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★" Star Watching   −瞳のお話−

 

pupil


人の目には瞳がある。 平均的な人の瞳は暗いところで約7mmまで開くことが知られている。 一方、双眼鏡や望遠鏡も瞳を持っている。しかも光の入口と出口それぞれにあり、入射瞳と射出瞳と呼ばれる。 これら3つの瞳が、人間の脳と宇宙の星々の輝きを結ぶインターフェースだ。 星見をしたり星見用の機材を調べていると、あちこちで『瞳』が顔をだす。 また、瞳を通した人の認識というものが、何とも面白くて奥が深いものだと気づかされる。 私自身の頭の整理と備忘録を兼ねて、興味深いと思ったことを紹介してみたい。


極限等級


極限等級について調べてみると、しばしば『望遠鏡で見ることのできる最も暗い星の等級』といった記述を見つける。 しかしこれは誤りである。 望遠鏡では極限等級よりも暗い星まで見ることができる。 望遠鏡で見ることができる限界を、ここでは極限等級と区別して『限界等級』と呼ぶことにしよう。 そもそもこの限界は何で決まっているのだろうか? 都会では明るい星しか見えないが、田舎に行くと暗い星まで見えるようになる。 つまり、限界等級とは星の明るさだけではなく、背景の空の明るさとの兼ね合いで決まるものだ。 これを真面目に扱うと、とても意外な結論にたどりつく。


両眼視と極限等級


人は普段から両目で物を見ており、両目で見ることに最適化されている。 実際、視力検査をしてみれば両眼視力の方が片眼視力より高いのが普通だ。 ところが、望遠鏡の光の出口は一つしかない。 双眼装置は望遠鏡から出てくる光束を2つに分割し、両目に星の光を導いてくれる装置だ。 まさに望遠鏡と人を繋ぐインターフェースである。 しかし、双眼装置は1つの像を2つに分割するので、片目に入る光量は元の半分になってしまう。 光量が半分になるくらいなら、インターフェースを無視してでも単眼で見た方が良いのだろうか? しばしば議論される問題だが、これを真面目に扱うと、とても意外な結論にたどりつく。


双眼装置の開口径


双眼装置は望遠鏡と人を繋ぐ素晴らしいインターフェースであるが、プリズム (ビームスプリッター) の大きさに起因する様々な制約がある。 例えば、市販されている1.25インチアイピース用の双眼装置の光の入口の径 (開口径)は、大きくても28mmしかない。 この開口径の制限が、視野周辺の光量にどのような影響を及ぼすのか、簡単なシミュレーションをしてみた。


RFT (リッチェスト・フィールド望遠鏡) の条件


RFT (Richest Field Telescope) とは、平たく言うと『星が一番いっぱい見える望遠鏡』である。 もう少し正確に言うと、視野内の星密度が最も高くなるような (あるいは視野内に見える星の数が最も多くなるような) 口径と倍率を備えた望遠鏡のことである。 いったい、どのような条件のときに最大となるのだろうか? また、その条件はどの程度のずれまで許容できるのだろうか? RFTについて再考し、RFTであるための条件をはっきりさせよう。


瞳を測る


人の目には瞳がある。 一方、双眼鏡や望遠鏡も瞳を持っている。 しかも光の入口と出口それぞれにあり、入射瞳と射出瞳と呼ばれる。 これら3つの瞳の大きさを測ってみよう。


つづく


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by Satoshi ISHIZAKA