん。

文芸部新人・菜乃をメインにした外伝第二弾。「きみが大嫌いだ」と心葉に告げられた菜乃は……。というわけで、暗黒面を抱えて病んだ人間の多すぎる中で、純粋で真っ直ぐな菜乃が眩しい一冊。一方、ななせの扱いは、ちと酷いと思う(^^;。……作品としては、非常に高レベルで安定していて、ほんと素晴らしいよなぁ。ラストの引きがあざといよっ!!

[ “文学少女”シリーズ ]


集英社 コバルト文庫
マリア様がみてる 私の巣 /今野緒雪

素晴らしい素晴らしい。いつもの主要メンバはほとんど登場しない番外編でしたが、『マリみて』の雰囲気はそのままに、むしろ、いつも以上に綺麗で暖かい短編でした。

精神的な原因で頻繁に立ち眩みを起こしていた朝倉百は、ある日、運ばれた保健室で、保険委員の筒井環と出会う……。というわけで、いつもの山百合会ではなく、一般学生の百と環の一年を綴った内容なのだけど、ほんとに綺麗で優しさの伝わる内容でした。行動的でいたずら好きな環と常識的な百の組み合わせがグッド。その二人の家族たちも、非常に優しく暖かく、ほんと読んでて気持ちが良かったっ!! そして、たまに少しだけ顔を出す本編の内容も興味深く面白くて、いやぁ、ほんと良い読みきり短編でした。

[ マリア様がみてる ]


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