3/21-23
ペンシルバニア旅行記

全米で25位以内に入るという5つ星レストランで食事した。 フォーシーズンズ・ホテル内「The Fountain」。行き交う人々はタキシードやイヴニング。私は多分一生分不相応。
料理の種類はインターナショナルということになっている。なるほどメニューには中華も。料理の雰囲気、盛り付けはフレンチ風。
兎とアヒルを食べる。うさぎは完全に和食。私がお弁当に作りそうな巻き物で(出来が違うが)、日本だと鳥のささみを使うところでしょう。あひるは鴨味。切り身をぐるりと並べた下から色々な部位が。まず肝臓(多分)。フォアグラよりあっさりして歯ごたえがからすみ風でしっかりしている。続いてビーフシチューの中の牛のような柔らかい部分。おそらくアラを集めたようなもの。続いて卵味の多分卵になる前の部位。最後にほとんど脂身。おいしいにはおいしいがこれが最後に来るのは苦しい。アヒルを全身食べた気分で満足。満腹(あひるは2人でシェアしても充分なアメリカン・サイズ)。楽しかったがまともな夕食一食分位のチップを払った。一度に食べた最高額記録更新かも。
そんな超高級レストランでもところはアメリカなので、従業員はフレンドリー。デザートさえも入る場所がないので諦めたら、コーヒーと一緒にチョコレートとゼリーを出してくれるなど親切。通りかかった誰もが何でもする(ソムリエが皿を下げてくれたりも)珍しいが気持ちいい接客。新婚旅行なんかで奮発するといい思い出になるんじゃないでしょうか。

映画「レインマン」を見た。TVをつけたらトム・クルーズがポロシャツの第一ボタンをはめてたというだけでわかった私はすごい。別にファンとかではない。そういえば先日ゴールデン・グローブ賞の「一生活躍賞」だかをトム・クルーズがダスティン・ホフマンにあげていた。

フィラデルフィアは一瞬合衆国首都になったこともある移民初期からの古い街。東部の古い街はボストン、ニュー・ヘイヴンなど共通した雰囲気がある。ニュー・ヘイヴンよりずっとかっこいい。ボストンよりも都会。小さなニューヨーク・シティといった感じ。うるさくて汚い。ボストンと同じく徒歩名所観光コースを巡る。アメリカ建国にまつわる史跡がそこかしこに。一応 Liberty Bell など名物を押さえたが特に感慨はなし。アメリカ人じゃないもの。

ロッキーが正面階段を駆け上がったことで有名なフィラデルフィア美術館。 ゴッホ、ルノアールなども平気で裸で掛けてあるが、ニューヨークのメトロポリタン、ボストン美術館で慣れてしまった。これらの都市にいればゴッホに3時間待ち行列の日本とは違う美術感覚が育つことだろう。クラシック・コンサートにしても「高級品」扱いになった時点で鑑賞眼は歪んでしまう。
フランスの教会まるごと展示、日本の寺まるごと展示なども(買ったらしい)。思わず拝む。メトロポリタン、ボストンでも思ったが日本に関する正しい理解を感じさせる展示だった。これ程の大美術館なら当然か。どうしても日本コーナーの客の入りが気になってしまうのだが、どこでもわりと空いています;_;

ペンシルバニア・ダッチを見た。珍獣ではない。「目撃者ジョン・ブック」で有名になったアーミッシュのこと。聖書の教義に忠実であるために、自給自足を基本とする18世紀移民当時のままの生活をしている人々。ご先祖はドイツ移民と思ったがなぜ Dutch?200年前には同時代の人々とさほど変わらない生活だったはずだが、一体いつ誰が変化しないことを決めたのか?外から行ってアーミッシュになったりアーミッシュが外へ出たりしてもいいらしい。日本人がなれるとは思わないけどなあ。

アーミッシュ村があるランカスターのモーテルに着いてTVをつけたらポール・ニューマンがゆで卵を100個食っていた。何だこれは?こんなしょぼい映画にも出ていたとは。

ファミリースタイルの夕べ ファミリー・スタイル・ディナーを経験しました。 ファミレスの連想からカジュアルなレストランでしょと思って行ったら大間違い。かつての大家族時代の大テーブルの雰囲気を味わうために、大皿を人々の間で回しつつ、歓談を楽しむスタイルだったのだ。席に案内された途端 "Where are you from?" と聞かれ、意味はわかっても意図がわからず聞き返してしまった。単に混んでるから相席だと思っていたが、テーブル10人一通り同じ質問されたところで状況を理解。
駄目だー!日本語でだって私はこれが苦手なのだ。法事とか。合コンとか。一言二言しゃべってもう後が続かない。間がもたなくてひたすら食べ続けてしまいました。性格違ってたら「アーミッシュ料理は普通のアメリカ料理とどの程度違うのか」とか「これらは甘すぎないか」とか皆さんの土地の話とか聞いて実り多い夕べになっていたことでしょう。
料理はそういうわけで全てが甘い。今まで食べたものの中で一番似ていたのがボストン・マーケット(ファーストフードとダイナーの中間位の店)。素朴な「アメリカ料理」といったところか。マッシュポテト、ローストビーフ、ミートローフ、コーン、グリンピース、フライドチキン、アップルパイ。そういうもの。珍しかったのはチャウチャウ(豆が入った甘いピクルス)ぐらい。しかしこれもアーミッシュならではかどうかは不明。単にこの地方の料理かも。

アウトレット・ショッピングは本当に安いのか? 結論を先に言いましょう。安かった。衣料、靴、食器、おもちゃ、ブランド品等普通のショッピングモールにありそうな店が一通り集まっている。
観光地にアウトレット・モールがあるのは日本でもやっていることのような気がするが、ここランカスターでもアウトレットがいっぱい。オーバーストックや季節外れのものに限らず2、3割引き。目玉商品は半額以下のものも。コーチのバケツ型黄緑色のバッグを100ドルで買いました。日本だといくらするのかな?アメリカに来て初めて買ったブランドもの。旅行と違い住んでしまうと高くて買う気になれない。

さて、アーミッシュの村へアーミッシュを見に向かったが、街道沿いの家々はマリー・セレスト号のように静まり返って人っ子一人いない。今日は安息日の日曜日。アーミッシュに限らずこの辺の人々は皆教会に行っているらしい。教会の駐車場は車で満杯。当然遠方に見えるアーミッシュのものらしき畑にも人影はなし。結局働いているアーミッシュを見たのは着いた日にホテル近くのフリーウェイから見た1度だけだった。

アーミッシュの村落に近い道路を走ると道端にばふんばふん。この道には必ずやアーミッシュが!と思ったら前方から馬車が!
そのうち午後になるとばしゃばしゃ出てきて見慣れてしまった。それより普通の公道を車で一緒に走るので異常にスリリング。2馬車連続抜き。しまった前方から対向馬車が!など。ウィンカー付きの馬車も目撃。どうやって付けてるのだ?馬力発電?いいの? まあ事故も多いらしいので必要悪なのでしょうか。一般人の地元の車は苦労していると思う。

ランカスターの町は単なる田舎町。一時は州都だったこともあると言うのだが、特に見るところもなく寒かった。
しかし骨休めにはいいところ。騒々しく高いフィラデルフィアのホテルと比べ、ランカスターのモーテルは快適。安い、広い、清潔、冷蔵庫付き(これが案外珍しい)、バスタブ付き(これが案外)、親切。今までアメリカで泊まったホテルの中で一番よかった。

帰りはニューヨーク付近で大渋滞。日本の観光地帰りみたいだった。


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