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好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!! −2011年5月に読んだ本



エンターブレイン ファミ通文庫
半熟作家と“文学少女”な編集者 /野村美月

シリーズラストなのに新キャラ視点かいっ!! と不安に思いつつ読み進めたのだけど、なんのなんの“文学少女”シリーズを締めくくるに相応しい内容でした。新キャラ視点なだけでなく、ファンサービスのための番外編のような作りで、シリーズ本編としてはほとんど変化球なのだけど、なるほど、これをラストに持ってくる野村美月は、ほんと巧いなぁ。

人気高校生作家・雀宮快斗の新しい担当編集は、清楚な美人の“文学少女”だった……。という感じで、基本は、編集者になった遠子に惚れてしまった人気高校生作家の雀宮快斗を中心としたドタバタコメディで、そのコミカルな展開が、おもしろいおもしろい。ライバル、早川緋砂とのやりとりとか、超楽しい。そしてなにより、今までの物語がハッピーエンドに繋がっていてこれからも続いていくことを示す遠子の幸せそうな雰囲気が、ほんとたまらない。ファンサービス的な要素も多く、ほんとに素晴らしい最終巻でした。

[ “文学少女”シリーズ ]


星海社 星海社FICTIONS
金の瞳と鉄の剣 /虚淵玄

いまいち。虚淵玄らしい格好良くてハードな展開を期待していたのだけど、どうにも、手堅く特徴の弱いファンタジーといった感じで物足りない。龍が実在するファンタジー世界を舞台に、戦士・タウと魔術師・キアのどこに行くのも一緒な男二人を描いた連作短編で、多少の毒はあるのだけど、とにかく、凄く普通のファンタジーなのよ。やぱし、虚淵玄らしい魅力が感じられないんだよなぁ。

[ 金の瞳と鉄の剣 ]


星海社 星海社FICTIONS
サクラコ・アトミカ /犬村小六

最高傑作級。これは、とても真っ直ぐで綺麗な恋愛ストーリー。とにかく一冊に纏まった綺麗な綺麗な綺麗な物語が秀逸。基本的にはボーイ・ミーツ・ガールの王道展開なのだけど、それでいて構成的な仕掛けもあって、マジ素晴らしいっ!!

「――サクラコの美しさが世界を滅ぼす」。世界を滅ぼす核として地上最悪の魔法使い・オルガに捕らえられたサクラコ内親王は、そこで牢番の少年・ナギと出会う……。という感じで、恋に落ちたサクラコとナギの二人が、絶望的に強大な敵・オルガから逃亡するという物語。いやぁ、オルガといい、サクラコやナギの生まれた経緯といい、なにかと歪んだ世界観の中、真っ直ぐで初心な二人の恋愛が素晴らしいね。いかにもわがまま娘なサクラコさいこーーーっ!! 基本は、恋する想いは無敵、という話なんだけど、乗り越えなければいけない敵として現れるオルガの強いこと強いこと。後半のバトル展開も手に汗握る。ホント、一冊で綺麗に纏まった内容で、すごく面白かったっ!!

[ サクラコ・アトミカ ]


メディアファクトリー MF文庫J
キャットテイル・アウトプット! /神野オキナ

神野オキナ作品ではお約束の他作品とのクロスオーバーかと思って読み進めてたら、やたら、『あそびにいくヨ!』べったりだったのでビックリ。って、完全に『あそびにいくヨ!』のスピンオフ作品なのね。なんで、イラストが放電映像じゃないんだろ? ちょっと違和感。

というわけで、東京の学校へお忍びで留学することになったキャーティアの少女、メアリーと、その護衛の少年、綴の物語。健気に頑張るメアリーが可愛く、級友たちも一癖ありそうで楽しそうだけど、1巻はいかにも序章という感じで、物語はこれからかな? 正直、物語の方向性はまだ不明な感じ。キャーティア絡みだと、そんなにシリアスに振れないと思うし、あまりラブコメに振りそうな感じもしなかったのだけど、今後、どうするつもりなんだろ?

