ご挨拶 ...................................................
はじめに ..................................................
第一章 自然材散布(液)
○焼酎、食酢、木酢を原料とする散布剤
○木酢液
○クエン酸
○最強のタバコニコチンを原料とする殺虫剤
○トウガラシを原料とする散布剤
○オリーブオイルを原料とする散布剤 (サラダオイルでも可)
○岩塩を原料とする散布剤
○ハチミツを原料とする散布剤
○重曹を原料とする散布剤
○ドライイーストを原料とする散布剤
○食酢(お薦めはなるべく化学的な物を含んでいない米酢)
○散布用の石灰水の作り方
○草木灰を原料とする散布剤
○牛乳を原料とする散布剤
○スギナを原料とする散布剤
○納豆を原料とした散布剤
○日本ばら園特製の自然材散布剤
Rose Guard K
Rose
Guard M
○上記の散布剤全ての散布方法・回数・時期
散布方法
回数と時期
○意外とよく効く殺虫、殺菌例外編
バラぼかし
第二章
暖地・雪国共通の植え付けまでの作業および注意事項
1土作り―土作りはバラ栽培の基礎です―
○理想の鉢栽培の培養土
○理想の露地栽培の培養土
*30cm〜50cmの高畝作り
*平畝作り
○多湿地土壌
○庭土のpHの問題
○栽培地に石がゴロゴロ
○業者のバラ栽培地は5年の休耕
○土作りが面倒な方のバラ栽培(お勧めはしませんが可能です)
2バラの益虫(鳥)と害虫(鳥)
○益虫(鳥)…………………………………………………...
○害虫(鳥)……………………………………………………
3バラの系統
○ハイブリッドティーHybrid Tea ...................
○フロリバンダFloribunda .........................
○グランディフロラGrandiflora ………………………….
○ミニチュアローズMiniature Rose …………………….
○パティオPatio Rose ……………………………………….
○クライミングローズClimbing(Climber)Rose
○シュラブローズShrub Rose
○オールドローズOld Rose
○グランドカヴァーGround Cover
4植える場所
○最適地
○常に風が吹く栽培地
5苗、品種の選び方
○苗とは
○植えてほしい苗
○避けてほしい苗
○品種の選定
6バラの植え付け方
○露地栽培の場合
○鉢栽培の場合
第三章
暖地・雪国共通の植え付け後の作業および注意事項
1灌水
○液肥について
○鉢栽培の灌水
2剪定―詳細は「ばら栽培管理」の本をご覧ください―
○HT種の場合
○FL、Mini種の場合
○CL種、良く伸びるSh種ツル性原種の場合
3施肥―バラの施肥管理は栽培管理の中で最も重要な作業の一つです―
○肥料
4その他の作業およびバラの楽しみ方
○中耕
○除草
○スタンダード、ウィーピング作り
第四章 Companion Plantsについて
第五章 暖地の栽培管理(5月に1番花が咲く地域)
○1月〜5月までの作業
○6月〜8月までの作業
○9月〜12月までの作業
第六章 雪国の栽培管理(6月に1番花が咲く地域)
雪国の管理カレンダー
○1月、2月
○3月
○4月
○5月
○6月
○7月
○8月
○9月
○10月
○11月
○12月
*施肥カレンダー*
*園主がお答えするQ&Aコーナー*
あとがき
バラ栽培のタブー(行ってはダメな事!!)
