まず、視野中心の光量については、シミュレーションをするまでもなく簡単に計算ができる。 例えば、双眼装置の開口から焦点位置までの光路長が120mmで開口径が28mmとすると、120/28 ≒ 4.3なので、望遠鏡のF値 (口径比=焦点距離/口径) が4.3より小さくなると、双眼装置の開口でケラレが発生することになる。 まぁ、視野中心部に関しては、ほとんどの眼視用望遠鏡で問題ないということだろう。
リレーレンズを使った場合はどうなるだろうか? 実は、私が使っている双眼装置のリレーレンズの開口径は、実測で24.5mmほどしかない。 双眼装置自体は28mmの大開口径だというのに、これでは折角の大開口径が勿体ないではないかと心配していたのだが、シミュレーションの結果をみて納得してしまった。 赤線は1.25倍のリレーレンズを開口位置に取り付けた時の光量を表しているが、見て分かるとおり、リレーレンズが無い場合と大差ないのだ。 青線は1.25倍のリレーレンズが仮に28mmの大開口だったと仮定した場合の光量を示しているのだが、それと比べても10〜15%しか差がない。 10%の違いはサイドバイサイドで比べない限り、人の目では分からないだろう。 なるほど、このリレーレンズの設計は、そういう意味だったのか…
ちなみに図の右端の方までプロットしてある赤い曲線は、シミュレーションのモデルにした35cm F4.6のドブソニアン望遠鏡に、主鏡と斜鏡の間を90mm短縮する改造 (1.25倍リレーレンズを装着した双眼装置で合焦させることを想定した鏡筒短縮改造) と、斜鏡短径を90mmに拡大する改造を施し、80mm長の2インチ延長筒を装着した場合の光量を簡易シミュレーションした結果だ。 ただし、私の予想も入っているので実際とは異なるかもしれない。 比較の為に、無改造の場合の光量も黒線で示してある (斜鏡の大きさの違いによる中央遮蔽の違いは無視している)。 もしこの結果の通りなら、鏡筒短縮と斜鏡90mm化の改造を施せば、双眼装置を付けて双眼視を楽しむことができて、80mm延長筒を介せば2インチアイピースで普通に単眼視でも使えるという魅力的なシステムが組めそうである。 ただし、この結果はあくまでも双眼装置に1.25倍のリレーレンズを付けることが前提である。
この話には結論らしい結論はないのだが、まぁ強いて挙げるなら、大開口径28mmの双眼装置は制約があるものの、色々と使い出がありそうというところだろうか。