[ キャットテイル・アウトプット! ]


角川書店 スニーカー文庫
サクラダリセット CAT, GHOST and REVOLUTION SUNDAY /河野裕

スニーカー文庫の人気作。今更ながら手を出してみたけど、さすが、評判が高いだけあって、きちんと計算して組み立てられた構成は綺麗。ただ、鬱々した登場人物たちの青春物語は、やはり好みではないかしらん(^^;。

能力者が集う街、咲良田。そんな咲良田を舞台に、能力を使って人助けをする「奉仕クラブ」に属する浅井ケイと春埼美空の物語。「能力者が集う街」と言っても異能力バトルを繰り広げるわけではなく、むしろ、春埼美空の持つ「世界をリセットしてやり直す能力」をキーにしたせつないループもの。ループものらしく、きちんと計算して組み立てられた物語は好感。ただ、どこか精神的に欠けている登場人物たちの、10代の不安定さとせつなさを全面に出したような内容で、こういう雰囲気が好きな人にはたまらないんだろうケド、私的には、この雰囲気は鬱々していて好みではないなぁ。

[ サクラダリセット ]


エンターブレイン ファミ通文庫
ココロコネクト ヒトランダム /庵田定夏

うわぁ、これは凄く面白かったっ!! よくある男女入れ替わりモノかと思ったら、入れ替わりは単なるギミックにすぎず、あくまで、10代の悩みを巧く描いた青春物語。とりあえず、主人公・八重樫太一の天然タラシぶりが凄いんですがっ!!

ファミ通文庫の人気作だけど、今更ながら読んでみました。内容は、前触れもなく文研部の五人の間でランダムに発生するようになった人格の入れ替わり。それはやがて、五人の心に潜む傷を浮き上がらせる……。という感じで、一見、よくある男女入れ替わりモノなのだけど、あくまでメインは、友情の力でトラウマを乗り越えていく、少年少女の物語。人格の入れ替わりという、本来、物語の中心になりそうなネタを、心傷を抉るための道具として使うという、その割り切った扱いが素晴らしい。個性的な五人のキャラも、魅力的にキャラが立っていて、非常に楽しい一冊でした。しかし、わりと綺麗に纏まってるのに、これ、続編出てるのかー。あ、とりあえず、<ふうせんかずら>はムカついて仕方ないので、続編では、死ぬような痛い目にあってくれないかしらん?<をい

[ ココロコネクト ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
俺の妹がこんなに可愛いわけがない(8) /伏見つかさ

うひいいぃぃぃぃ〜〜〜、とにかく読んでて、にやにやしまくり。黒猫をはじめ、桐乃といい麻奈実といい、ラブコメ全開の内容に、もう、ごろごろしまくりですよっ!! いやぁ、楽しい楽しい。眼鏡もかけるかよっ!!

「私と付き合ってください」と黒猫に告白された京介は……。と、ガチに恋愛モード突入で、なんといっても黒猫との初々しいアレコレにごろごろですよ。転がりまくりですよっ!! 波乱を巻き起こすかと思った桐乃や麻奈実の関係も、もう素晴らしい素晴らしい。なんですか、あの麻奈実の全てを見通した余裕ぶりはっ!! そして、このあと、どう展開させるのかと読み進めていったら、まさかのアノ展開っ!! なるほど、黒猫も麻奈実も桐乃も、女の子たち凄いわ。ほんとうに深く相手を想っていることが伝わるような内容で、この優しい雰囲気がたまらないわぁ〜。……それにしても、京介のシスコンぶりがマジにキモくなってるのだけど、いろいろとヤバいんじゃないか、アレは(笑)。

[ 俺の妹がこんなに可愛いわけがない ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
なれる! SE4 誰でもできる? プロジェクト管理 /夏海公司

うぎゃぁぁぁぁ!!! 仕事を忘れて楽しみたい読書タイムに、なんでWBSとかプロジェクト計画書とか、日頃仕事で慣れ親しんでる用語を見なきゃいけないんだよっ!! 顧客に呼び出され社長に怒られるくだりなんかは、自分の仕事とオーバラップしまくりで、マジ死にそうorz。そして、主人公の工兵は、次々と女性とのフラグを立てまくりで、どういう職場だ、こんちきしょうっ!! うらやましすぎるぞっ!!