植え込み時の浅植え、無剪定、無肥料、無農薬の栽培、また、培養土として新植時、冬季の移植時に堆肥、ピートモスを使用しない土に植え込む。
露地栽培で毎日の水遣り。
鉢栽培で赤玉土、鹿沼土、赤玉土+鹿沼土を混ぜたものを培養土として使用する。 毎年培養土を植え替える。
ご挨拶:
1973年私(現園主)はRSKバラ園のバラ園設計、植樹、管理をしておりました。その当時はバラ等の管理(消毒、施肥など)には、化学農薬、化学肥料の使用が万能の時代でした。具体的には有機水銀殺菌剤(商品名:ウスプルン錠剤)やDDT乳剤、BHC乳剤が使用されておりました。ご存知の様に有機水銀は水俣病の原因の一つとなったもの。また、DDT、BHCは後々には発ガン性物質を含んでいることがわかり、これらはいずれも現在は製造,販売中止となっています。しかし、当時は何の疑いも無く、殺虫殺菌には抜群の効果を発揮するものとして世界中で販売、使用され、農協や農業改良指導センター等でも使用を推進しておりました。
私もRSKバラ園の農薬散布にはこれらのものを使用しておりました。週1回の消毒で2000リットルを超える量の化学農薬を、時に風向きによっては頭からつま先まで体中全身に浴びるような農薬散布です。まるで、自分がバラの株の如くびしょ濡れになりながらの作業でした。当然雨などが降れば再度2000リットルを超える量をまた散布します。 きっと、ほとんどの皆さんは一生涯で2000リットルもの農薬を撒くことは無いでしょうね。しかし、私は1回の散布で皆さんの一生涯分以上の農薬を撒いていたのです。
確かにこれらの化学農薬はよく効きました。しかし、そのうちに虫に抗体が出来てしまい、より強力なものをより多く撒かなくてはならなくなるというイタチごっこでもありました。 いくら農協や指導センターが推進しているからとはいえ、私の頭の中に「こんなに大量の化学農薬を使って本当に大丈夫なのかな、、、?」という疑問や不安が浮かんできたのも事実でした。 案の定当時の健康診断では肝臓の値は常に高く要注意の結果が出ていました。しかし、医者から「クスリを飲め」とか「仕事を控えるように」とかの指示を得る事は一切ありません。心の奥では「しかし、このまま続けるとヤバイな!(死ぬな!)」と、化学農薬への恐怖心を抱きながら農薬散布を続行する日々でした。 そんな命がけのような仕事を続けている状況の中、世間では水俣病問題や有吉佐和子の「複合汚染」がマスコミに取り上げられるようになり、これまで抱いていた「なんとなく」の不安や恐怖が現実のものとなっていったのでした。
健康で安心してバラ栽培を行うことに関心を持った私は、どうにかして無農薬で栽培管理が出来ないものか!と模索し、関連の本を読み漁ったり、実際に完全無農薬の管理を試みたりもしました。しかし、完全無農薬でのバラ栽培は無理でした。が、化学農薬をこのまま同じ様に使用していくことには強い抵抗がありました。 しからば、この化学農薬を「体に害を及ぼさない安全な材料」に置き換えて病虫害が防げないものかと思いを巡らし、関連の文献を読んだり近所の農業指導センターを退職された方に話を聞いたりしました。すると、ある方に「もう、私は数十年来、木酢と煎じ汁で防いでいる。」と言われました。その効果のほどを聞くにつれ、昔から伝承されている木酢の魅力に取付かれ、化学農薬一辺倒だった私が、自然材散布への道へと進むようになったのでした。現在、我々の温室での消毒の基本は自然材散布です。しかしながら、これだけではどうしても防げない場合がありますので、化学農薬も併用しております。しかし、RSKバラ園で使用していた化学農薬の量に比べると、ほとんど散布していないのと同じくらい極々微量なものになります。年間40リットル程度でしょうか?!
