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好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!! −2011年4月に読んだ本



早川書房 ハヤカワ文庫JA
青い星まで飛んでいけ /小川一水

表題作を含む六篇からなる短編集。巻末の解説によればテーマは、「未知との遭遇への憧れと探求」ということだけど、確かにそんな感じ。ファーストコンタクト的な内容が目に付き、どこかで見たようなモチーフを小川一水らしく料理した作品が多い印象。

六篇どれも面白かったけれど、中でも印象に残ったのは「占職術師の希望」と「青い星まで飛んでいけ」の二編。「占職術師の希望」は、人の天職を見抜く超能力を持つ占職術師、紺野哨平の物語。「占職術師」というと聞きなれないけど、やってることは、冴えない中年探偵と押しかけ美少女助手というミステリ風ラブコメのフォーマットを忠実に守った内容で楽しい楽しい。てか、連作短編形式でシリーズ化すべきだろ、これ。「青い星まで飛んでいけ」は、人類から“未知の探求”という使命を与えられ、人類滅亡後も知的生物との交流を求め宇宙を旅するエクスの物語。数々の挫折と自己矛盾と葛藤、そして、その時間感覚がせつなくていいよね。

[ 青い星まで飛んでいけ ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
ひがえりグラディエーター /中村恵里加

このタイトルで、このエグさ、さすが中村恵里加っ!! いや、タイトルから予想されるとおり、基本的なコンセプトは「ゲームのように異世界に召喚されてバトルに勝つとバイト料、もちろん、負けても生命の危険性もなく安全」という感じなのに、どうしてあそこまで、重くて精神的に痛い内容にできるんだ?(^^;。

普通の少年・天野蔵人は、少女・アールに誘われ、一日三時間限定で異世界での<娯楽>のために戦うことに……。と、RPGというか格闘ゲームの世界が現実に、という話なんだけど、いやぁ、普通この設定ならもっともっと軽いノリの物語になるよな。しかし、そこはさすがは中村恵里加、人を傷つける/傷つけられる覚悟をメインにした、めちゃくちゃ重くて痛い内容に仕立ててあるのよ。なんでそこまで闘いのエグい部分を強調するかな。痛い、痛すぎるっ!! や、中村恵里加らしい期待に違わぬ内容で素晴らしい素晴らしい。ぜひとも続きも期待ですっ!!

[ ひがえりグラディエーター ]


メディアファクトリー MF文庫J
お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ2 /鈴木大輔

お兄ちゃんのほうが重症だった件について(爆笑)。相変わらず、キャラの掛け合いが楽しい楽しい。特に、妹弄りのおもしろさは異常っ!! アナスタシア家庭訪問編も楽しい。なんだよ、その展開っ!! ……ストーリーらしいストーリーはなく、そもそもキャラの掛け合いだけで成立してる作品だけど、姫小路兄妹はじめ、やっぱ、キャラが楽しくていいよね。そしてしかし、次回はどうすんだ、これ(^^;。

[ お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
官能小説を書く女の子はキライですか?(3) /辰川光彦

エロコメというより、ホームコメディになりつつある件。結局、男装&性別詐称はやめちゃったか……。もともと、作者がやりたいことじゃなかったんだろうケド、作品のコンセプトをサクッと捨ててしまうのは凄いな。これはこれで悪くないけど、ただ、売りらしい売りのない、すっかり地味な作品になってしまった予感。

一応、エロは健在というか、隙あればエロシーンを挿入する旺盛なサービスは素晴らしいんだけど、ただ、ストーリーに絡めるでもないので、いまいち物足りない。まあ、軽いエロコメとしては、むしろストーリーに絡めないのもありなんだろいけどねぇ。

[ 官能小説を書く女の子はキライですか? ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
ソードアート・オンライン7 マザーズ・ロザリオ /川原礫

最・高・傑・作っ!! アスナを中心とした番外編的な内容なのだけど、うわぁ、なんという切なく感動的な物語(T-T)。特に、終盤はひたすら号泣。卑怯に泣かせる話だけど、素晴らしいっ!!