というわけで、新人SE残酷物語の4巻目は、PM編。なんだか、凄く教科書的なんですけど、今までもそうでしたっけ? いや、今回は、ホント昔受けた PM研修の内容そのまま。簡単な用語説明から入って、実際のプロジェクトの適用事例をきちんとポイント押えて紹介という、PM教育の教材として持っていっても、マジに違和感ないよ、これ。逆に、冒頭のあの絶望的な状況を、教科書的な正攻法で解決できるとは思えないのだけど(^^;。相変わらず、工兵マジカル。

それにしても、橋本課長、ギャップありすぎだろっ!! そして、垣間見られる室見のプライベート。いったい、どういう……。

[ なれる! SE ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
ストライク・ザ・ブラッド1 聖者の右腕 /三雲岳斗

これはいいラブコメ。全てが予定調和というか、お約束の連続というか、期待と予想を裏切らない安心の展開。や、ラブコメに驚きの展開とか衝撃の事実とかいらんのですよ。むしろ素直すぎる展開が、ホント、おもしろいおもしろい。

というわけで、三雲岳斗の新作は、吸血鬼モノ。獅子王機関の見習い“剣巫”姫柊雪菜は、最強の吸血鬼“第四真祖”の監視を命じられ、何故か、普通の学校に通うことに……。と、修練のみで生きてきたため世間知らずの姫柊雪菜と、“第四真祖”と呼ばれるものの普通の高校生として生きて来た暁古城のボーイ・ミーツ・ガール。とにかく、世間知らずで、なにかとズレた姫柊雪菜が、非常に楽しいラブコメ。予定調和で期待を裏切らない展開がマジに楽しすぎるっ!!

……しかし、この展開だと、もちろん最終的にはヒロインは12人まで増えることになって、ということは、シリーズ終了まで 1巻1人で最低12巻か。それまできちんと打ち切りにならずに続けることが出来るんだろうか(^^;。

[ ストライク・ザ・ブラッド ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
雨の日のアイリス /松山剛

最高傑作級。哀しく残酷で、そして、暖かい話。主人公のロボット・アイリスの運命が、とにかく衝撃的だった。あざとい物語が、とにかく泣けるっ!!

“一見するとただのスクラップとしか思えないこのロボットだが、かつては人間の家で働き、主人に愛されて幸せに暮らしていた”という冒頭が全てを現しているのだけど、正面から泣かせにかかる、あざとく切ない物語。幸せに暮らしていた可愛い女の子ロボットのアイリスに待ち受ける運命が、衝撃的で凄い。凄すぎる。とてつもない絶望すぎる。やがて登場する二人のロボット、リリスやボルコフを含め、心のある存在として描写されながら、あくまでモノでしかない存在の哀しく残酷な展開が秀逸。そして、哀しい境遇のロボットたちの暖かな交流が、もう、琴線に触れまくりで泣ける。いやぁ、ほんとに綺麗でいい話でした。

[ 雨の日のアイリス ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
暴走少女と妄想少年3 変態転校生現る! /木野裕喜

イケメン転校生・クリス登場。イケメンなのに変態なクリスは、武瑠に猛烈アタックを開始する……。と、つまらなくはないけど、えっと、ヒロイン誰だったっけか?<をい(^^;。や、下ネタ大好きな新キャラのクリスは楽しいけれど、暴走少女である武瑠は、すっかり影が薄くなって、ますます特徴のない地味な作品になってるよ。終盤の展開も、ちょっと唐突。どうにも、描写も弱くて、普通にラブに寄せられても、印象弱い作品でしかないんだよなぁ。

[ 暴走少女と妄想少年 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
ランジーン×コード tale.3 禁じられた記憶 /大泉貴

おもしろいおもしろい。この三巻は、中二的な熱血異能バトル展開と恋愛要素のバランスがよく、普通に出来の良い王道ライトノベルになっている予感。相変わらず、設定先行なのに、説明不足な部分があるのは残念だけど、やぱし、王道バトル展開はいいねぇ。これは面白かったっ!!

