U2コンサート・レビュー
U2*POPMART TOUR

6/1 at Giants Stadium in East Rutherford,NJ

4/25 ラスベガスを皮切りに今年末まで予定されている全米ツアー。日本ツアーは98年の予定。私の3度目のU2ライブ。そしてアメリカに来て初めてのロック・コンサート。日本にいた時とクラシックとロックでコンサートに行く回数が逆転しているのは単に情報が入らないから。コネチカットにロック・コンサート会場ないし。ライブハウス1つしかないし。

Giants Stadium
車で2時間近くかけて会場まで。この会場はプログラムによるとニューヨーク地区扱い。「東京」ディズニーランドみたいなものか。巨大駐車場には既にたくさんの車が。人々は車の周りでラジカセかけて歌うわバーベキューするわでお祭り気分。Tシャツ($25-45)とプログラム($15)を買って入場。予報は雨。曇天の下だが野外スタジアムの2Fは気持ちがいい。7:30から始まった前座の音楽に身を委ねているとここはどこなんだろう、外に出たら水道橋だろう、今日はトンカツ食べて帰ろう、って気になってしまう。
お腹が空いてホットドッグを買って戻って8:30。前座2組目。開演予定時間から30分後。1組目の前座は悪くなかった。2組目は趣味じゃなかった。前座が終わるとシャボン玉を飛ばす人、ビーチボールで遊ぶ人々、私もタイクツでDJが掛けるつまらない音楽に踊ってしまう。しばしば起こるウエイヴに参加してしまう。

ついにU2登場

そして開演予定約2時間後の9:50、会場の照明が落ちて観客は総立ち。U2の登場は意表をついて会場横から客席、花道を通ってステージへ。アンタら杉良か(古すぎ)。プロレス風とも言える。
オープニングは「POP」から"Do You Feel Loved"か"MoFo"(すいませんわかりません)。Bonoはねずみ男風。カラス天狗マスクとサングラスのAdamが怪しい。
セット
ステージのセットは"POPMART"なのでカートやレモンが。「POP」のブックレットに描かれたイラスト・イメージ。

こうして屋根なしスタジアムで聴くと東京ドームはいかんと再確認。反響がありすぎる。最ももし周囲に人家があったらうるさいと思う。ここの周辺は広大な空き地。

2曲目は「Boy」から懐かしの"I Will Follow"。 全体に全アルバムからまんべんなく演奏された印象(当然「POP」からが多いが)。お約束の"Pride"、続いて"I Still Haven't Found What I'm Looking For"で会場は一気に盛り上がる。うわーBonoとEdgeがチューだ。
Bonoが花道に出てきておちょこにしたアメリカ国旗柄傘をさして歌う"Until the End of the World".うわー女をステージに上げた。しかし人々はこの後座ってしまう。

BonoとEdgeが花道に出て現在大ヒット中の"Staring at the Sun"をアコースティック・ギターで。残りのメンバーはメイン・ステージから消えている。Edgeが一人残ってスクリーンのカラオケ字幕で"Sweet Caroline"(なんなの?往年のヒット・ポップス)を会場と大合唱。これで第1部(?)終了。

第2部
全てのメンバーが消えて、肉付きのいいおねえさんの不思議なエジプシャン踊りの映像。この人「Zoo TV Tour」の時もいなかったか?
いつの間にか円盤と化したレモンが花道中央に移動してきて、階段が現れ円盤が開いて4人が再登場。開演前から注意のアナウンスがあった花火はここで。しかし音だけでこれじゃバクチクと変わらない。
花道の先がステージとなり、演奏再開。アリーナ前方の人が羨ましい。Larryの後ろ姿なんて貴重。ミラーボール風照明と"Discotheque"で会場は巨大ディスコと化...さなかったのは人々が全然踊らないから。どうして?ほとんどの人はつっ立っていた。隣の大きいおじさんはその隣の大きいおばさんの肩を抱いて体を揺らすのだった。

大盛り上がりの"With or Without You"の後は再びメイン・ステージに戻っての演奏。人々はここで再び座ってしまう。そして予報通り雨が。ここ数年のU2のテーマ曲"One"が始まると再び総立ち。もしやこの曲でと思えば案の定最後。映画「Ghost」の二人が踊るシーンで有名な"Unchained Melody"を一部歌ってフェイド・アウトするようにコンサートは終了。すぐに照明がついてアンコールはなし。演奏は約2時間。

感想です
最近のU2はメッセージ性が低く、大スタジアムでイベントコンサートをするバンドになり下がったという人がいる。私は全然オッケーだと思う。だって「POP」ってくらいだもの。私の考えでは音楽は音楽であってメッセージを伝える道具ではない。「Achtung Baby」以降のU2はかつての重苦しいイメージを払拭したがっているのだと思う(所詮声も音質も重いと思うが)。Alternativeとジャンル分けされつつアメリカでのメジャーぶりはこの「転向」によるものだろう。"Sunday Bloody Sunday"を歌った「怒れる若者達」U2が大好きだ。しかしこの曲を2度とライブで聴くことはなくても、新しい音楽を追求しようとするところに方向性を見出すU2を私は評価する。

今日のライブで特によかったのは「POP」では聞かれないEdgeの「チキチキ」ギターがたくさん聴けたことかな。初来日の「Joshua Tree Tour」はただただカンゲキ。途中で帰りたかった「Zoo TV Tour」(私はBonoにやる気がないんだと思った。後に器材の不調のためと聞いた)。今回はアメリカの「想い出の歌」をちりばめてアメリカ大好きU2を楽しく、やがてちょっぴり悲しく聞いた。

会場の外に出ると既に12時。スタジアム駐車場外で前に入れてあげた巨長リムジンに乗っていたのは絶対U2メンバー達だったと思う。リムジンはニューヨークとは逆方向に走り去っていった。

The End

注:演奏曲目はここに挙げたのが全部ではありません。
リストは自信がないので他の人のをみて下さい。
U2リンク:
U2 POP Archive
POPMART TOURDATES 1997
alt.music.u2


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