ルーキーにもかかわらず、キリトすらも倒した謎の剣豪《絶剣》。噂を聞いたアスナは《絶剣》に勝負を挑む……。という感じで、キリト無双が目立つ『ソードアート・オンライン』の中で、アスナパワーアップ編ともいえる内容。うわぁ、お涙頂戴で真っ直ぐな成長物語なのだけど、王道だけあってこれは泣ける。きちんと、アスナならではという内容になってるのがいいねぇ。……それにしても、もはや通常戦闘では、どこかしら手を抜いてるような感じのキリトだけど、どうせなら、ガチのキリトのバトルが見たかったなぁ(^^;。

[ ソードアート・オンライン ]


角川書店 スニーカー文庫
それがるうるの支配魔術 Game1:ルールズ・ルール /土屋つかさ

おもしろいおもしろい。魔術が一般的な世界で、“世界災厄の魔女”と呼ばれる水那斗るうるに付き纏われるようになった普通の男子高校生、犬海丸の物語。基本的には、『ハルヒ』リスペクト? いやぁ、無表情キャラと思いきや、小動物系キャラのヒロインるうるが可愛い可愛い。今回は、あくまで導入だけなので実際どんな作品を目指しているか、いまいちわからないのだケド、ただ、従姉妹の晶があまり絡んでこないのは、ラブコメ展開でなく、あくまでゲームというか謎解き主体でいくのかしらん? とりあえず、一癖二癖あるメンバが集まった仲良しグループで謎を解決していくというノリは十分面白く、今後に期待ですっ!!

[ それがるうるの支配魔術 ]


角川書店 スニーカー文庫
問題児たちが異世界から来るそうですよ? YES! ウサギが呼びました! /竜ノ湖太郎

めちゃくちゃおもしれぇぇぇぇぇっっっ!! いや、正直、文章は読みにくいし、説明不足だし、いろいろバランスも悪いし、小説としての出来は、お世辞にも良いとは思えないんだけど、それはそれ。熱くて痛快で勢いのあるストーリーが、すげーおもしろいっ!! いかにも新人らしい荒削りな魅力の作品で、ほんと素晴らしい素晴らしい。

桁外れな能力を持つものの性格的に問題のある三人が、異世界に召喚されて弱小コミュニティのために戦うことに……、という大よそタイトルどおりの内容。主人公たち三人が、次々と敵を倒していく展開が、とにかく熱くて痛快っ!! てか、三人の中でも、その一人の十六夜がチートすぎるほど強いのだけど、今後、どうやってバランスをとるつもりだ? ただの怪力バカかと思ったら、策士的な頭脳と、攻撃無効化能力まで併せ持つって、他の二人いらんだろ。というか、飛鳥が役に立たない娘になってる。もったいない(笑)。……とにかく、続きがすげー楽しみだだだっ!!

[ 問題児たちが異世界から来るそうですよ? ]


星海社 星海社FICTIONS
星海大戦 /元長柾木
めちゃくちゃおもしろい〜〜。人類は太陽系内に生活圏を広げ、木星陣営と土星陣営にわかれて戦争を続けている世界。木星陣営と土星陣営双方で、次代を担う英雄が台頭しつつあった……。と、太陽系の状況や宇宙での戦闘の枠組みとか、やたらとこだわった設定になっていて、そのため、まずは、1冊使って、設定の説明と人物紹介を目的としていているような感じ。あまりに説明的な文章が続くのは、さすがにどうよ?とは思うけれど、後半の戦闘シーンは圧巻で、続きが非常に楽しみ。しかし、どう見ても長編前提の構成に見えるんだけど、ちゃんと最期まで描かれるんだろうか(笑)。

[ 星海大戦 ]


富士見書房 富士見ファンタジア文庫
ニート吸血鬼、江藤さん1 /鈴木大輔

……おじゃる丸? や、裸Yシャツがトレードマークな吸血鬼少女がメインの話なのだけど、この吸血鬼の江藤さんが、女の子らしさの欠片もなく、口調や行動が NHKアニメのおじゃる丸を彷彿とさせる件。これ、江藤さんが、幼稚園児の男の子でも、ほとんど問題ないよね(^^;。

内容は、少女の姿はしているものの中身は幼稚園児な吸血鬼の江藤さんと、そんな江藤さんの世話をすることになった少年・竜之介の物語。「パンツがひとりではけません!」という設定のために中身を手間のかかる幼稚園児にしてるんだろうけど、竜之介もドキドキするわけでもないので、色気も萌えもない件。この売り方でこの内容は詐欺だろ(笑)。期待していた萌え系ラブコメ系エロコメ系の要素がほとんどねぇぇぇぇっっっ!! いや、ドタバタコメディとしてつまらなくはないけど、ここまで期待と違うとなぁ。そもそも、この売り方で、本来この手の話が好きな人に、ちゃんとリーチするんだろうか?

[ ニート吸血鬼、江藤さん ]


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