凛子が残した「リンコノート」を記憶するコトモノの少女・森芽衣。森芽衣からのデータの引き出しを依頼されたロゴと由沙美の元に、データの引き出しを邪魔しようと殺人も厭わないコトモノが襲い掛かる……。ロゴとダリの関係、コトモノの秘密を織り交ぜながらのバトル展開が、いやぁ、ホントおもしろかった。や、いままでロゴって、正面から敵とバトってたっけ?(^^;。いままでは、基本、物理的に作用しないというコトモノの設定と戦闘能力のない主人公のため、異能バトルものとしては、かなり微妙な内容だったのだけど、今回は、わりとロゴも主人公っぽく頑張ってた予感。そして、敵がふつーにバケモノだったのがよろしい。いや、作者の人はたぶん設定にこだわりたいんだろうけど、コトモノ、ふつーの異能者にするぐらいのほうが、ぜんぜん面白いよね。

[ ランジーン×コード ]


メディアファクトリー MF文庫J
僕は友達が少ない(6) /平坂読

番外編でドラマCDの内容が載ってるのだけど、これは、通常版ではなく、ドラマCD付き特装版を買うべきだったか。なんか凄く音声で聞きたくなるような内容スグル。……それはともかく、本編。前巻の引きが引きだったので、今度こそ話が動くかと思ったら、ほんといつも通りだな(笑)。わざとなんだろうけど、毎回、最初と最後の数ページだけ話を動かすような展開を見せるものの、結局ほとんどスルーで、中身は替えないのは凄い。ほんと、小鷹モテまくりで、肉は残念すぎる。そして、今回は、わりと理科が頑張った印象。相変わらず、おもしろいっ!! そして、今回の引きは、次巻こそ新展開があるのかしらん?(^^;。

[ 僕は友達が少ない ]


メディアファクトリー MF文庫J
変態王子と笑わない猫。3 /さがら総

ちょーおもしれぇぇぇっっ!! 月子に小豆梓をはじめとして、とにかくキャラの魅力と、繰り広げられる会話のキャッチボールが素晴らしい素晴らしい。一見、ごちゃごちゃと雑然としつつも、しっかりとコントロールされたストーリーもぐっどっ!! ホント、雑然とした中での軽快な会話がめちゃさいこーーーーっっっ!!!

というわけで、3巻では、妹的キャラのエミ登場。体育祭直前の学園は、猫神のせいでめちゃくちゃに……。と、なにこのスク水祭りっ!! テンポのよい会話と展開がマジ楽しい。ほんとキャラがいいよね。特に、月子と小豆梓の二大ヒロインが、ひたすら可愛いのだけど、今回は、さらに副部長が卑怯すぎるな。なんだアレは(笑)。そして、わりと凄い展開になりつつあるけど、次回、どうなるんだこれ? とりあえず、がるがるわんこ、マジ頑張れっ!!

[ 変態王子と笑わない猫。 ]


徳間書店 トクマ・ノベルス
ハイスクール・オーラバスター・リファインド 天の聖痕 the rebellion /若木未生

おおぅ、7年ぶりでも、きちんと私が好きだったオーラバらしいオーラバになってる。素晴らしすぎる〜〜

今から20年前に「いちばん好きなライトノベルは何か?」と尋ねられたら、間違いなく候補に上げていたのが、このハイスクール・オーラバスターシリーズ。かつてはコバルト文庫の看板を張り、アニメ化もされた人気作。コバルト文庫のファンタジー化を決定付けた作品の一つで、現代東京を舞台とした異能バトルは、その後のライトノベルに大きな影響を与えた作品でもあるのだけど、2000年を回ったあたりから、刊行ペースが細って出なくなってしまったのよ。いやぁ、まだ学生時代の少ない小遣いで買ったドラマCDで、ヒロイン神原亜衣役の声優が水谷優子だったのを覚えてるけど、もう、それだけで時代を感じさせるよな。

そんなハイスクール・オーラバスターシリーズが、7年ぶりに復活。残念ながらコバルト文庫ではなく徳間書店からの刊行だけど、7年ぶりでも、きちんと在りし日のオーラバのままだ。ああ、そうだそうだ、十九郎が、まさに壊れようとしてたんだった。いよいよ、最終決戦間近という局面だったんだ。相変わらず、キャラというキャラが痛々しい、痛々しすぎる。だが、それが素晴らしいっ!! ほんとお前ら、人生、思い詰めすぎてるよなぁ。

まあ、再開の感動にむせび泣いてるわけだけど、物語的には、いわば十九郎編上中下巻の中に当たる巻なので、あくまで繋ぎ的な内容。肝心なのは十九郎編のクライマックスとなる次巻だけど、果たしてすぐに出るのだろうか。そして、十九郎編に続く最終決戦は、きちんと生きてるうちに読めるんだろうか(^^;。

[ ハイスクール・オーラバスター ]


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