時代の流れの中で環境問題や健康への意識が高まる今日、お客様も化学農薬の使用には非常に敏感になっておられます。ご自身の、またお隣近所の方の健康にとっても、人畜に害の無いバラ栽培を望まれる声を沢山頂戴いたします。 この本が楽しく元気にバラ作りをしていただくための一つの契機になれば嬉しいです。
日本ばら園
高取 美穂(♂)
はじめに
まず皆様にお断りをしておきます。バラの品種の中でも、5,6品種のものは、確かに無農薬で栽培が可能です。が、しかし、園芸種として栽培されているバラのほとんどは無農薬、無肥料では良い花を咲かせることは出来ません。 巷では数多くの本にCompanion Plants(成長を助ける植物)が話題になっており、我々もテストを行いましたところ面白い結果が出ましたので後述しました。たとえ農薬を使用したとしても、趣味としてバラを栽培しよう!と思っていらっしゃる方が、一片の虫食いも無い、病気にもかかっていない花屋さんで販売されている「農薬漬けのバラ」のようなバラを育てることは不可能に近いです。もし、そのようなバラを望まれるのであれば、膨大な量の農薬散布と温室という設備が必要です。以下ご紹介するのは身近なものを使用してご家庭で作る事の出来る自然材散布液を主として利用する減農薬バラ栽培です。
ここで我々がお勧めしている減農薬栽培について触れておきます。
バラも病気にかかる時期というものがあり、一年中ウドン粉病や黒点病が発生するわけではありません。虫の発生も同様です。冬季になれば虫の発生も見られなくなります。四六時中農薬を撒き続けるのでは無く、これらが発生する時期の直前に殺菌剤、殺虫剤を撒くことにより、農薬散布の回数を減らすことができるのです。このことを減農薬栽培といいます。
この減農薬栽培で使用する農薬を化学農薬から自然材散布に置き換える事により自身の健康を害さず、周りの方にも悪い影響を及ぼさない、環境に優しいバラ栽培が可能となります。しかし、化学農薬の方が楽に栽培管理ができる場合もあります。例えばアブラムシにはオルトラン粒剤、ベストガード粒剤。コガネムシの幼虫(芋虫)にはカルホス粒剤、ダイアジノン粒剤等です。オルトラン粒剤は土の中に埋めて使用することにより成分が水に溶け、その成分をバラが吸収して2〜3ヶ月間殺虫効果が持続し、殺虫と防虫が可能になります。また、ダイアジノン粒剤は土の上に撒くことにより、株全体に行き渡り殺虫と防虫の効果があります。ご使用にあたっては袋に書かれてある使用方法に沿って下さい。病気に対しては残念ながら、このように土に埋めて使用する粒剤で、効果が持続できるような楽が出来る化学農薬はありません。
減農薬バラ栽培において最も大事なことは基本となる土づくりです。 これはバラが本来持っている自然の治癒力を最大限に生かし、引き出してやるために欠かすことの出来ない作業です。
この本は、まずは土壌作りをしっかりと行い、根を元気にして補助的に自然材散布を使用し、主として堆肥、ピートモス、チャコール(炭)、ボカシを与え、生育途中で不足する成分を有機肥料を主体に化学肥料で補うという施肥管理を軸とした我々の実践、経験に基づいた減農薬栽培法の本です。
また、店頭に並んでいるバラ栽培書においては記載の少ない雪国のバラ栽培管理を記述しました。これは岡山県北部の蒜山高原農場(冬季積雪2.5m、最低温度マイナス17℃)に於いて約10年に渡りバラ栽培を行った実績を基にしています。暖地での栽培経験しか持ち合わせていなかった私にとって、この雪国蒜山での栽培管理は日々試行錯誤、七転八倒の連続でした。積雪、強風、低温、季節の移り変わり、全てが敵となり私の前に立ちはだかりました。が、失敗を繰り返しながら、雪国では全く育たないバラが有る事や、暖地との肥料管理等の違いなどが少しづづ解るようになり、今こうして雪国で栽培されている皆様に管理法をお知らせできるまでに至りました。 前述しましたが、書店の本はほとんどが暖地での栽培管理を基本にしています。北海道や、東北地方等のお客様からも、その点に関してのご不満をよく頂戴しておりました。
私の約10年というほんの短い期間のデータではありますが、雪国にお住まいの栽培者の参考になれば幸いです。
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